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【ネタバレ有】アニメ・虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会2期第7話「夢の記憶」感想

前話までの感想はこちら



 2022年5月13日、22時。ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のアニメ2期第7話が放送されました。

 先週からわかっていましたが案の定栞子に感情をめちゃくちゃにされ、予想外に薫子さんにも揺さぶられ、Bパートラストでラッ……ランジュ!!!!になってしまいました。
 SIFのワクワクと、三船姉妹への感慨と、「お人好し」な10人への眩しさと、ランジュへの弩級の心配が入り混ざったすごい感情で胸が満たされています。どうしよう

 今回の新曲、2期においては2曲目のソロMVでしたが、最初から最後まで「踏み出し始めた三船栞子」らしさに溢れていて、とても美しいと感じました。
 地球儀を回すところで転調、和楽器の音が入り始めるシーンや、本を開くことで翡翠色の羽の栞が舞い、歯車を回すための鍵を見つけるところ。一度止まっていた栞子の世界が少しずつ周り、そして始まる瞬間とのシンクロが気持ちよすぎます。
 一番好きなのは「曲の終わりに」時計の針が進むところです。初見のときは背景の時計はサビに入ると同時に動き出すのかと思っていたのですが、そうではなかった。
 自分の夢に向き合い歌い切ったことで、栞子の時間が動き始めたのかなと思っています。
 あと曲中の三船姉妹のやつ……ButterflyでもそうだったけどMVにそういうのを入れられるとシンプルに破壊力が高い……!

 では以下より、限界乱文をしたためます。
 なおこれは「感想」であって、考察や解説とは全く異なります

第2回SIFの様子

 5校合同連続開催というとてつもなく大きなお祭りになった今回のSIF、その様子がたびたび描かれていましたが、さらっととんでもないことを大量に詰めまくっていてヤバかったです。
 簡単にいくつか抜き出すだけでも

・近江姉妹の共演
・姫乃ちゃんと果林さんがお揃い衣装でタイマンライブ
・他校×ニジガク合同ステージ
・限界突破推し活エンジョイ副会長
・濃い他校メンツの中でもとりわけ濃い紫苑女学院と、愛さんの紫苑に対する「紫苑女学院のみんなだって、すっごく個性的だと思うよ?」というごもっともすぎるマジレス

 いろんなことを起こしすぎ。
 
とくに近江姉妹のところ、あまりにもいきなりきたので初見のときは「あれっ今のもしかして彼方さ……遥ちゃんはわかったけどあれ? さっきの彼方さん……!?」となっている間にシーンがどんどん進んでいっていました。
 そのあとも平気で衝撃画像が軽快な劇伴とともに流れていっていたので「止め絵じゃなくていずれOVAで楽曲付きMVを流してくれないと困りますが!?」のオタクになってしまいました。

 ところで会場提供をした5校には含まれていませんが、次回あたりしずくちゃんと青藍高校でなにか……なにかないですかね!? スクフェス転入生組出身の彼方さんとエマさんはそれぞれあったわけなので……どうにかなりませんかね……!

三船薫子

 お当番の表現で言ったら栞子回となる話なのでしょうが、個人的には薫子さんの描写がとりわけ印象深く残っています。
 学生時代に向き合った夢や目指した大会があり、そこで目標に届かなかった経験があるとそうなるのかもしれません。
 普段なんだか自分と作品の距離感的に適切でない気がして「共感した」という表現はなるべく避けているのですが、今回においてはそれが一番近い感情かもしれません。

 スクールアイドルとしてラブライブ優勝を目指し、3年間を捧げ、それでも全く届かなかった過去。
 
大会を目指すタイプの部活であれば、優勝者以外はみんな敗北を経験します。勝ち続ける人よりも、そちら側の人の方がよほど多いでしょう。
 けれどそれで終わりではないし、夢破れても新しい夢を見つけることはできます。

薫子「してないよ、後悔なんて
  「確かにあのときは悔しかった。でも、今では、やってよかったって思ってる
  「スポットライトの眩しさも、歌を届ける喜びも」
  「可愛い妹にすごいって言ってもらえる誇らしさも。スクールアイドルをやって、知ることができたんだから」
(中略)
薫子「それで今は教師になって、たくさんの生徒を──あなたを! 応援できる人になりたいって思ってる

 Bパート終盤、栞子へ向けた薫子の全ての言葉が晴れやかで、これは一度夢を通過した彼女にしか言えないことだと思いました。
 悔しかったことと挑んだこと自体を後悔することは別ですし、届かなかったことと適性の有無はまた別の話です。
 もっと言うと、負けてあれほど涙が出るのは、それだけ全身全霊でやり切ったことの証明でもあります。それくらい本気で挑んだことは、仮に傷跡として残ったとしても、やってよかったと思える経験になる。

(筆者のめちゃめちゃ個人的な話でしかないのですが、ある競技において(大会の規模感が違うものの)思い入れのない勝利と全力でやり切っての敗北、どちらも経験したことがありした。今の自分の糧になっている割合で言えば、明らかに後者のほうが大きいと感じています。)

 薫子さんという「一度夢破れた人」の視点を通して、虹ヶ咲が選ばなかった形でのスクールアイドルも晴れやかに肯定されたことがとても嬉しかったです。
 ラブライブを目指しても良い。勝てなくてもやり切ったこと、目指したことで、後の自分はそのときの自分を肯定できる。
 スクールアイドルでなくなっても人生は続いていきます。過去の痛みも今の糧や思い出にしていけるなら、少なくともただの後悔や、やらなくてよかったことにはならないと思います。
 もっと意味を拡張すれば、スクールアイドルに限定しなくてもいいとも言えます。彼女のセリフのひとつひとつが、何かへ挑み、挑んだ人を照らす言葉に思えました。

 あと途中の回想シーン、幼い栞子が「自分はスクールアイドルじゃないし」と舞台へ立つことを断ったときのシーンがめちゃくちゃ好きです。

栞子「お姉ちゃん、ステージに立つってどんな感じ?」
薫子「立ってみる?」
栞子「え? だ、だめだよ。わたし、スクールアイドルじゃないし……」
薫子「じゃあ、いつか自分で立ちなさい

 せっかくだからと無理に立たせることはせず、妹の憧れと夢へ背を押すように、導くように伝えた言葉。
 こういう行動を取れる人が教職の道へ進もうとするのはすごく納得がいきます。根から人を育てることに向いているのか、自分を慕ってくれる妹の存在がそうさせたのか。
 なんというか、すごく良かったです。三船薫子という人の精神性が見えたような気がしました。

 姉妹ふたりで出てくるたびに栞子へ「スクールアイドルやりたいんでしょ?」と問いかけるのも、今となるとお見通しなお姉さんという感じでめちゃめちゃ好きです。
 ただそこで強く押し切らなかったのは、栞子の意思を重んじるということでもあるでしょうし、「自分たちの代はパッとしておらず、ラブライブも予選落ちで、ガッカリさせてしまっただろう」という後ろめたさのようなものがあったからかもしれません。
 そして、後述する栞子の言葉から「ガッカリしたから」ではない本当の理由を聞けたからこそ、ああして背を押してくれたのではないかと思います。

三船栞子

 賢いけれど不器用、隠すけれど誠実、理性的でいるようでいて感情が豊か。彼女のいろんな面が一気に見えました。

 理詰めで話しているように見えて、全然自分の感情に対して嘘がつけない子なんだなと感じました。隠しはしても曲げはできていません。考え方は話しても感じ方は喋らないタイプ!!

栞子「私は、自分の適性を最大限発揮できる生き方をしたいと考えています」
  「それは、みなさんの夢をサポートすることです。ステージに立つことではありません」
(中略)
  「身の丈に合わないことに入れ込むより、向いていることだけに、全力を尽くす。そうすれば、みなさんの役に立てるし、喜んでもらえます。それが間違っているとは思えません」

(サポートに対するスタンスが、栞子は『夢ではなく適性』という諦めからの選択なのに対し、侑は『自分の夢を叶えるためにしていること』というのが正反対。両方能力的には向いていることなのだと思いますが、綺麗に対照的で面白いです)

 例えば、「適性を最大限発揮できる生き方をしたい」「みなさんにも喜んでもらえる」とは話すものの、それが自分にとって幸福かどうかについては一切口にしていなかったり。
 また、諦めたとは言っていても、やりたくないとは一度も言っていなかったり
 「やりたいんじゃないの?」という問いに直接は答えず、否定もしていなかったり。そしてそれは薫子さんも感じ取っているようでした。

 嘘をついてでも本気で夢を否定するのなら、ただ一言「スクールアイドルをやりたくない」と言ってしまえば済む話です。
 ただそうはしなかったし、きっとできなかったのだろうと思います。真面目すぎというか、過度に誠実というか。

 「姉はスクールアイドルへの適正を欠いていた」という言葉は、自分自身の心を守るための表現のようにも思えました。
 自分が憧れる存在、輝いて見える存在が真摯に努力してもなお報われなかった。その理由づけのために言葉を使っているような。無理やりにでも自分を納得させるための方便であるような。

栞子「私の、夢」
  「……でも、姉は泣いていました
  「夢を叶えようと、3年間、努力し続けて……最後は、泣いていたんです! 後悔していたんです!

 Bパート終盤、同好会のメンバーが栞子に「やりたいことをやってほしい」「栞子の夢を叶えてほしい」と思いを伝えたあとのセリフ。
 真っ先に「姉は泣いていました」という言葉が出てくることで、栞子が薫子を心から愛していることや、だからこそ泣いている姿に傷ついたことが伝わってきます。
 幾度も彼女が言った「姉は傷ついていた」という言葉は、自分が姉の泣く姿に傷ついたからこそ出てきたのかもしれません。

 アバンのシーン、表情の変化のタイミングからして、栞子が一番衝撃を受けていたのは、引退や敗退というよりも「薫子が泣いていた」ことについてだったように感じています。
 そもそも仮に姉に適性がなかったとして、イコールで自身にも適性が無いと判断するのは些か飛躍しているように思えます。意思は自由でいいと思うのですが、避ける「理屈づけとしては不十分です。

 やはり「有意義な人生の使い方」「適性」という理論武装はしていても、根っこの判断基準は感情だったんだろうなと思いました。
 そういう意味においても、彼女の本質は「EMOTION」にあるのだと感じています。
 だからこそ、彼女が自分の心に正直になれた今話、めちゃめちゃ良かった……と噛み締めるように思います。冒頭で触れましたが新曲の何もかもが激エモ最高MVでしたしね……。

 また、今までの話や今話で、デカすぎるお祭りの運営責任者という重たすぎの役割を請け負ってくれていたり、当日は全然自由時間を取らずに仕事をし続けていたりと、自身の適性としているサポート業務を全力でやってくれている姿が描かれていました。
 そんな彼女が、支えたスクールアイドルたちによって夢を呼び起こされるという話の流れは、「誠実に頑張り続けた人間が報われる」という6話の菜々の姿にも重なるように感じます。
 つまりめちゃめちゃ良!!!! ということです。良!!!

 あと上の諸々を全部置いておくとちっちゃい頃の栞子ちゃんマジで全部可愛かったです(紫苑女学院でのところ、出身の学生の肉親とはいえ普通に文化祭の展示写真に写っちゃってるのはちょっと面白かった)。
 なんとか最終話までに全員分の幼少期を描いてくれないだろうか……お願いアニガサキ……。

ランジュ!!!!

 ラッ……ランジュ!!!!
 
Bパートラストのアレももちろんそうですし、Aパート最初で栞子に「これから一(緒に)……」と声をかけようとするも引っ込めて「無問題了。お仕事頑張ってね!」で去ってしまったところとか、途中で同好会メンバーと会ったところでの会話とか、観ていてウワーー!!! となるところが満載でした。 
 Aパートのやつとか、栞子の前では笑顔を崩さず歩いていったのに背を向けたときには笑顔じゃなくなってるし……!!!!
 このウワー!!となる感覚、大まかには1期中盤ごろからの歩夢を観ている感情に近しいものがあるのですが、ランジュについてはあの時点の歩夢よりも精神的なタフさだったり生き方だったりが骨太な分、なんだか別個のウワー!!があります。苦しさの種類が違う感じ。

 特に栞子が自分のライブでは夢を喚起できず、同好会や薫子の支えで夢を取り戻した光景。「アイドルはファンに夢を与えるだけでいい」の「与えるだけ」すらできておらず、それも対象は大事な幼馴染みというのがなんかもう……そしてあの表情で静かに去っていくの、観ているこっちがすごい苦しくなります。今までの描写でランジュが相当栞子を心の拠り所にしていそうだったのも相まってヤバいです。助けてください。

 それに一緒に来日したミアについても、ランジュも出ているフェスに「興味ないね」と行く気がなかったのに、同好会1年ズに囲まれてバーガー食べながらエンジョイしてる光景まで事前に見てしまっています。

 対して自分は

彼方「あれ〜? ランジュちゃんもいる〜! 一緒に回る?」
果林「もうすぐ紫苑女学院と歩夢たちのコラボステージが始まるわよ」
ランジュ「結構よ。あなたたちのライブは、明日たっぷり観られるしね

 と、ステージを一緒に見て回る?という誘いを断ってしまっています。
 別にライバルだとしたって……一緒にステージを見る分には別に……良いんじゃない? このコラボは今日しか無いが!? 今までだって客席で後方腕組みしてくれてたじゃん……! となってしまいました。

 最初に栞子を誘わないという選択をして以降、自分からひとりになろうとしているような。孤高であろうとして孤独になってしまっているような印象を受けます。
 その上で

エマ「虹ヶ咲での最終日、楽しもうね!」
ランジュ「ええ!」

 と答える表情は勝気な強者そのもので、多分これだって紛れもなくランジュの本心だとは思うのですが……。
 強さと弱さの出方が不安定というか、ギャップというよりも齟齬を感じるというか、見ているこっちの感情も名付けがたく不定形なものになってきています。助けて。

 大丈夫か……大丈夫か!? このところずっとランジュが心配です。
 2話の夕暮れの部屋で愛おしそうに同好会のアクキーを並べて眺めている姿がずっと頭にちらついて離れない……助けてくれ……。

ほか、ここすきポイントなど雑記


・朝香果林

やりたい気持ちがあなたにあるんなら、それだって十分『適性』なんじゃない?

 今話の栞子ちゃんと、スクールアイドルを目指そうとする人たちへ対する総括にもなりそうなド名言。
 栞子自身を縛る呪いを、夢への後押しの言葉へと変えたセリフ。
 同時に、夢破れはした薫子への肯定のようにも思えます。
 やりたいと思い、やりきり、後悔はないと堂々と言えているのですから、薫子にもスクールアイドルの「適性」はあったのだと。
 このシーンにおいては果林さんから栞子へと向けられた言葉であることに違いはないのですが、他にもいろんなところを照らす言葉に思えます。

 1期5話の

果林「スクールアイドル、できるかしら、私に」
エマ「やりたいと思ったときから、きっともう始まってるんだと思う
果林「……うん」

アニメ・虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会第5話 Bパート最終盤

 を思い出しました。
 1期13話でも同様の言葉をスクールアイドルを目指す子たちへ贈っていましたが、今話においてはさらにそれを自身の中で噛み砕いたというか、身にした上で、果林さん自身の言葉として栞子へと贈っていたように思えます。

 というかこの人、1期時点でもプロ意識とかお仕事してる立場とかパフォーマンスでは周りのお手本になりつつ、プライベートや精神的な面ではかなり仲間に支えられているという積み重ねがあるので、何をどう言おうが大抵は説得力が出てくるの、普通にずるいと思います。
 真面目もコメディも主軸でこなせて結局カッコいいの、欲張り過ぎ。

・彼方ちゃん

彼方ちゃん楽しみ過ぎて、夜しか眠れなかったぜ〜♪

 ここすき。めちゃめちゃかわいい
 2期2話で璃奈ちゃんに声をかけたときの「よっ!」もそうなのですが、彼方さんの時折挟まれるこういう口調が好き過ぎます。
 この使い過ぎずピンポイントで出してくる感じがたまりません。やんちゃ口調の近江彼方、栄養価が高い。
 しずくの「それ普通です」という突っ込みは通常ならごもっともなのですが、隙あらば眠りの体勢に入る彼方さんが夜しか眠れないのは特例な気もします。彼女なりの本当のワクワク表現だと考えるとまたかわいい。


 以上、7話を観たオタクの感想です。

 まだSIF期間ですので正確には栞子ちゃんは加入していませんが、同好会メンバーが1人増えました。
 ただ分からない、このアニメなので本加入までにランジュとの関わりでなにかあるかもしれない……ので(仮)と考えることにしています。

 今までこのアニメは描かれる人間像に対して感動しつつ「高校生の子たちの青春を見届ける」という感じで観ていたのですが、薫子さんのセリフや生き方に触れたことで、なんだかその部分においては自分の人生との距離感が少し詰まったような気がしています。
 共感というよりは、しみじみと人生を思い返すような感じです。今までにもらってきた感動や感慨とはまた違った種類、不思議な感情が胸に残っています。
 一番には栞子ちゃん良かったね〜〜〜という気持ちとラッ……ランジュ!!!!という感情がくるのですが。

 次回タイトルは「虹が始まる場所」。タイトルに「虹」って入ってるとそれだけでワクワクしてしまいます。
 今話でも触れられましたが、SIFというお祭りは「みんなの夢を叶える場所」。今回は栞子でしたが、次話ではどうなるのでしょう、

 次回予告のところで侑とミアちゃんがなにやら会話していそうな描写もありましたし、一体何がどうなるのか相変わらず全くわかりません!!!
 アバンで触れられていた侑の制作している何かや、Cパートでなにやら思いを巡らせている姿の伏線回収にワクワクしつつ、次話を待ちたいと思います。

1期の感想はこちら

お借りしたヘッダー画像:https://pixabay.com/images/id-1049826/

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