【ネタバレ有】アニメ・虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会第6話「笑顔のカタチ」感想
今(1−5話)までの感想はこちらから
2020年11月7日、22時30分。ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のアニメ第6話が放送されました。
タイトル通り、璃奈ちゃんの「笑顔のカタチ」を見つけた回だと感じました。
下でも少し触れますが、PVのカットがどれもめちゃくちゃ可愛くてヤバかったです。
この記事はアニメ感想ですが、若干スクスタの各種エピソードのネタバレ(中核とかではない部分)を含む可能性があります。
アニメの内容についてはネタバレし散らかすのでご注意ください。
では以下より、限界乱文をしたためます。
なおこれは感想であって、考察や解説とは全く異なります。
壁を作って、壁を取り去る──段ボールと璃奈ちゃんボード
Bパート中盤の話をします。
窓に映る自身の表情を見て「変われていない」「変われない」自分に気付き、深く沈み込んでしまった璃奈。
家までやってきた同好会メンバーに対し、表情の硬さで悩み続けてきた自分、変わりたかったのに変われない自分への悔しさを吐露します。
「自分の表情がどうしても気になっちゃう」と叫び、これでは自分が誰かと心を繋げることなんてできないと悲しむ璃奈。
けれど彼女は(詳しくは下記で触れますが)侑や愛たちの言葉を受け、励まされていきます。
そんな中、今話のある種の決定打になったのはせつ菜の発言。
せつ菜「璃奈さんとこういうお話しできたの、初めてですね」
璃奈「!」
(彼方「そういえばそうだねぇ」)
璃奈「もしかして……! ──これだ!」
ダンボール越しだからこそ本当の本心を打ち明けられ、箱の上から抱きしめられることで、そのままの自分を肯定してもらえたからこその発見。
きっとここで愛やメンバーが「ダンボールをどかして」対話をしていたら、むしろ璃奈はまた上手く気持ちを言葉にできず、今度こそ本当に折れてしまっていたかもしれません。
あるいはそこまでいかなくとも、やはり気持ちを伝えるには素顔をどうにかしなければダメだと、困難に飲まれて身動きがとれなくなってしまっていたかもしれません。
でもそうではなかった。
箱を隔てても心を届け、向こうから届けてもらうことが出来たから、彼女は気づけました。
新しい笑顔のカタチ、璃奈ちゃんボード。
ボードという形で物理的な壁はできるけれど、心を伝える上での「壁」はかえって取り払われる。
それは今までの過去や失敗に立ち向かい、前に進むための武器でもあるように感じました。
あとこのくだりにおける侑の
「私、璃奈ちゃんのライブ、観たいな。今はまだ出来ないことがあっても良いんじゃない?」
も良かったです。
そもそも璃奈がライブをしようとした理由は、自分のクラスメイトが愛や歩夢に対して「ライブを観たい」と言う姿を見て、彼女たちと「友達になりたい」と思ったから。
「ライブすること」を通じて心を近づけたいと思ったからでした。
それを受けての「今のままの璃奈でも良い。璃奈のするライブを観たい」という侑の言葉の使い方は、背中を押す上でとても的確だったと思います。
かすみ「りな子。ダメなところも武器に変えるのが、一人前のアイドルだよ?」
愛「そうそう! できないことは、できるところでカバーすれば良いってね!」
ダメなところ、できないこと。少なくとも璃奈自身がそう思っているのは、うまく感情を表現できない自分の素顔。
できることは、その直前にメンバーがたくさん挙げてくれていました。
ライブの準備にあたってずっと隣で応援してくれていた人たちの言葉だからこそ、説得力を持って彼女に届いたように感じます。
しずく「そうですよね! 璃奈さんにはできるところ、たくさんあるのに!」
歩夢「頑張り屋さんなところとか」
果林「諦めないところもね」
侑「機械に強いし!」
せつ菜「動物にも優しいですよね」
璃奈ちゃんボードは、このときに璃奈がメンバーから受け取った言葉の結晶のように思えます。
ところで、時系列的に璃奈ちゃんボードが一晩で完成している点について。
超絶動画編集技術やIoT行き届きまくりのハイテクハウスや大量の機材やらを見ていると、まああり得ないことはないか……みたいな気持ちになってきます。愛さんもいるし。
ここでボード作成RTAのシーンが挟まってもびっくりしてしまいますし、技術力はストーリーの本旨ではないので(独立した動画で制作過程を見るなら相当面白いとは思います)これくらいの触れ具合で駆け抜けていくのがちょうどいいと感じました。
ライブとPV
ライブ当日、璃奈の登場の前に画面に現れたのは、彼女の生み出しためちゃめちゃ可愛いデフォルメ調のキャラクター。
この前の日にクラスメイトからも好評の声をもらっていたマスコットです。
ライブをすると決める前から登場していたこのキャラがいることで、ステージ上に現れた彼女があのボードを着けていることに対して、観客がスッと受け入れられるような演出になっていると感じました。
たぶん何もなしで急に璃奈ちゃんボードが現れたら(特に素顔の彼女を知っているクラスメイトからしたら)「何事!?」となってしまいそうです。
しかし事前にあのマスコットを見た上でボード姿の彼女を目にしたら、まるでデフォルメの子が擬人化されて画面から出てきたような演出に感じるのではないかと思います。
「この子はこういうコンセプトでパフォーマンスをするんだな」という彼女の色が見えやすく、飲み込みやすい。
そして璃奈からすればこのマスコット(名前も独自に付いているのではなく『天王寺璃奈』とそのまま名乗っている)も、璃奈ちゃんボードと同様に自分自身に他なりません。
気持ちの送信側にも受信側にも互いに繋がりやすい状況を作り上げているように感じ、ただ可愛いだけじゃなくて仕事を完璧にこなしているつよつよマスコットだ……! となりました。
そして曲がいよいよ始まる、その直前。
床に映る璃奈ちゃんボードを装着した自分を見て、鏡像越しにニッコリと笑う表情を見るところが良過ぎでした。
初見時は思わず画面の前で心臓を押さえてしまった。
アバンでの窓に映る無表情な自分の口元に笑顔を描いたシーン、クラスメイトに対して踏み出そうとして、窓に映る自分を見て心が竦み、折れてしまったシーンとの対比が鮮やかです。
今回、写り込む璃奈はまるで背中を押しているように見えました。
直後の息遣いから「大丈夫」という確信すら感じ、その流れからPVに入るのはもはやズルい。
新曲は「ツナガルコネクト」。パッと現れては消えるいろんな衣装のカット(音ハメが気持ちいい)と、合間合間に挟まる表情はあまり動いていないはずなのに無限に可愛い璃奈が全部最高。
どこも最強に可愛かったのですが、個人的にとりわけ好きなのはPVの間に一瞬だけボードの隙間から見えた、楽しそうに歌う口元のカット。
感情を伝え繋がる手段を得た彼女は、今はまだそのまま見せられるわけではないけれど、表情にも感情を出すことが出来ていました。
小さい体で踏み出す大きな一歩を見られたような気持ちです。
天王寺璃奈の強さと挫折
2話前に「ライブをしたい」とホワイトボードにどーんと書いていたかすみや、同好会として既に活動していたメンバーではなく、璃奈が(1話のせつ菜は別として)真っ先に対外的、公式のライブに乗り出すのが好きです。
偶然ステージが空いてたのが「来週の土曜」とかいう超絶タイトスケジュールでも恐れずに敢行していくの強すぎる。
MCについても「難しそう」とこぼし、かすみやせつ菜に「MC無しのスタイルもアリ」「今度のライブではやらない方向でいきますか?」と言われながらも(2ー3話以降このふたりが多様なやり方に対して理解を示し続けているのも本当にすき)、
璃奈「ううん、やる。今回は『できないからやらない』は無しだから」
と、あくまで挑戦する姿勢を貫きます。
スクールアイドルになるときも、なってからの特訓も、璃奈のスタンスはずっと積極的。「変わろう」とする取り組みに対してですらも。
苦手なものにもどんどん挑戦していける人間だと描かれているからこそ、そんな人が立ち止まり足を竦ませてしまう、「表情の硬さ」という問題が彼女にとってどれだけ深刻なものなのかが伝わってきました。
しかも今回は今までのように自分だけが頑張るのではなくて、同好会のメンバーみんなに応援をされていて。
自分でも「こんなに変われるなんて思わなかった」と感じるほど、璃奈の毎日はワクワクするものに変わっていました。
気持ち以外でも、柔軟のように具体的に成長している部分も十分あります。けれど表情だけはダメだった。
かすみに「ダンスが良い感じになってきた」、せつ菜(璃奈にしてみればスクールアイドルの凄さを教えてくれた張本人)に「この調子で頑張りましょう」と励まされ。
「今の私なら」と思った直後に、窓に映る無表情な姿を見てしまった。
意識や技術は確かに変わっているし、自他ともに分かるほど成長したのに、一番変えたい部分は変わっていなかった。
それはもう折れてしまっても不思議ではありません。SEにはちょっとびっくりしましたが、それほど衝撃的だったということでしょう。
「孤独感」の生々しさ
今話で度々触れられた彼女の「失敗」は、つまるところ「孤独」のようなものだと思います。
これは本編の内容自体というよりは描かれ方で感じたことなのですが、アレです。素朴に辛かった。
アバンの
璃奈「思いを伝えるのって難しい」
まで至る教室でのくだりとか(でも最初に一声かけた段階でとてもえらい)、話しかけてきたクラスメイトについて侑に「友だち?」と聞かれて「……クラスメイト」と答えるところとか、めちゃくちゃ心がザラザラしました。
「表情が出にくい」のは璃奈固有に抱えている悩みとして描かれていますが、この孤独感というか馴染めない感覚の描き方は……たいへんに……実在感がある……。
1話序盤の侑と歩夢のパートが特に顕著ですが、等身大の人間の描き方がとても地に足着いてる感じのアニメなので、こういう話を描かれると普通に画面越しに刺さってきます。
あと悩みを吐露している最中の
「自分が、恥ずかしくて」
「全部私のせいなんだ」
「みんなは『こんなことで』って思うかもしれないけど」
とかの端々が全部辛い。
特に3つめのセリフとか、多分これ今まで誰かに相談しても「そんなの大したことない」とか「笑顔で話しかければいいだけ」とか言われてたんじゃ……と辛さのあまりに過去の周囲による無理解を邪推してしまいそうになります。
「ずっとそれで失敗し続けてきたから」とか……変わろうとして、でもダメで、という経験をずっとし続けてたのにまた頑張ろうとしていたのがむしろ凄い……璃奈……十二分に強いよ……。
それに彼女、
「ごめんね、勝手に休んで」
「……このままじゃ、私はみんなと繋がることなんてできないよ……ごめんなさい……!」
と、最初から最後までただただ謝っています。自責自罰の念が強すぎる。
ただここがめちゃくちゃ辛いからこそ、上でも書いた「段ボールを引っぺがすのではなく、段ボール越しに」声を聞き、抱きしめ、「気持ちを教えてくれてありがとう」と受け止める愛さんやメンバーの温かさが沁みます。
作中世界でもそうですし、視聴しているこちらと画面の中の璃奈という関係性でも、段ボールや手で遮られて表情の見えない璃奈の感情がとてつもなく伝わりました。
ほか、ここすきポイントなど雑記
・璃奈のクラスメイト、めっちゃ良い子たち
3話の双子生徒会に続いてパンチ強めの子がいました。眼鏡をかけてる子、アホ毛の主張がだいぶすごいな!
アバンのくだりだったりAパート最後だったり、事情を知らないと戸惑ってしまうような場面に何度か出くわしていたと思うのですが、見かけたら声かけてくれるし、休んでるの心配してくれてるし、ライブは見にきてくれるし、感想を伝えようとしてくれるしでめっちゃ良い子たち〜〜〜! となりました。
あとアバンで「欲しいぬいぐるみがあるんだよぉ!」と言っていた子、Aパートのジョイポリスでの様子を見る限りどうやらゲット出来たようでなによりです。
・光属性宮下愛
「元気がなさそうだったから」という理由で初対面の後輩に話しかけるわ、(上級生……こわい)という璃奈のモノローグに「怖くないよ!」と即答するわ、「お友達と行ってください」と差し出された割引券を見て「じゃあ一緒に行こっか!」とあっさり誘うわで、太陽の擬人化。
特に最後のくだり、言外に「友達になろう!」と言っているのとほぼ同義というか、この光具合から言うともはや愛の中では既に友達になっている可能性すらあります。
というか「怖くないよ!」についても、言葉に出してない璃奈の気持ちを表情から読み取った可能性があるなと書きながら思いました。
4話のエマさんと璃奈の会話に入ってきたときの言動といい、愛はマジで璃奈の表情から適切に感情や気持ちを読み取っているのかもしれません。
段ボール越しの対話の場面でも、具体的に言葉を挙げるのではなく、ただ抱きしめることで素の璃奈を肯定してみせるのが素晴らしすぎました。
1000の言葉より1回のハグとはよく言ったもので、つまるところあそこすっごい良いシーンだった……ということです。
・かすみんのMC絶対楽しい
Aパートの各種特訓のくだり、MCの練習のところ、見てるだけでも和気藹々としててよかったです。
2話の自己紹介からブレずに己のスタイルを貫き通すかすみのMC、ライブでやってるの見たすぎる。職人芸レベルで練り上げられてそう。
練習中、ペンライト代わりにペン持って「可愛い〜!」って応援しまくるの楽しそう過ぎて良い。
あとMCの練習のところではありませんが、璃奈inダンボールを見た瞬間の「えぇ!? なんでダンボール!?」というデカい驚き声と、無言で後ろから口を塞ぐ侑のくだりが良い味を出していました。
表情と息でどことなく侑が状況の重さを分かってる感が出ているように思え、この描写のさりげない感じが好きです。
・果林ちゃんパイセン
ライブを楽しみにしてたのに開催が危ぶまれる状況になって拗ねちゃうパイセン、「キャラ」が若干剥がれててかわいい。
今までのクールな振る舞いがあるからこそこういう部分が映えています。
言葉にはトゲがありますが、大人ぶっているが故にこういう言い方になっちゃうのでしょう。クレバーさと不器用さの混合が微笑ましいです。
彼女の言動に対して戸惑ったり異を唱える侑やかすみと対照的に、いたって自然な態度であっさり「拗ねてるの?」と図星を突くエマさん、関係性がよく見えます。
彼方ちゃんにも完全に見抜かれていたようですし、3年生内では末っ子みたいになっているのでは……?
ところで彼女、ところどころ壁に背を寄せて立ちがちなのがなんだか面白くてすき。
以上、6話を見た直後のオタクの感想です。
璃奈が同好会での挑戦やメンバーからの言葉を受けて、自分自身で人と繋がるための「笑顔のカタチ」を見つける回でした。
ステージの上ではもちろん、日常においても紙のボードというカタチを使って踏み出せるようになった彼女を見るとただただ幸せな気持ちになれます。
上で言ってるみたいに激つらポイントもたくさんありましたが、故にそれを超えて、自分の伝えたい言葉をきちんと発せられるようになった彼女に「よかったね……!!!!」と心から思える話でした。
6話まで観た現時点でどの回も大好きなのですが、(好きの度合いとは独立した話として)感情が一番ハチャメチャになったのは今回かもしれません。
次回は「ハルカカナタ」。まさかのCパートで寝っぱなしだった彼方ちゃんの回のようです(幸せそうにふにゃふにゃ寝ててかわいかった)。
すやぴしっぱなしだったり、発声練習の途中ですら突如糸の切れたように眠り込んだりする彼女について、なにか分かるのかもしれません。
予告ではかわいい茶髪ツインテールの子とまるで家族のように親しげにしていますが、一体どのようにこのふたりの関係性が描かれるのか、今からとても楽しみです。
本編ももちろんですが、本編放送直前の振り返り配信やRadioアニガサキなど、関連したコンテンツもとても楽しんでいます。
放送開始前よりもずっと強く毎週のコンテンツ更新日を楽しみにしていて、なんといえば良いのでしょうか、要するにすごくありがてぇ!!! と深く感じています。
前話振り返り配信、マジで毎回時間足りないので個人回ひととおり終わったら改めてもう一周してくれないかな……欲を言えば前話じゃなくて毎週全話振り返ってほしい……持っていかれる時間やばいけど……。
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