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【ネタバレ有】アニメ・虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会第8話「しずく、モノクローム」感想

今(1−7話)までの感想はこちらから


 2020年11月21日、22時30分。ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のアニメ第8話が放送されました。

 下記でも触れますが、今まで全然見えていなかった桜坂しずくという少女の輪郭を目にすることができたように感じた回でした。
 かなり具体的に描かれている通り、しずくが自分自身をさらけ出すことができるようになった話。
 「本当の自分を見せて嫌われたくない」と怯えていた彼女が舞台を経て

しずく「本当の私を、見てください!

 と笑顔を浮かべたED直前のシーンがこの回を綺麗に説明していると思いました。
 Aパートのインタビューでは似た質問に対して

しずく「精一杯演じますので、ぜひ観にきてくださいね!」

 と言っていた彼女が……いえ役者としてはたいへん正しい回答かもしれませんが……それでも……! となります。

 この記事はアニメ感想ですが、若干スクスタの各種エピソードのネタバレ(中核とかではない部分)を含む可能性があります。
 アニメの内容についてはネタバレし散らかすのでご注意ください。

 あとMV今回もすごかったし衣装めちゃめちゃ好き。舞台のライトで板へ落ちる影が複数に分かれるところを頭上から映したカットが特に好きです。

 では以下より、限界乱文をしたためます。
 なおこれは感想であって、考察や解説とは全く異なります



今までのしずくの「見えなさ」

 思えば、アニメにおいて今までしずくが分かりやすく単独で自己主張をしたところや、強く誰かに反論をした場面をほとんど見ていなかった気がします。
 それが今話まで持っていた「断片的に『らしい』と思えたり素が垣間見えたりする部分はあるけれど、彼女の全体は全然分からない」という印象に繋がっていました。


 今話を見て納得に至ります。
 しずくがそうであるように演じていたから。愛されるよう、嫌われないよう、そういう言動をしていたからです。

新聞部「桜坂さんがどんなスクールアイドルを目指しているのか、教えてください」
しずく「私は、愛されるスクールアイドルを演じたいと思っています」

 冒頭の新聞部とのやりとりでも分かります。
 というかここで「スクールアイドルや役者として確固たるスタンスを貫いている」だと思わせて、「実はもっとパーソナルな部分でも演技をし続けていた」だとは……あの……しんどいですね…………

 無論、だから今までの彼女が全部虚像だとか思ってもないこと言ってるとか、そういう極端すぎる話ではありません。
 ただ、強く主張したり対立したりして、周りから浮かないようにしていた、という感じでしょうか。

 よくある表現、彼女自身もしていた表現としては、「良い子」であろうとしすぎていた。


 2話では、同好会の廃部に憤るかすみに対し「気持ちは分かるけど……」と言いつつなだめるようなムーブ。自身の意見を主体的に出してはいません

 4話では「ライブでやってみたいこと」に対して「曲の合間にお芝居をするのはどうでしょう!」と個性がまろび出る回答をしていました。
 が、周りも負けず劣らずフリーダムな上、例えば歩夢がせつ菜の案に「そういうのより」と言ったように、違う意見への反論はしていません
 唯一他人に不満をあらわにしたのはスクールアイドル害……概論の講義中、なんとも良い表情でかすみに煽られたとき。

 頬プクしていましたが可愛いので何も問題なし、というのはさておき。
 ここで分かりやすく異議を向けられたのがかすみに対してのものだった、というのは、今から見ると関係性が垣間見えていたのかなと思います。

 7話では(当該感想で少し触れましたが)彼方のために活動を辞めようとする遥へ「そのためにスクールアイドルを辞めるんですか?」と質問してはいましたが、あくまで質問の範囲にとどまっていて、それ以上踏み込むことはありませんでした。
 筆者はこの質問のシーンでめちゃめちゃビビり散らかしていたのですが、特に今話で直接的には関わっていなかった……ように感じます。
 ここめっちゃ怖かった……よかったなんにもなくて……。


 ともあれ、彼女が意図してそう演じていたように、視聴者としての筆者もまたそのように彼女への印象を持っていました。
 メタで言えば何かあるだろうなとは思っていても、悩みの中身まで当てることは全く出来ませんでした。
 演じる自分の中身だとか、両立だとか、そういうことだと思っていたので。

 悟らせなかったしずくと、そう見せてきた今までの描写の数々がお見事でした。
 だってアバンから「そうだったの!?」ってなったし……。


「桜坂しずく」

しずく「……私、小さい頃からずっと、昔の映画や小説が好きだったの。でも、そんな子は、私しかいなかったから」
しずく「不安だった。誰かに『変なの』って顔されるたび、『嫌われたらどうしよう』って
しずく「そのうち、他のことでも人から『違うな』って思われることが怖くなって
しずく「だから、演技を始めたの

 全然見えていないと思っていた彼女が見えたと思ったら、それがすっごく等身大で超リアリティのある実在的な重さの悩みだったとは……。


 周りと違うことが怖くて、そうでないように演じる。この年代は特にそういった悩みや傾向が強くなる時期なのかなと思います。
 しかもしずくの場合は幼少から。根が深い苦悩です。

 筆者はあまりそのタイプとは言えませんが、それでも周囲の人の話題や抱える悩みとして耳にすることは多かったように感じます。
 それだけ普遍的で、根深く、一度そうなるとなかなか「周りと違う」から抜け出しにくくなることが多いそうです。

 彼女の悩んだ理由のひとつは恐らく、演じている部分もあるとしても、素の部分でも真面目かつ「常識」的でありすぎたこと。

 嫌われることを恐れるというのは、自己防衛の意味ももちろんありますが、それだけ彼女は自分の価値観の中で「他者」をちゃんと一人の「人間」として見すぎている、ある種の生真面目さも原因であると言えます。

 すごく乱暴な言い方をすれば、どうでもいい人間、あるいは関係のない事物と捉えてしまえば、嫌われる云々は恐れを生むほどにはなりません。
 演じる以前に良い子だからこそ、他者の向ける視線や感情にとても過敏になってしまっていたのかなと思いました。


 この言い草は非常にアレで語弊がありますが、小5病か中2病にほどよく罹患する時期があればここまでのことにはならなかったのかもしれないな、とちょっと考えました。
 その先で、自分のそこまでの特別じゃなさ、それでも少し見つけられる特別さ、誰しも持つかけがえのなさを知っていったのなら違ったのかなと。

 あるいはもっとライトに「人と違う自分」にちょっとだけ酔ってみる、みたいな体験(無論他者への侵害行為、自傷行為は当然除く)。
 例えばなんでしょう、授業のノートで自分の気に入ったちょっとお高めのを使ってみるとか、その程度でも。

 周囲からの逸脱を過度に恐れる、同質であろうとする、というのは、本当にそれが心地良ければ集団で生きていく上で有利だし問題無いのですが、そうでなければ歪みが出ます
 演技の分厚い鎧は心を守れたとしても、息がしづらくなります。不安が和らいでも不満が溜まります。

 本当の適応は心自体がしなやかであることと、傷つきそうなときに支えられるものが自己の中にあること、できれば支えてくれる他者が近くにいること、傷ついたときに癒す手段を自己と、できれば他者にも持つこと。
 それと、違う他者の心のあり方を受容すること
 今まで虹ヶ咲のメンバーが得たり、得させたりしてきたものです。

 8話は、しずくがそれらを獲得した話にも感じています。
 ものすごく等身大の高校生が、変わるために、あるいは変わらないままでいた自分の心を受け入れるために、他者の肯定を得て一歩進んだ物語。


 下で触れるかすみ──彼女は璃奈の言葉を得て走り出します──とのやりとりを経て、しずくはステージに立ちました。
 同好会のメンバーが作ってくれた、彼女のメンバーカラー、有彩色のライトブルーがあしらわれた首飾りを着けて。

 今までは自分の心や恐れ(黒しずく)の言葉に向き合わなかった。
 それを受け入れて「また始めよう!」と、黒と白、中間色の灰色、差し色の青で構成された衣装に早着替えをして、曲が始まります。

 以降のMVは圧巻でした。
 舞台のようで、映画のようで、ライブのようで、役者然としているようで等身大。
 詳しく書くと文字数がエグいのでこの記事では割愛しますが、圧倒されました。

 ひとつだけ書き残すとすれば、しずくますき


 一度記事を見返してふと思ったのでここに書くのですが、アニメ時空のしずくが演劇部を選んだのって……その主たる動機って……なんだったんですかね……頼むから舞台の上で演じることに息のしやすさ以外の楽しみを見出していてくれ……!!! お願いだから……!!!

 スクールアイドル同好会に入った動機もこの段階だと分かりませんね。分かった部分も多いですが、やっぱり見えない部分もたくさんあります。


中須かすみ

 Aパート、まだしずくの問題を知らない段階では、練習をする姿を扉の外から見ているだけだったかすみ。
 様子が明らかにおかしいと気づき、璃奈の後押しを経て、扉を開いて中に入り、彼女と対面します。


かすみ「もしかしたら! しず子のこと好きじゃないって言う人がいるかもしれないけど!」
かすみ「私は! 桜坂しずくのこと大好きだからっ!!

 「かすみん」ではなく「」として、「しず子」でなく「桜坂しずく」が大好きだと伝える言葉遣いがとても真摯で良かったです。
 素の自分として、素の相手を肯定する。

 他にしずくを嫌う人がいたとしても、自分という人間は桜坂しずくのことが大好きだから、大丈夫だと伝えること。

 自分を嫌う誰かより自分を好きでいてくれる人に目を向けるのが大事、という言はよく聞きます。
 それだけ味方でいてくれる人の存在は大きく、大切なもの。

 下でも触れますが、かすみにしずくを託した璃奈にとって、その存在は愛さんでした。
 6話やそれ以前の愛の振る舞いは「そのままの璃奈を肯定する」ことにおいても完璧で、直接的な言葉が無しでも言動全てで説得力をもって璃奈を愛していること、味方であることを伝え続けていました。
 その存在があったからこそ、璃奈は踏み出すことができた。

 ただかすみはそんなテクニカルなタイプではないし、天性でそうできるタイプではありません。愛みたいな完璧超人がゴロゴロ転がっているわけがない。
 故に言葉の火の玉ストレート。
 そのあと気恥ずかしくなってその場を離れるくだりまで青春度合いが高すぎて眩しさに身を焼かれそうでした。

 高校生という年代で、あそこまで真っ直ぐに本音をぶつけるという行動にはただならぬ勇気と思い切りが必要だと思います。
 そりゃあ……照れもする……かっこよくて最高に可愛かったぜ……!!
 


 しずくから見たかすみはもしかすると、ありのままの自分を恐れずに出しながら突き進む、ある種の眩しさのある存在なのかもしれません。
 かすみの葛藤や恐れ、足踏みのようなものを(少なくとも劇中で描かれている範囲では)しずくは目にしていないからです。

 2話でかすみが気付きを得た瞬間、4話でせつ菜とソロの難しさを話していた時間、しずくはその場面を目撃していません。

 見ていたのは1話より前の時系列で方向性の違いを叫んだ姿や、3話でせつ菜の引き留めについて発言した姿、5話で璃奈に「ダメなところを武器にするのがスクールアイドル」と優しく声をかける姿。
 あと普段の騒がしく楽しい、賑やかな小動物のような姿です。

 そこを見ていると、かすみはただ己を自然に信じてあるがまま突き進んでいるようにも見えると思います。
 ですがそうではなく、彼女の自己表現は勇気と覚悟の結晶です。
 嫌う人や認めない人、褒めてくれない人がいるとしても、自分自身が表現したいもののために、自分を信じようと奮い立たせる勇気の元に、彼女の生き方が表れています。

 だからこそ、「自分をさらけ出せない、さらけ出せないのならスクールアイドルにも役者にもなれない」と嘆くしずくに対して真っ先に向けたのは

かすみ「なーに…………甘っちょろいこと言ってんだぁー!!

 という、彼女の生き様を元にした喝でした。
 嫌われるのが恐いとか変な目を向けられたらとか言っているわりに自分はこっちに「かわいい」って言ってくれたことないやろがい!! という言葉もごもっとも。
 背を押し気づかせると同時に、彼女の矜恃も感じさせる台詞でした。


 ところで。
 しずくに第一歩を踏み出させるのは、旧同好会の発足時から一緒にいて、なおかつ対等な同学年のかすみにしか出来なかったことなのだろうと思います。
 もちろん璃奈との友情に比べて質の優劣があるという話ではなく、今回においては、しずくに言葉を届ける上で「近くにいた時間」の要素が必要だった、ということ。
 まだ付き合いが短い相手に「あなたの素だって大好き」だと同じ言葉を届けられたとして、どうしても「それはまだ私の本当の素を知っていないから」と受け流されてしまいかねません。
 だからこれは、かすみだからこそできた役割なのだと感じます。


天王寺璃奈

 もうひとりの1年生であるところの璃奈はどうかというと、彼女も超重要でした。

璃奈「きっと、今のしずくちゃんも、しずくちゃんだよ
璃奈「私も、ちょっと同じだったから分かるんだ。自分のことがイヤな気持ち」

 璃奈としずくには共通点もありますが、対照的な部分も存在しているように感じました(璃奈も「ちょっと同じ」だったと言っていて、言葉の留保がとても丁寧です)。

 璃奈は「本当の感情を出そうとしたけど、表情に出せなかった」とトライ&エラーを繰り返していたのに対し、しずくは「出さなくし続けた結果、心を出せなくなった」という形で、結果は似ていても持っていたモチベーションが異なります。
 しずくの方がより防御寄り守りに入っているイメージです。

 もう少し細かく考えると、璃奈は自分自身の意思や感情を声や目で積極的に主張していて、どちらかというとそれが「伝えられない」ことに悩んでいました。
 しずくは手前の部分、意思や感情を出すのが怖い、むしろ「伝わって、嫌われることが怖い」という部分で、ここも対照的。

 ただそうだとしても、本当の感情について、ふたりともそれぞれに幼少期から続く固有の理由があり「本当の自分を出したいけど出せない」という部分は同じ。表情の制約か、心の制約かという箇所で分岐しています。
 そして、他者の支えによる第一歩を必要としたことも同様です。

璃奈「私のときは、愛さんがぐいって引っ張ってくれた。みんなが、励ましてくれた
璃奈「だから、ライブができた」
璃奈「私には、愛さんがいた
璃奈「しずくちゃんには──」

 この彼女の語順が本当に素敵でした。

 最初のきっかけになった愛がいて、愛と共に自分の意思で踏み出した同好会で、自分らしいやり方で問題を超えることができた。
 どんな璃奈でも抱きしめてくれる愛がいて、ダンボールを剥がさずに対話をしてくれる同好会のメンバーがいたから、ライブができた。

 そう振り返った後に、重ねて、改めて、「私には、愛さんがいた」と言葉にするのが最高です。
 ライブができた。その全てのきっかけ、走り出せるようになる第一歩の存在。

 しずくにはまだ「ぐいって引っ張ってくれた」存在がいませんでした。だから彼女は立ち止まっている。それを踏み出させることができるのは。

 言葉は率直で、でもとても丁寧に選ばれています。決して長尺ではありませんが、強く心に残るシーンでした。


 書きながらふと、上述の「ぐいって引っ張ってくれた」を担うのがかすみだとしたら、「みんなが励ましてくれた」は、楽屋で着けていた首飾り・箱・色紙がそれを示唆するのかなと感じました。

 かすみがしずくの元へ向かう裏で、後から合流した璃奈以外のメンバーが一同に介し、しずくのために準備をしています。
 スクールアイドルとは直接関係のない演劇部としての彼女も、同じように仲間として支えようとする。披露する場の性質やシチュエーションは違っていても、それは違いなく仲間からの「励まし」に他なりません。

 だからしずくは舞台に立てた。ソロ曲披露をライブと定義するのならそれこそ「ライブができた」。


 あとしずくをお出かけに連れ出すときのしずくちゃんボード、顔が(×_×)みたいになってたのも良かったです。

 あれ本人には見えてないですけどもはや「しずくちゃん大丈夫とか言ってるけど絶対大丈夫じゃないでしょ」的なツッコミにすら思えました。
 これ以外にもボードが「感情を相手にしっかり伝えたいときに小気味良く出してくる」という使われ方をしていてすごく良いです。
 話の流れを邪魔せずテンポもよくて、個性的で、とてもかわいい。すき。


演劇部部長

 良い人!!!!!! 良い部長!!!!!!!

 散々恐いとか不穏とか圧強いとか今話で何かしてくるだろとか2話や7話の感想で書いてて本当にすみませんでした!!!!!

 初見時、Bパートの演劇の黒しずくが部長に変わった瞬間本気で声が出ました。
 見ながら「これ舞台でやってるなら分身な訳ないよね……?」とは思ってましたが部長!? 見返したらこのときは白黒で身長が違うし!!! ちゃんとしてる!!


 袖から舞台のしずくを見て微笑むところももちろんですが、アバンでの降板を伝える部分も言葉を選んでいました。

部長「今回の役は、しずくとはちょっと違ったみたいだから」


 その後に「自分をさらけ出す感じでやって欲しかった」「歌手という設定はスクールアイドルなら適任だと思った」と続くのですが、上述の言葉の「今回の役」と「しずく」の語順が逆だとえらい恐いことになります。

 あくまで「違う主体は「役」。力不足ではなく「合っていなかった」。

 もちろん降板という厳しい措置自体を取ってはいますが、役者であるしずく自身を貶めている訳ではありません。
 その後、ただ別の人を指名するのではなく再オーディションという形にしているのも良かったです。

 審査をする時間を取ってくれている。それが手続きとして正当であるというのは勿論ですが、これがこわい展開のパターンだと部長の私情で別の演者を審査無しで指名という流れも十分あり得たので……。


 いや本当にすみませんでした。大変申し訳ない。正直、袖の彼女の微笑みを見た瞬間に出た感想は「ごめん……!」でした。

 でも確かに良い人だけど2話のあの登場の仕方はやっぱり超怖かったし、今考えても恐いし、廃部したときの「兼部じゃなくなるから演劇に専念できるってことでしょ?」みたいな発言はデリカシーが皆無だったと……思います……。

 今となると後者の発言は部長なりの「気持ち切り替えてやっていこうよ! 悪いことばっかりじゃないよ!」的な励ましだった説が自分の中で出てきているのですが、言い方が……雑……!!

 もしかすると演劇以外のことはあんまり頭にないタイプの局所的ポンコツかもしれません。ともかくヒールとかではなくて本当に安心しました。マジでずっと怖かったので……。


ほか、ここすきポイントなど雑記


・クラスメイトと璃奈ちゃん

 「しずくの様子がおかしい」とかすみが璃奈に相談しにいくシーン。
 話し合うふたりの側に6話に出てきた璃奈のクラスメイト3人組が立っていました。
 主人公の再オーディションについてふたりが知ることができたのも、彼女たちの中に演劇部の友人がいたからです。
 璃奈が踏み出して築いた人間関係によって、しずくが抱えている問題が明らかになりました。

 ここだけでも璃奈が前々話で頑張り、その後も良好に人間関係を築いたことの意義があります。
 が、それ以前に単純な話として、こうやって何か気になることがあったとき、話聞いてくれたり力添えしてくれたりする人が部活外にできたの、よかったね……! となります。


・超巨大やべえ色パンケーキwith大量生クリーム VS 1年生

 3人がかりでも相当ヤバそうなのに1人で5回挑んだかすみ、粘り強いというか諦めが悪いというか、Never give up精神が強すぎる。いくら美味しくても限度が……。
 敗れるたび、胃も財布もその後のボディメンテナンス的にも多大なるダメージを食らい続けていたのではないでしょうか。6回目で成功して良かったね……!

 と思ってたらそのあとキッチンカーでタピオカ+盛り盛りホイップ+多分チョコか砂糖かで出来てるカラースプレーという飲み物の形したカロリー爆弾を買っていて、女子高生の胃袋の強さというものを思い知らされました。


 ところでこの虹色パンケーキタワー、あるのかなと思って少しだけ調べましたが、ここまでの原色だと家での作り方や海外のサイトらしきものしか見つけられませんでした。

 あるいはもしかしたら店屋ものかなと思っても、生クリームが全段に挟まっているというものは見かけていません。
 パンケーキタワーの真横や円形に並べられたパンケーキの上にやべえ量のクリームが盛られてるのはいくつか見ました。確かに挟むと作る手間かかりますもんね。


・新聞部のみなさん

 質問や喋りが小気味良く、情報のまとめも適切で好感が持てます。全体的にこのアニメ、モブも人格が良くて見てて助かります。

新聞部「ということはこの瞬間も、桜坂さんは理想のスクールアイドルを演じている、ということですか?」
しずく「はい!(即答)
新聞部「なるほど! 演劇部に所属している、桜坂さんらしいアイドル像ですね!」

 筆者は初見時ここで思わずビビっていました。生き様が決まりすぎているように思えて、迫力じみたものすら感じたためかもしれません。
 この即答っぷりにもビビらず戸惑わず「なるほど!」で返すの凄かった。

 ただ彼女たちに唯一問題点があるとすれば、活き活きしていた写真もたくさん撮っていたはずなのに、紙面1面のメンバー写真が虚無顔3×3だったことです。

 そのあとの大きな写真は別のものですし、メタを言えば作画の事情もあると当然承知の上ですが、「CD封入カードじゃないんだから」とやたらウケてしまいました
 大きな写真を縮小したりこう……なんとか差し替……新聞部のみなさん……!


・今回の高咲侑

 アバンに入る前から人生をフルスロットルで楽しんでました
 今回のテーマ自体に強く関わってくることはなかったのですが、楽しそうだし良いと思います。

 ただ、果たして彼女がそこまで考えてるかは全く分かりませんが、「モデルなり写真を撮るときに褒めまくることで良い表情を引き出す」というのは定石なので、意図してたかはともかく行動としてはたいへん正しい。

 真横で虹ジャーのマネージャーにエキサイトされていてもカメラ担当の新聞部さんは至って冷静で、穏やかに微笑みながらみんなを撮っていました。
 ある意味仕事を一部肩代わりしてもらってるような状態で、手元に集中できたのかもしれません。
 だったら虚無顔じゃない小さい写真用のも撮ってあげて……!!
 


・虹ヶ咲学園購買部

 おそらく現段階で普段使いの難易度が一番高いのは2話の「〜”かすみんの”スクールアイドル同好会ドアプレート〜」であろう購買部。
 今回のアイテムは「楽屋のれん」でした。
 まあドアにかけられるし壁に飾れるな……と思い少し調べたところ。

役者のオンとオフを切り替える重要な「楽屋のれん」

舞台の裏側の世界を華やかに彩ってくれるのが、楽屋のれんです。
役者さんたちが慌ただしく出入りする楽屋にかけられるのれんは、
ひいきの方やファンの方から贈られることが多いものです。
一般の方は、あまり目にする機会がないものですが、
舞台の裏側にはなくてはならないアイテムで、
役者のモチベーションを高めてくれます。

オーダーのれんドットコム のれんの活用事例」より



 役者の公私を分け、けじめをつける間仕切り、といった意味合いを持つそうです。
 な〜〜るほど〜〜〜〜〜!!!!



・すごい てん⭐︎ふぇす要素 すごい すき
 超ざっくりそもそも「すごい てん⭐︎ふぇす」が何かを説明すると(7話感想ではサラッと流しましたが)、

「スクスタリリース前、虹ヶ咲メンバーは媒体別に3人×3組で分かれ、スクフェスの『転入生』から虹ヶ咲に入ることとなったエマ・彼方・しずくは通称『スクフェス組』としてスクフェス公式サイトで活動することとなった。
 ラジオ形式風味の記事やキャストによる動画企画など、内容は多岐にわたる。
 その内のひとつが、スクフェスアプリ内の連載4コマ『てん☆ふぇす』を手掛けていた藤丸氏による『すごい てん☆ふぇす』。」

 という感じです。

 筆者はこの4コマシリーズの絵柄も台詞回しもキャラ立ちもめちゃくちゃ好きなので、その要素が出てくるとテンションがあがります。

 前回のMV中に突如映ったデフォルメ布団簀巻きの彼方ちゃんもここから来ています。セリフも独特で時折キレもありかわいくてすき。

 とりわけしずくについてはMVに出てきた坦々麺4コマ回(リンク先の2本目)が好きなので嬉しかったです。



 以上、8話を見た直後のオタクの感想です。

 見るまで正直、次回予告や2話の演劇部部長の言動からして、スクールアイドルと演劇部との両立に悩む話なのかなと思っていました。

 ですが実際見てみると、そこにあったのは「自身をさらけ出すことが怖い」という、両者に共通し、あるいはどちらでなくとも成り立つ、等身大の高校生の持つ恐怖心や悩み

 「どちらを優先したいか」「どちらをやりたいか」といった問いよりもっと手前で、より心の原始的な部分に近い苦悩だったように思えます。
 自分の好きなもののために苦しみ、自分の好きなもので自分を守り、自分の好きなものを通じて自分を認め、乗り越えていった話だと感じました。

 まだまだ彼女について分かっていることは少ないですが、それでもなんだか安堵のようなものが心にあります。
 「桜坂しずく」がようやく舞台裏を見せてくれたというか、人間として地に足を着けたように見えたというか。


 次回は「仲間でライバル」。いよいよ個人回ラスト、果林さん回です。今までも毎話超絶楽しみにし続けていますが、更に楽しみボルテージが爆上がりしています。

 5話で「スクールアイドルでもモデルでもトップを目指す」と宣言していた彼女の「トップ」に対する姿勢などが見えるのでしょうか。
 筆者は果林さんの内に秘めているようで秘められていない向上心や闘争心やプライドが大好きなので、そういった部分を描かれたら確実に限界と化します。

 タイトルも、虹ヶ咲アニメの当初から掲げられている「仲間で、ライバル!?」から来ていて、いよいよそこへもガッツリ触れてくるか……! という感じです。

 今話までは、お互いにそれぞれの抱える「何か」を解決して乗り越えていく「仲間としての物語がとても丁寧に描かれてきていました。

 「ライバル」については、印象深い場面だと、2話の歌唱前、かすみが歩夢に「一番かわいいのはかすみんですからね!」と宣言したり、7話で彼方が遥に「スクールアイドルではライバルだよ」と対等の立場で伝えたりと、時折その要素に触れられてきてはいます。

 ただ、こうしてしっかりと触れられそうなのはアニメでは初めてで、どう描かれるのだろうかととても楽しみです。 


 いや〜〜〜相変わらず土曜を中心に生活が回っています。
 挿入歌CD第1弾も発売され、ビジュアルブックやフォトエッセイ、(これはアニメ時空ではないですが)ニジガクジャーナル特別版など、書籍関連でも楽しみがいっぱいです。ありがてぇ……!!


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