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ばるぼらさんの全記事アーカイヴ

2001年以降に雑誌等に書いた記事を全部ここで読めるようにする予定です(インタビューは相手の許可が必要なので後回し)。テキストを発掘次第追加します。あとnoteの有料記事もここに… もっと読む
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2021年12月の記事一覧

M3-3 マイクロポップと萌え四コマ(2010年12月『モダニズムのナード・コア』)

マイクロポップとは美術評論家の松井みどりが二〇〇七年に提唱したコンセプトである。松井がゲストキュレーターを務めた企画展「夏への扉:マイクロポップの時代」(二〇〇七年二月から五月まで、水戸芸術館)で概念と作品がお披露目され、二〇〇九年夏には「ウィンター・ガーデン 日本現代美術におけるマイクロポップ的想像力の展開」展が海外を巡回した。

M3-2 美は乱調にあり グリッチアート(2010年12月『モダニズムのナード・コア』)

グリッチとは機器の不調・故障のことをいい、その際に生じるノイズの原因と結果が蓄積され、意図的に利用するアーティストが登場したことで、現在は一つのメソッドとして認識されている。  これはまず音楽ジャンルに多く登場した。スピーカーの音割れ、ギターのフィードバックはもとより、レコードなら針飛び、プチプチノイズ、スクラッチノイズ。テープならヒスノイズ、絡まり。CDなら音飛び。こうした物理的障害が引き起こすグリッチは、コンピュータ時代になって絶滅すると思われたが、実際はWAVからMP

2021年に見つけた印刷物 FINAL

2020年、part 1、part 2、part 3、part 4ときて、今回で2021年篇は最終回です。当初は全部まとめてちゃんと2021年の真のベストを決める、みたいにするつもりでしたが、さっき届いたのが圧倒的1位なので、2021年全体の1位はそれに決まり。なのでこの記事の1位がワタシの2021年ベスト古本と思っていただいて構いません。他は普通に最近買った中で選びます。 第5位・死亡記事ノート

日本のグラフィティ史の最初に出てくる桜木町再考

日本のグラフィティの歴史を調べていくと、必ず出てくるのは桜木町のガード下の話です。今回はこの話。 日本の初期のグラフィティアーティストたちの主戦場となっていったのが、旧東急東横線桜木町~高島町間の1kmほどあるガード下です。2008年8月から2009年3月にかけて順次撤去されるまで、同地はグラフィティの聖地として様々な人々が腕を競っていました。この盛り上がりには、1990年代末に本格的にグラフィティの取締が始まるまで、地元住民もそれがなんなのか分かっておらず、学生さんが妙に

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M2-3 ギーク×アートの約二十年(2010年12月『モダニズムのナード・コア』)

まともな話は坂根巌夫『メディア・アート創世記』(工作舎、二〇一〇年)などを参照していただき、ここではテクノ(ロジー)・アート、インタラクティヴ・アート、メディア・アートと辿ってきたコンピュータ×アートの関係から、なるべくギーク的なものに偏って二十年の歴史を解説する。ギークとはコンピュータに特に長けているオタクのことをいい、つまり漫画やアニメ的な方面より、ゲームやインターネットが好きそうな方面が主軸である。後半になるほど展覧会の話題に移るのは、もともとギークと呼べるようなアーテ

M2-1 オタク×アートの約二十年(2010年12月『モダニズムのナード・コア』)

オタク的モチーフ、オタク的想像力を自身の作品に取り込んできたアーティストは少なくない。しかし大抵の場合、作者がオタクであるわけではない。子供の頃に体験したものを自作に取り入れるのが第一。その奇想/奇形/奇抜さをアートに持ちこむことで化学反応を起こさせようとするのが第二。本当にオタクが当然のように持ちこむのが第三。どれが正しいというわけではないが、第一から第三へ流れてきているのが昨今の傾向である。ここでは既に歴史化できるほどの潮流を成してきたオタク×アートの関係性について、ふり

雑談:PDFやテキストデータをどう管理しているのか

今度DOMMUNEに出るんですけど、普段なら国会図書館や古本屋に行ったりして事前準備を万端にするんですが、今回はまったく時間がなく、人にお願いして雑誌の切り抜きを借りたりして、ひたすらスキャンして記事を読み込んでいます。 ワタシは何度か書いてますが古本コレクターじゃなくて情報コレクター。現物が手に入らなくてもスキャンデータさえあれば気持ちの上では十分なんです。なのでスキャンしてる時が一番楽しい。いかにデータとして残すか、という。 しかし一番きついのはファイル名をつけるとき

M1-2 モダニズムの外野から(2010年12月『モダニズムのナード・コア』)

モダニズムから考える●モダニズムという言葉が何を示しているのか、漠然とは認識できるけども、人やジャンルによって言ってる内容が違うでしょう。モダニズムとは何かを簡単に説明してほしいんです。 ○簡単に言うけどそれってすごく難しいよ(笑)。まあ大抵どのジャンルでも一九世紀後半から二〇世紀前半にモダニズム運動は起こってる。モダニズム以前との比較、つまりプレモダン(前近代)とモダン(近代)は何が違うのかを見ていくとわかりやすいのかな。プレモダンというのは伝統の時代。昔から続いているも

M1-1 なぜモダニズムからはじまるか(2010年12月『モダニズムのナード・コア』)

本誌は『モダニズムのハードコア』から名前を採っている。一九九五年に出た『批評空間』の臨時増刊号で、浅田彰、岡崎乾二郎、松浦寿夫の共同編集による美術批評集である。ポストモダニズムの視点からモダニズムを再検討することが主目的だったようだが、各自の論文は総じて退屈であり、クレメント・グリーンバーグやマイケル・フリードをはじめとする海外主要批評家らのテキストの翻訳と、関連するディスカッションが掲載されていたことが、当該書の価値のほとんどすべてと言っていい。いずれも美術批評では最低限読

雑談:音楽批評の印象批評

最近『ニッポンの音楽批評150年100冊』という本を読んだので、音楽批評について考える時間が増えました。そこで思い出した、印象に残ってる印象批評の話。 『CAPE X』というデジタルカルチャー雑誌がかつてありまして、それはMacやインターネットの登場に刺激を受けつつ、それまでのカルチャーと接続したりとくにデジタルと親和性の高い作品を取り上げたりするような、過渡期にしか存在し得ない雑誌でした。

「スナッキーで踊ろう」が再評価されたのはいつどこでか

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3万円の蛙の他の人達はどうなったのか

まず、和田誠展に展示されている、大学1年生のときの和田誠の作品を御覧ください。 興和新薬のカエルのイラストレーションのコンクールに応募したもの。見事1等3万円を獲得したわけですが、同時入賞しているウノアキラがのちの宇野亜喜良で、まだ何者でもない時期に、41000人の応募の中から日本を代表するイラストレーション派のデザイナー2人がここに選ばれ並んでいた、というのが面白いわけです。 が、しかし。では2等に並んでる人達のその後はどうだったでしょうか? 実は和田・宇野に並ぶほどの

DJアンダーグラウンドNo.1コンテストVol.2

1989年3月19日にインクスティック芝浦ファクトリーで開催されたイベント「DJアンダーグラウンドNo.1コンテストVol.2」についてメモ。 「DJアンダーグラウンドNo.1コンテスト」は現在はほとんどある一つの文脈でのみ語られるイベントです。それは日本を代表するヒップホップグループであるスチャダラパーが注目を浴びるきっかけとなったイベントとして、です。スチャダラパーがこのコンテストに出場し、「太陽にほえろ」のサントラを使ってラップしたことで会場が大盛りあがりとなり、特別

宝島30のチラシ

昔の雑誌をめくってたら『宝島30』の創刊告知チラシが挟まってた話。これのちょっとだけ続き?