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「ヘタうま」の初出を探す

「ヘタうま」は1980年代前半に盛り上がった主にイラストレーション/漫画の潮流の一つです。海外のニューペインティング、ストリートアート、グラフィティなどと同時代性を持つ日本の動向として現在は評価されています。ところでこの言葉がいつから使われ始めたのか、という問いに対して明確な答えは未だに出ていません。

ヒントとなるのは、ヘタうまの代表である湯村輝彦さんの作品集『湯村輝彦ヒットパレード』(美術出版社)。オビに〈これが話題の「ヘタうまイラストレーション」の全貌だ!〉とあり、この時点でそこそこ話題になっていたことがわかりますね。本の発行日は1981年7月10日。なのでこれ以前に使われている事例を探さなくてはいけません。

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そして、湯村輝彦さんの絵柄が世間一般に注目されたのは、すばる書房から『さよならペンギン』という絵本を出し、『ガロ』で「ペンギンごはん」という漫画を糸井重里さんと一緒に連載をはじめた1976年以降です。これ以前も新人賞を獲るなど注目はされていたのですが、あくまで業界的な評価でした。なので探すべき時期は1976~1981年の間ということになります。

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ここではワタシが辿れた一番古い使用例をご紹介しましょう。なお、イラストレーターの山藤章二氏が書く〈1970年代初頭に既に言ってる人がいた〉という回想(Wikipediaに引用されている)は信憑性に欠けるため無視します。

1978年


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2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定の定額マガジン(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。あとnoteの有料記事はここに登録すれば単体で買わなくても全部読めます(※登録月以降のことです!登録前のは読めない)。『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』も全部ある。

2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定です(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。テキストを発掘次第追…

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