【ネタバレ有】アニメ・虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会第13話「みんなの夢を叶える場所(スクールアイドルフェスティバル)」感想


今(1−12話)までの感想はこちらから


 2020年12月26日、22時30分。ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のアニメ第13話が放送されました。

 
 物語の中にも外にもたくさんの愛情に満ちた、素晴らしい3ヶ月間でした。
 終わってしまった寂しさはもちろんたくさんあるのですが、それ以上に幸福感に満たされています。

 以降、アニメの内容についてネタバレし散らかすのでご注意ください。

「仲間で、ライバル!?」
「9人と1人の少女の物語」
「届け、ときめき──! 今また夢を、叶えていこう!」

 軸をしっかりと持ちながら積み重ね、丁寧に織り上げた物語でした。
 というか下で触れますがNEO SKY,NEO MAP!の入り方なにもう、100億点では? こんなに希望に溢れた前向きな終わり方あります? という感じです。
 あんな流され方したら「やだ! 虹アニメ終わるのやだ!!」と駄々をこねるよりも先に「本当に……ありがとう…………!」となってしまいます。

 あとなんかしんみりしちゃいましたけどAパートのお祭り感めっちゃくちゃ楽しかった!

 ファンの子たちやちびっこ達、藤黄や東雲も一緒になって、街を巻き込んだスクールアイドルのお祭り。

 それぞれのステージやそこに関わるすべての人たちが生き生きとしていて、見ていて元気を貰えました。
 明るく、爽やかで、キラキラとした最終回。染みいるような感動も弾むような楽しさも、相反することなく心でしっかりと受け取りました。

 では以下より、この感情をしたためます。

 同好会メンバーについて一人ずつ触れ、+でそれ以外の登場人物たちや曲にも触れていきます。目次の量が妙ですがまあ最後なので……。
 ただいちばん書き残しておきたいのは幸福感とこのアニメへの感謝なので、あんまり細かい話はしないです。

 なおこれは感想であって、考察や解説とは全く異なります。


中須かすみ

 ヘアピン着けてなかったのさぁ〜〜〜!!!! なるほどね〜〜〜!!!!
 アニメ時空以外だとトレードマークでもあるかすみんのヘアピン、アニメで無かったのは作画の都合かと思ってましたが(なお視聴をするにつれアニガサキに感情がおかしくされ続けたのでいつしか気にしなくなっていた)、この製作陣のみなさんですもんね、なるほどね、これは……なるほどね!!!! となりました。良すぎかよ。

 確かに、自分をさらけ出せるようになったあと、楽しそうにエンジョイしているしずくの姿を見ることはありましたが、この件について明確にお礼を言っていた描写はありませんでした。
 それをこうして……なるほどね!!!! となりました。なるほどbotになってしまった。

 それと、同好会の部長がいまいち誰か分からない問題はありますが、フェス開始前、同好会部室での円陣の掛け声がかすみなのがとても好きです。

 キャリアや経験したステージの数は一番でないとしても、虹ヶ咲のスクールアイドルが集える場所を残そうと空回りつつも足掻き続け、今へと繋げたのはかすみでした。
 なので、同好会全員が集って大きなお祭りへ向かうにあたり、最初の掛け声を任されたのが彼女というのは、なんだかとても嬉しいことに映ります。

 そしてヒーローショーに悪役で出てきたときの格好、完全に女児アニメに出てくる敵でかわいすぎました。かわいいからこれでも踊ってほしい

 あとコッペパン同好会の子たち、マジでがっつりかすみんのファンですっごく嬉しかったです。
 わざわざ4人で1セットの「か」「す」「み」「ん」ロゴを作って黄色サイリウム振って応援してるの最強に楽しんでるオタクすぎる。人文字の「E」の子の負担がずぬけて大きくありません?

 また、どでかすみん……口からイリュージョンという名の煙を吐く「どこでもかすみん」に乗って現れた際に言い放った言葉。

「今日一番輝くのは、かすみんとかすみんのファンなのです!!」

 悪役としての口上でもしっかりと「ファン」を入れているのが最高です。
 2話からずーっと「ファンのみなさん」と口にしていた彼女。
 スクールアイドルとしての意識の高さ、ファンへの思いの強さがハッキリと分かるセリフで大好きです。


桜坂しずく

 ヘアピンについてはかすみの項で触れましたが、もうひとつ言うと前話でアクセサリーショップみたいなところにいたのさぁ〜〜〜!!! なるほどね〜〜!!!

 せつ菜とかすみとのヒーローショー、てっきり最初は普通にせつ菜VSかすみの感じで進むとばかり思っていたら、まさかのスカイブルー仮面(仮称)のカットインでびっくりしてしまいました。

 いやそりゃあ、演劇部の主導だったのでしょうからしずくも関わってくるのは冷静になってみればわかるのですが、あまりに楽しそう過ぎて笑ってしまいました。
 自分のしたいことを主張できるようになったのがアニメ後半なのでそうなるのでしょうが、一度ギアを上げてからのしずくの爆走が止まりません。

 9話以降ずっとそうなのですが、楽しそうに伸び伸びとステージに立ち、真っ直ぐに親友への感謝を伝え、同好会のメンバーとともに会場中へ思いを届ける姿が眩しく、嬉しいものでした。

 あと演劇部部長、演出の裏方でたくさん協力してくれていて相変わらず良い人なのですが、ステージ見てるときの姿が完全に後方彼氏面のそれでだいぶ面白かったです。ライブの見方は人それで良いんだけども!


天王寺璃奈

 り……璃奈ちゃん!!!!

 ライブ以外のレクリエーション部分、格ゲーでファンをボコボコにして「コロンビア」みたいなポーズしてるのかわいい。挿入歌シングル4弾のジャケットでもしてるポーズすき。
 使用キャラも璃奈ちゃんの愛猫ロボの「アラン」、OPカットにも出てくる蛇の「サスケ」、上に乗ってる悪戯グッズのねずみ「かすみん2号」と、まさかの声付きで小ネタが回収されてて素敵でした。

 そしてなにより愛さんのステージ前に起きた音響トラブルを解決したときの

「もしかしたら……今、初めて愛さんの役に立てた?

 璃奈ちゃん!!!! ……璃奈ちゃん!!! となってしまいました。


 自分の苦手なことを得意なことでカバーして、練習にもめいいっぱい打ち込んで、たくさんの人と繋がれるようになって。
 その全部のきっかけになった愛さんへの大きな感謝の気持ちをずっと大切に持ち続けていることが、このたった一言でこれでもかと伝わってきました。なんだこのセリフは。愛おしいにもほどがあります。

 同じ情報処理学科、それも上級生で優等生の愛でも対応できない問題を解決したという点で(あのパソコンが璃奈の私物という可能性もありますが)、彼女のスキルの高さも分かります。

 ただやっぱり愛からしたら主眼はそこではなくて。親友が自分のために頑張ってくれたことそれ自体がとても嬉しいことだったのでしょう。下でも触れます。


宮下愛

 かましてましたね!!! 10話でやりたいと言っていた「ステージでダジャレぶちかましたーい!」を堂々と気持ちよく実現しています。

 また、璃奈の友達で愛さん推しの色葉ちゃんが、通りすがりの人へもんじゃ棒を差し出すところも良かったです。あれタダなんだろうか。
 ともあれ推しのステージへ人を誘導することと推しの実家の宣伝もこなすファンの鑑です。

 そして上述した機材トラブルと璃奈ちゃんのくだり、「初めて役に立った?」に対して「なに言ってんの〜!と返すのがまさに宮下愛
 「初めてじゃないよ」とかでもなく、そんなこと最初っから考えていないのが彼女です。

 「なりたいよう」どころかもうすでに太陽。

 璃奈に声をかけたことも、悩む彼女に寄り添ったことも、一緒にいることも、全部愛がそうしたいからやってきたことで、役に立つとか立たないとかは頭に一切ないことだったのでしょう。

 それでも役に立つ立たないの俎上で考えるとすれば、璃奈が璃奈として近くにいてくれるだけで、愛の役に立っているはずです。
 スクールアイドルという新しい世界で楽しいことを探し続ける愛にとって、ライバルであり、仲間であり、最高の友人が近くにいるということは、ずっと大きな意味を持ち続けている。


優木せつ菜

 前話で演劇部との打ち合わせに出ていて、これ絶対ヒーローショーやるやつ……! とワクワクしていたら本気でやってくれたのでめちゃめちゃテンション上がりました。

 見た目だとちょっとしずくのインパクトが面白凄すぎたのですが、通りすがりのスカイブルー仮面のサポートを受けてからの

せつ菜スカーレットストォームッ!!
ふぅっ、また世界を救ってしまいました!(ライブ時のコール&レスポンスと同じセリフ)」

 からの、熱いライブで会場を熱狂させる、というのが優木せつ菜全開で最高です。

 4話で希望を出していたように、火薬を使ってドーンと! も実現できていたっぽくて、良かったね……! となります。


 ところでこのあとの静止画のカットのせつ菜の表情めちゃくちゃかっこよくて超好きです。このステージでも、1話の歩夢や侑のように心を奪われた誰かが生まれたかもしれません。

 また、11話でかすみが言っていたように、かつてみんなで立とうとしても立てなかった大階段のステージでまたライブが出来た、というのも嬉しみポイント。
 厳密に言うとかすみは移動型ステージの上にいたので違うかもしれませんが、とにかくあの場所で生き生きとやりたいことをやっている姿が見られて良かった。

 というか打ち合わせとかで絶対副会長と話す機会あっただろうし、フェス中に生徒会長不在みたいな(別の場所で統括するみたいな話をしたのかもしれませんが)ことになっていたと思うのですが、バレなかったんでしょうか……?
 せつ菜も終始楽しそうだったので、たぶん大丈夫なのでしょう。もしかしたらもうネタバラシしている可能性もありますし。
 また、おさんぽ役員のはんぺんが生徒会副会長にだっこされているカットが破壊的に可愛くてとても良かったです。


上原歩夢

 ピンクのローダンセを装備した完全体の上原歩夢、もはや無敵の存在という感じがあります。

 1、11、12話を中心に描かれてきた歩夢の姿、その成長も、細かなやり取りの中にしっかりと現れていました。
 侑が愛の機材トラブルを聞いて駆けつけようとしたとき、歩夢はその背を見送っています。
 12話を経る前の彼女であればきっとついていったでしょう。けれど今回はそうではなかった。

 それぞれの場で、それぞれのすべきことの為に動いている。
 自分を応援してくれる人、これから好きになってくれる人のために全力を尽くす姿は、彼女が1話で憧れたスクールアイドルの姿そのものだと感じました。

 「スクールアイドルになった今の歩夢だからこそ、1話で部室棟へと手を引かれていったのと逆に、今度はステージのある場所へと侑を引っ張っていけたのだと思います。

「ううん、ちょっと思っただけ」
『始めて、良かった』って!

 彼女が侑のいない場でもはっきりとこう言えるようになったことが、とても大きい変化、成長だったと感じます。


近江彼方

 10話のときステージの上でベッドでお昼寝したいって言ってたけどここまで本気で寝ちゃうの!?

 度肝を抜かれました。しかも客席のベッドもいいやつ。欲しい。
 これにはスクールアイドル有名校の東雲のセンター遥ちゃんもびっくりです。驚かない人いるんでしょうか。
 頑張り屋さんの姿がフィーチャーされたアニメですが、こうしたスクールアイドルの枠ではなかなか考えられないフリーダムさも彼方の魅力です。

遥「こんなライブ……ありなのかなぁ……?」
彼方「お祭りだからぁ〜、アリなんでーす!

 お姉ちゃんだけどバッチリお茶目な彼方ちゃんが最高だぜ!!

 あとアニメ本編とは離れた部分なのですが、来年1月に発売予定のサントラのジャケットの話。
 彼方が明らかに前列にいるかすみの頭に腕を乗っけていて、なんかこのふたりの絡みっぽいな〜! と感じていました。
 頑張り屋さんのお姉ちゃんだけどどこか飄々としている彼方と、頑張り屋さんだけどいじられ後輩属性のかすみのやりとり、かわいくてすき。


エマ・ヴェルデ

 かすみのところで触れた最初の掛け声のところ、かすみに託したのが異国の地からスクールアイドルになるためやってきた最上級生のエマさんというのがなんだかめちゃめちゃ好きです。

 5話のエマはあくまで果林に向けて歌っていて、フェス前からスクールアイドルの彼女を知っているとすれば、虹ヶ咲の学生であるか、ネットにアップロードされていた動画を見ていたかのどちらかでしょう。

 けれどそのどちらでもない子ども達にあっという間に好かれ、出会ったばかりでも一緒に楽しくステージで歌って踊る姿は、まさに慈愛の権化のエマさんといったところ。

 また、次に果林さんのとこでも触れますが、自分や同好会以外のファンの子にも苦手なことを伝え、助けてもらえるようになった果林さんを見て優しく笑うところも印象的です。 
 近くで見ているぶん、彼女のやわらかな変化はより嬉しいものだったのかもしれません。

 あと果林さんのステージと交代するとき、下からニュッと生えてくるの可愛過ぎました。かすみの枠かと思っていたらエマさんもとは! かわいい。


朝香果林

 一番印象深いのはこの会話のくだり。エマに交代の時間を告げられ

「次のステージは……どこかしら……?」

 と困る果林さんに、ニュッと現れたふたりの後輩が声をかけます(記憶が怪しいですが9話冒頭で「スクールアイドル」の果林さんにサインをお願いした子達でしょうか?)。

「私たちがご案内します!」
助かるわ

 最初はエマ、次に同好会、そして今度は自分のファンにも
 カッコよくてクールな朝香果林だけではない、ちょっとした弱点についても見せられるようになっている。

 人との距離が縮まり、弱い自分を見せて甘えられるようになったというのは、見ていて嬉しい変化でした。
 けれども下でも触れるスクールアイドルに興味のある女の子への声かけは、彼女がずっと見せ続けていた「頼れるカッコいいお姉さん」としての振る舞いでここも良かった。
 かわいさと熱さとかっこよさの描写のバランスがずーっと素晴らしくて、見ていて本当に嬉しくなります。


同好会メンバー以外の、たくさんの人たち

 先に藤黄や東雲のみんなに触れておくと、グループだとしてもその中にだって色とりどりの個性があり、イグアナや竹刀や白衣などで結構やりたい放題してるのが素晴らしかった。

 ソロの良さがたくさん描かれてきた虹ヶ咲ですが、グループだからこその強みもある。人がいれば、そこにその人の個性がある。
 どちらにも貴賎はなく、同じように輝いている。スクフェスで目指した姿そのものだと感じました。

 今まで出てきたそれぞれのファンや関わってきたひとたちは、メンバーの項で触れたのでそちらに。
 ここではそれ以外の、通りすがりの人たちなどについてです。

 例えば、歩夢の姿を見て目を輝かせ、お互いに頷き合う小さな女の子たち
 例えばエマのステージを見て、「やってみたいって言ってたよね?」「うん! 興味はあるけど、私じゃ無理なのかなぁ」という会話をしている中学生ふたり組。
 「やりたいと思ったときからきっともう始まっている」と告げるのは、親友からその言葉を受け取ったからこそ今この場にいる果林さん。受け渡された言葉はまた違う人の心にも勇気を与えていました。

 明確に描かれていないたくさんの人々の中にも、そういった新しい夢や憧れの芽生えはじまりのトキメキが生まれていたはずです。
 そう思えるのは、今までの積み重ねが結実しているそれぞれのステージや周囲の様子近しい人たちが活き活きとこの祭典にかかわる姿が丁寧に描かれてきたから。

 画面外の人々からも、たくさんの感情が届いていました。
 エマと果林のステージの後ろに貼られていたのは、虹ヶ咲2ndライブ前(確か夏頃?)に募集されていた手書きの応援メッセージの数々です。
 現実世界のファンや「あなた」の声が、アニメの世界に息づいていました。

 あと流しそうめん同好会のみんながもんじゃみやした出張店でもんじゃ食べてる!!! と意味不明な勢いで嬉しさが爆発してしまいまった。
 フェスや夏休みが終わると少しずつ寒くなってくると思いますが、これからの季節も元気に流しそうめんなり流しにゅうめんなりの活動をしていってほしいです。


夢がここからはじまるよ

 既視感からの推測なのですがもしかしてそれぞれのソロ曲の振り付け要素が入っている……? とか、
 明らかに2ndライブのアンコール曲(たぶんJust believe‼︎︎︎︎!のとき?)での動きとかユニット曲のCDジャケットで見覚えがあるぞ……? という構図とか、動きにも静止画にもたくさんの要素が詰まりまくっていました。

 そういうところのエモもあるし、個人的にとにかく個人衣装での全員曲が大好きで、それを着て動いて歌って踊っている虹学メンバーの姿に、本当に心が震えました。

 バラバラで個性の方向性もあちこちに散らばっていて、その彼女たちが集まって歌う全員曲には、統一衣装で歌うものとはまた異なった種類のエネルギーを感じます。

 うまいこと言葉にできないのですが、なんというか、たくさんの熱の粒がぶつかり合い、うねりながらひとつの大きな光線になり、こちらの心へ力強く伸びてくるようなイメージです。

 見ているものも目指すものも違う中で、けれど同じ気持ちで走っている。
 この自由さというか、やっぱり「バラバラ」という言葉にポジティブに集約されるイメージが、自分の中の虹ヶ咲に合致していて大好きです。

 また、アニメ本編では描かれていなかったり、描かれていたシーンとは別角度で描かれた侑とメンバーとのカットが入ったことにより、メンバーとメンバーの間で進んでいた物語の合間にも侑の存在が関わっていたことが示唆されました。

 それはみんなからのプレゼントを渡したり、髪をほどく姿に目を奪われたり、ボードの開発に夜遅くまで付き合っていたり。
 ひとつひとつの全てが劇的なものというではなくて、でもどれもが大切な日常のシーン。

 ただひとつ感動しつつもたまげたカットがあり、えっ侑……花冠被ったエマさんと草むらの上で……抱き合って眠……顔をうずめ……寝……なにをしてるの!? どういう状況!?

 めちゃめちゃ動揺してしまいましたが、他だと個人的に好きなのは10話の合宿回の鬼ごっこ冒頭、果林さんが「侑も逃げるわよ!」と手を引いて走り出したシーンの別カット。
 10話だと手を引かれたことにびっくりして「うわぁっ!?」とついていく侑のシーンで場面が切り替わっていましたが、今回のカットでふたりとも笑顔で走っているのが見えて、なんだかそれがとても嬉しかったです。

 また、途中のカット。それぞれにメンバーが手を伸ばすシーンが入り、最後に「誰か」と「誰か」の手が繋がります。

 つなげた手も、その先の手もきっと見ている人間の心次第。
 筆者の解釈も、他の人の解釈もきっとバラバラ。自分の中では少なくとも、それを是とするべきだと考えています。
 ただとにかく、心が熱くなりました。

 スクールアイドルフェスティバルは、みんなの夢を叶える場所
 そうであると同時に、みんなの夢がはじまる場所でもあります。

新しい明日へと さあ夢が ここからはじまるよ

 このフレーズとともに、夢へ踏み出し始めた侑のモノローグが始まったように。


高咲侑

 夢を見ること自体に憧れ、夢を支え、夢を見つけ、でもまだその夢に自信を持ちきれない少女。
 自分自身の夢への自信、その根拠と願いをもスクフェスに乗せ、自身のできることにめいいっぱい向き合っていました。

 前話感想で「高2の2学期から転科は並のことではない」といった旨の文を書きましたが、そのことも侑はよく理解しています。

 だからこそ、その大きな壁を超える勇気を持ちたいという願いを、自分へ夢をもたらしてくれた存在の集うお祭りへと託していた。
 ゆえに中盤、予報でも言われていない突然の雨というどうしようもない事情でそれが終わりそうになったとき、今までにない気弱な表情を見せたのだと思います。

 すぐさま雨が上がる、突然大きな屋内会場が使えるようになる、という奇跡は起こりません。
 けれど最後に、今まで積み重ねてきたひとりひとりの力が集まって、フェスのラストステージへ繋がりました。


「何事も、全部うまくいくなんてことは、あるわけなくて。
 実際は、後悔しちゃうことばかりなんだと思う。
 でも──!

 Bパート終盤の侑のモノローグ。
 これが今までの物語で、これからの物語でもあるのでしょう。

 いろんな選択と、いろんな希望と、いろんな後悔を経験しながら生きていく。
 侑だけでも、同好会だけでも、このアニメに出てきたすべての人たちだけでもない。きっとリアルな日常を送る多くの人に共通することだと思います。
 それがここまでしっくり頭になじんでくるのは、それだけ侑をはじめとする全ての人たちが、「キャラクター」である以上に「生きている」という実在性を持って描かれてきたから。
 だからこそ、「生きている」彼女が希望に満ちた曲と共に夢へと踏み出すラストシーンは、画面の外の筆者の心を強く打ちました。


 また、同好会メンバーがフェス中におそらくひとりひとり寄せ書きをしていたのであろうノート。
 明言はされていませんが、歩夢とせつ菜の振る舞い的に明らかに宛先は侑です。メンバーが合間に受け渡しをして寄せ書きを増やしていた場面も挟まれていました。

 けれど、それを侑へ渡すシーンは直接的には描かれません
 なので中身がなんであるとか、どんなリアクションをしたのかとか、そういったことはあくまでそれぞれの想像の枠を出ないでしょう。
 自分はそうであることに満足しています。

 とても大切なプレゼントが、視聴者の知らない(確定できない)タイミングで侑へ手渡されている。
 それは他愛もない日常だけでなく、大きな感情をともなうような出来事も、画面の外からは見えない彼女たちの世界でたくさん息づいていることの証のようにも感じるからです。
 明確に語られていない部分、その余白は彼女たちだけの知るべき物語と受け止めています。
 少なくとも、今のところは。


NEO SKY, NEO MAP!

「きっかけは少し後から思い出し 全てがつながって
 出会いって謎だらけ いつから決まってたんだ」

 2番のAメロの歌詞です。

 明確に語られていない以上、断言はできません。
 ですが以下のように心が受け取ったので、そのように書きます。

 ラストシーンは、フェスの感想に盛り上がる9人とは別の場所、1人で転科試験の実技披露へ向かう侑の姿で締めくくられました。
 3話や10話のときにはまだ夢は固まっていないまま触れていた鍵盤に、今度は夢を実現するために指を伸ばします。
 審査官たちの前で一礼し、息を吸って。

 ここで始まるのが毎週聞いていた「NEO SKY, NEO MAP!」。1話から毎話、たくさんの感情とと共に見続けてきたED映像です。

 この曲は、ピアノの主旋律から始まります。
 つまり……つまり!!! となってしまいました。

 今まで聞いてきたEDに、新しい意味合いが追加されたような。そんな気がしています。
 歌っているのは同好会のメンバーで、歌詞もひとりひとりに重なります。
 けれどそれは侑も同じで、歌詞を辿ってみると、彼女がここまで積み重ねてきた日々と重なってくるような


夢見て憧れて また夢が見たいんだ 見たい、見たいんだ!

 同好会のスクールアイドルたちも、侑も、それ以外の人たちもそうです。
 夢に出会うタイミングやその内容はそれぞれに異なっていても、この物語はつまるところ、この歌詞を体現したものだったのだと受け取っています。

 最高のEDの入り方で、最高のEDで、寂しさ以上の幸せな気持ちでしめくくることができました。


 以上、13話を見たオタクの感想と感情です。

 雨が上がったときに空へ虹がかからなかったのは、その空の下で踊るスクールアイドルたちや、広がるペンライトの光の海や、バラバラな色の夢の集まり自体がそれを指していたからかもしれません。
 副会長が設けてくれた最後のステージに向かってみんなが走り出した瞬間が、虹のかかった瞬間だったのかもしれません。
 筆者はそう受け取っています。ただ、どの話のどのシーンにも言えることですが、受け止め方は見る人それぞれに心にあるのでしょう。

 演出上での意図や「正解」と呼べるものもきっとあります。
 ただ言葉にされていない限りは、あるいはされたとしてもそこに付け加えるようにして、心に生まれた自分自身の考えや解釈を大切にしていこうと思います。

 結実した先、すべてが奇跡のようにうまくいくわけではないけれど、それでもみんなで積み上げてきた今までと今とこれからで、夢と未来とを作り上げたラストでした。
 それぞれにバラバラの夢を見て、その夢が広がって、語られないその先でもそれぞれの夢がずっと続いていく、希望に満ちた物語だったと感じています。

 同好会の物語も、広がったすべての人たちの物語も、視聴者からは見えないところで確かに続いていく。そのことがただ嬉しいです。

 あたたかい気持ちだったり、文字にして残したいと思える自分自身の感情のうごめきであったり、なにより毎週の短くも素晴らしい時間であったり。
 たくさんの愛情で紡がれた9人と1人の少女の物語」から、言葉にしきれないものを受け取りました。
 この心の温度をきっと忘れません。そうであるために、この文章を書いています。

 このアニメに関わり触れるすべての時間が素晴らしかった。ありがとうございました。




おわりに

 アニメ感想noteも最後なので、感想を完走した感想というか、これを書いた人間の小並感を少しだけ。アニメ内容については上までの部分で全てです。

 観たてほやほやのおかしくなったオタクの様子をしたためるために書き始めたnote、13週分の思い出を残せて良かったです。
 1話を見てからいてもたってもいられなくなり、その後もほぼずっと、いてもたってもいられなくなり続けてきました。
 たぶん将来の自分はこれらの文章を見て、「とにかく興奮してて楽しんでたんだろうなぁ」という感情を受け取れるのだと思います。

「これは感想であって、考察や解説とは全く異なります。」

 感想文の序盤に入れ続けた文言ですが、これこそが本旨です。
 このnoteやマガジンは自分のためのオタク感情タイムカプセル未来の自分にあてた過去の自分の観察日記です。その本旨は達せられたと思っています。


 改めてになりますが、この3ヶ月間、ものすごく楽しかった。
 土曜日だけでなく、ラジオの更新や振り返り放送、またそれらを待つ日々のどれもが、自分にとって最高に輝いていました。
 アニガサキにつながった全てへ感謝しています。


 これからどういうモチベーションで生きていこうか問題ですが、とりあえず随時手元に来るBDや来年頭からの再放送を観て、アニガサキをキメながら過ごしていこうと思います。ラジオもありますし。

 あと来年には再放送するしサントラ出るしシャッフルフェスやアニメコンセプトの3rdライブもありますし、フォトブック2、3弾やにじよん新シーズンも始まるし、2021年にもいろんなことがある! 生きるしかない!


 ただ欲をいえば冬服で動くみんなも見てみたい! ので!
 未来は何があるか分からない。もらったときめきを大事に抱えて、これからも過ごしていこうと思います。

 3ヶ月間わりと本気でアニガサキ関連以外の人生の記憶が希薄なオタクからはひとまず以上です!! 最高の時間でした!!

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