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ばるぼらさんの全記事アーカイヴ

2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定です(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。テキストを発掘次第追加します。あとnoteの有料記事もここに… もっと読む
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2022年11月の記事一覧

音楽評論家の音楽

音楽評論家がDJをやる、というだけなら珍しくありません。しかしトラックを作って発表する、となるとどうでしょう。ちょっと珍しくなります。普段音楽を評している側が実作を作るとなると、その質は余計に問われることになります。その壁を乗り越えて発表するというわけですから、それは当然ながら傑作揃いとしかいいようがない。今回はそういう事例のリストです。日本のみ(海外は知らないので……)。 なお、先に音楽活動をしてて、あとから音楽評論に関わるようになったケースもありますが、その順番は今回考

『宝島』をニューウェイヴにした男

2015年に休刊になってしまいましたが、宝島社(旧:JICC出版局)がかつて発行していた雑誌『宝島』は、日本のサブカルチャー史において最重要雑誌だった時代があったことは、誰もが認めるところでしょう。 とくに若者文化に決定的に影響を与えたのは1980年代の関川誠編集長時代です。1980年8月号~1991年3月9日号まで。それまでマニアックな人気がありつつ数千部だった発行部数は、関川編集長によるリニューアル後は数十万部を超え、若者がチェックする雑誌の代表格となりました。 特徴

日本のグラフィティ史の1993-94年辺り

日本のグラフィティ史の話、そういえば止まっていた。今回は第三期、1993年くらいからの話を調べていきましょう。 日本のグラフィティは1991年後半になってもまだ活発ではなかった、というのは、前回載せた桜木町ガード下の写真を見てもわかると思います。イラストであって、グラフィティとは言い難いものが多数です。 珍しく極めて個人的な記憶で書きますと、ワタシがグラフィティというか桜木町ガード下を知ったのは『読売新聞』1991年11月11日・東京夕刊15ページの記事「ご立派!?“落書

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EL-MALO再考

エル・マロについて考えてほしい、と言われたので、エル・マロについて考えていました。実は2週間前からエル・マロ聞き直し週間に入っており、そのタイミングで言われたのでシンクロが面白いなと思ったのです。 柚木隆一郎と會田茂一が1991年に結成したユニット=エル・マロは、渋谷系を考える上で避けては通れません。渋谷系の流行期に“渋谷系「裏のドン」”とか“渋谷系の「裏番」”という称号で喧伝されたのがキャッチーだった、という以上に、彼らの音楽性そのものが、渋谷系の成立過程に影響を与えてい

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雑談:ロンドンナイトっていつ始まったんですか?

昔から気になって調べてて、しかし一度も正答にたどり着いたことがないのがロンドンナイト(LONDON NITE)の第一回の開催日! ロンドンナイトは、大貫憲章さん主宰のクラブイベントです。 正確には、当時はクラブじゃなくてまだディスコ。ディスコDJというのは、DJブースに置いてあるレコードから場にあった曲を選んで流す役割の人のことでした。つまり現在イメージするクラブDJのような、家からレコードを持っていく人ではありませんでした。DJはディスコの社員がやるものだったのです。人気

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全肯定の思想と批評

全肯定の思想作品に接する時に影響を受けた姿勢というのがありまして、それは湯浅学さんなんですが、湯浅さんが前にインタビューで答えていたこの話がとても印象に残っているんです。 好きなら全部好きになれ!!ということです。「これはいまいち」とか言ってんじゃないよ!それを好きになるようにするのがファンってことなんだ!という話だと思います。 この話はびっくりして、全部受け入れられるか否か、で自分がファンかどうかを考えるようになりました。どうしても受け入れられない何かがあるなら、それは

雑談:セックス・ピストルズは1枚しかアルバムを出してないはずなのに中古盤屋に並ぶ数々の作品は一体なんなのか

音楽CDを求めて中古盤屋に行く誰もが、セックス・ピストルズのコーナーの充実度に驚くと思います。『勝手にしやがれ』という邦題の、オリジナル・アルバムはあまりにも有名ですね。1977-10-28にヴァージン・レコードから発売。 オリジナル・メンバーによる作品さて、セックス・ピストルズの活動期間を改めて調べてみますと、デビューライヴが1975-11-06。最後のライヴ(解散とは言ってない)が1978-01-14。この期間中に出たレコードは、下記のとおりです。4枚のシングルと1枚の

「ゴスロリ」の初出を探す

いや、初出はわかってたんですが、ソースとして入手困難だったのでずっとぼんやりしていました。入手したのでまとめます。 ゴスロリというのはゴシック&ロリータの略です。主にファッション分野で使われる言葉です。ロリータファッションのゴス版。ゴシックファッションのロリ版。どちらとも取れますね。 まあ細かい定義の話は今回いいとして、ざっくりと、ここでは黒いロリータファッションをゴスロリとしましょう。このゴスロリという美学はどこから来たのか、そして言葉の初出はどこか?です。

日本の軽音楽再考中:ハワイアン

『エセル中田とハワイアン・ミュージック』という本が2022年10月に出まして、ようやく読み終わったところ。もう、よくぞ残してくれた!という内容で満足度が高い。エセル中田さんは1950年代当時の中心的な歌い手の一人であり、その人の体験的回想録/思い出話なんて残すべきに決まっている。日本のハワイアン・ミュージックに興味がある人にはたまらない内容です。そういう人が今どきどれくらいいるのかはわかりませんが……。 なんでワタシが興味があるのかといえば、戦後の日本のポップミュージックの

画像:2003年のブログ勢力図?

ちゃんとした更新じゃなくてすいませんね。昔の画像を探してる最中に出てきたこれが懐かしかったもんで……。

画像集:1980年代後半ポップフライヤーコレクション

1970年代の続き。文章を更新してる時間がない時は画像に頼る。ここに紹介するのは人から永久借り(あげるけど売らないでね系)してるものです。自分の文脈と違うものが一杯入ってて新鮮な気持ちになるのと同時に、こんなんもあるんだ!という驚きがあります。そういうのをおすそ分けしていきたい。 1986-12-15 NAV KATZE

カルト・ミュージックはカルト宗教の音楽

山名昇さんが1984年に自費で出版した『寝ぼけ眼のアルファルファ』(アルファルファ・ミュージック)という本があって、今度山名さんのトークイベントがあるらしいからとめくってたんですけど、そこに入ってるスペシャルズのインタビューにこんなやりとりが出てくる。 ラスタ音楽はカルト・ミュージック。ワタシなんかが何も考えずに読むと、カルト・ミュージックという響きからして、単にマニアックな音楽、熱狂的なファンのいる音楽、みたいな意味で捉えてしまうのですが、この言葉の背景に何があるのか、最