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日本の軽音楽再考中:ハワイアン

『エセル中田とハワイアン・ミュージック』という本が2022年10月に出まして、ようやく読み終わったところ。もう、よくぞ残してくれた!という内容で満足度が高い。エセル中田さんは1950年代当時の中心的な歌い手の一人であり、その人の体験的回想録/思い出話なんて残すべきに決まっている。日本のハワイアン・ミュージックに興味がある人にはたまらない内容です。そういう人が今どきどれくらいいるのかはわかりませんが……。

なんでワタシが興味があるのかといえば、戦後の日本のポップミュージックの世界は、ハワイアンが礎を築いたからです。ハワイアンを知らずに戦後邦楽史を語るなどできません。いや、正確には戦前からハワイアンは流行っていまして、戦中に敵性音楽として禁止されるも、しぶとく聴かれ続け、戦争が終わって再び大っぴらに聴かれるようになります。戦前と戦後の洋楽史をつなぐキーワードの一つとしてハワイアンがあります。

ただ、とにかくハワイアンに関する情報は少ない! 最盛期が1950年代のため、後から辿れるような雑誌メディアが少なく、たまたま載ってるミュージシャンへのインタビューも、当時のスター雑誌のインタビューのように他愛のないものが多いのです。ポピュラー音楽の世界に批評的な態度を持ち込むのは『ニューミュージック・マガジン』(1969)や『ロッキング・オン』(1972)みたいなのが登場してからですから……。書籍としてまとまったものは早津敏彦『日本ハワイ音楽・舞踊史』(2007)くらいかな? 他はライナーノーツとか。

で、ここでは戦後の歌謡界/芸能界と言われるものの背景にハワイアンがどれくらい関係あるかをちょっと羅列していきましょう。

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2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定の定額マガジン(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。あとnoteの有料記事はここに登録すれば単体で買わなくても全部読めます(※登録月以降のことです!登録前のは読めない)。『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』も全部ある。

2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定です(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。テキストを発掘次第追…

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