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雑談:Pop Will Eat Itselfのジャケットに書いてある「アロア」の読み方

このnoteは「知ってて当然だから説明しないよ」という態度をとらない、全員を初心者扱いして全部説明する、という気持ちで書いています。20世紀は「義務教育じゃないんだから、ついてこれないなら置いていきますよ」という態度がサブカルチャーの主流だったと思います。趣味の世界まで誰かに懇切丁寧にガイドされないといけないなんて、そんなのお勉強してるだけで全然楽しんでないじゃん、というわけですね。

それはそれでアリなんですが、もはや娯楽が多様化しひとつひとつの作品の求心力が相対的に落ちた昨今は、敷居を下げないと本当に後の世代が誰もついてこない世の中になってしまい、結果として世代を超えない、ある特定の世代の人たちだけが閉じて楽しんでる作品、ということになってしまいがちです。それはなんとなくもったいないし、歴史的に意義がある事象まで「説明がないから」という理由で見向きもされないのはやはり問題がある。と思って、ある時期からワタシも優しく説明するようになりました。基本的には聞かれたら答えています。著書に書いてあることだったら本を読んでくれ、となる場合もある。

で、今回説明するのは、海外ミュージシャンのジャケットに書いてあるカタカナの話です。なにはともあれPop Will Eat Itselfのジャケットを御覧ください。

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Pop Will Eat Itself『Cure For Sanity』(1990)

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Pop Will Eat Itself『Dance Of The Mad』(1990)

うーむ、どう見ても「アロア」としか読めない!意味不明!と思っていました。ジャケットデザインはThe Designers Republic(以下DR)。ニューウェイヴ経由のテクノといったらここ、と誰もが認める世界的影響力をもったデザインチームです。

で、正解は「アロア」は「POP」です。Pop Will Eat ItselfのPOP。カタチが似てるからカタカナで代用したのです。わかるか!! Pop Will Eat Itselfのメンバーですら、「俺には707みたいに見えるんだけど」と発言していました。

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Pop Will Eat Itself『X Y & Zee』(1991)

だからこれも「メソマ」じゃなくて「XYZ」。曲タイトルをロゴにしてるんですね。

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Pop Will Eat Itself『92° F』(1991)

「アマ゜チ」じゃなくて「92° F」。ちゃんと曲名を表していました。ここまで来ると予想できたかも?

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HONDALADY『ギミアブレイク』壁紙(2010)

そんなDRカタカナにオマージュを捧げたのがHONDALADYの2010年作品。デザインはケチャップアーツ。一見「ギミアブレイク」に読める……いや、これはそのまんまだ! 面白いですね。

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the orb『Assassin』(1992)

話をDRに戻しますと、1992年になるとDRも日本語を日本語として使うようになりました。うーむ、なんとなく惜しいかも。

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V.A.『BLECH』(1995)

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V.A.『Blech II: Blechsdöttir』(1996)

と思ったら、Warp Recordsのコンピ『BLECH』シリーズ2作で変なカタカナがありますね! 「ブレーン」は日本の雑誌『ブレーン』のロゴそのまんまですが、それは雑誌『ブレーン』から頼まれてデザインページをやったときにロゴデータをもらって、それをそのまんま使ってるんじゃなかったかな? そっちではなく「フジヒーッ゜」に見えるほう。Pop Will East Itselfのジャケットがただ意味不明なのではなくカタチに要素を還元して意味を表現していたように、これもおそらくカタチに還元して別の言葉にしてるはず……。

と調べてたんですけど、これはわからなかったです。知ってる人、教えてください! おわり。

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