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【ネタバレ有】アニメ・虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会2期第8話「虹が始まる場所」感想


前話までの感想はこちら

 最後にタイトルそういう出し方するのズル〜〜〜〜!!!!!!

 2022年5月20日、22時。ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のアニメ2期第8話が放送されました。

 ある数点を除けば2期開始以来数度目の最終回でした。
 気になる点はありつつもED入った段階くらいまではぐわんぐわんする感情と共に「最終回じゃん……」の気持ちになっていました。
 ただCパートがあまりにもうアレだったので、「最終か……オイオイオイ駄目駄目待ってラッ……ランジュ!!!!!」にもなってしまいました。終盤にこうなるのも一体何度目なんだ。
 1話での登場以来、彼女の手のひらの上でいろんな種類のダンスを踊っている気がします。

 ただメイン軸で描かれたように、この話は高咲侑にとって大きなターニングポイント。タイトル通りの虹が始まる場所でした。あと3rdライブ(とりわけDay2)を観たオタクを軒並み吹き飛ばしていくやつ。
 詳しくは下で触れますが、この気づきと明言は観ながら「なるほど!!!」という感じ。
 相変わらず23分でとんでもなくいろんなでかいことを起こしていく……。

 では以下より、限界乱文をしたためます。
 なおこれは「感想」であって、考察や解説とは全く異なります

高咲侑

「自分をめいいっぱい伝えようとしている、みんなの姿にときめいていたんだ」
「私も、みんなに近づきたい!」
「みんなと一緒に、今ここにいる私を伝えたい!」
「そうなんだ──これが私の、トキメキ!」

 1期で「音楽をやりたい」という夢を持ち、音楽科に入ることでその夢を叶えたはずの彼女。
 今話はさらにその芯というか、「音楽をやりたい」の先にある「音楽で何をしたいのか?」「音楽をなぜやりたいのか?」を掴んだ回だと思いました。
 その答えは「音楽で今ここにいる自分自身を表現すること」。
 なるほど〜!!! でした。なんというか、2期で侑に対して抱いていた「夢を追っている人」の「夢」の中身がはっきりした感じで、視界がクリアになった気がします。

 一口に音楽をやりたいといっても、理由や動機はさまざまです。
 この曲を弾けたら楽しいだとか、自分の歌詞を形にしたいとか、あるいは家柄がそうさせるだとか。
 表現行為がなにに起因するかは、実は突き詰めていくと人それぞれ。
 それが侑の場合は「自己表現」。しみじみとなるほどという気持ちになります。

 たびたび彼女が口にしていた「トキメキ」は、同好会をはじめとするスクールアイドルたちが「全力で自分自身を表現している姿」に対して感じていたもの。そこで感じた眩しさや憧れといった情動が、この4文字に集約されていたのかもしれません。

 弾くことも作ることも歌ってもらうことも、自己表現の方法なのだと思います。
 そしてそのモチベーションは同好会のみんなの姿から得られるもので、「みんなの応援をしたい」以外の「侑が同好会にいる理由」になります。

 「最高のイベントに見合う最高の曲にしたい」「ランジュに自分が同好会にいる理由を証明したい」など、いろんなことを考えて行き詰まっていた侑。
 そんな彼女が「自分を伝えたい」という「音楽をやる根元の目的」に辿り着いた瞬間、走り出してトキランの完成にまで一気に漕ぎ着けるのが爽快だしとびきり明快で気持ち良すぎ。
 こんなのホントにTOKIMEKI Runnersじゃん……。

 そしてこの項の最初で引用したセリフが、舞台裏へ届いてきた優木せつ菜の歌声によって喚起されたのが最高&最高すぎでした。
 アニメ・虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会において、侑や歩夢の夢とトキメキは優木せつ菜から始まりました。
 その始まりが今話においても貫かれているのが物語の作られ方としてとても美しいと感じましたし、なによりもシンプルに、ただただ嬉しかったです。

 思えば、せつ菜やスクールアイドルのライブや動画を観た歩夢が1期1話でいった言葉が、侑にもそのままの形で当てはまっていたのでしょう。 
 歩夢が憧れたのは、彼女たちが自分の気持ちをまっすぐに伝える姿。

 自分がやりたいと思った伝え方の手段が、歩夢はスクールアイドル、侑は音楽だったということなのだと受け取っています。
 めいいっぱい自分を伝えるみんなの側にいたからこそ夢の核に気づけたという、侑がいま同好会にいることへの意味づけが鮮やかです。

 ライブシーンで初めて人前に立ち、自分のやり方で同好会のみんなと一緒に自分自身を伝えた彼女。
 終わった後、万雷の拍手と、自分の曲を歌い終えた仲間と、自身にも向けられる拍手とで、どれだけの思いが胸を満たしたのだろうかと思います。

TOKIMEKI Runners

 親の曲より聴いた曲の全然存じ上げない新規イントロ。
 2期でトキランが来る可能性自体はうっすら頭にありましたが、こういう形でお出しされるとは思いませんでした。

 虹が始まる場所というタイトルの話において、「トキメキ」を原動力とする「表現者としての高咲侑の始まりの一歩に、虹ヶ咲の初めての全員楽曲を持ってくるの……なに!?
 もうこれ何……何重ミーニング……??? 頭も心もパンクしてしまう。

 3話でもそうでしたが、既存楽曲の歌詞に対する新しい視座の提供というか、あるいはメイン軸に置いてきていなかった解釈を改めて提示してくるというか、そういうのが凄すぎる。
 一部だけ歌詞を抜粋すると、

「見てるだけじゃ足りない カラダ動かして」

「トキメキに聞いてみよう 好きなことが鍵だよね
 胸に手をあて 聞いてみるよ 「大好き」を!」

 他にもどんな場所を持ってきても、高咲侑の夢との物語にも解釈が可能になってるの、今話に至るまでの全部の作りがうますぎる。

 これ、今話まではそれこそ「これから走り出す虹ヶ咲のスクールアイドルたちの歌」として聞いていたのが、「これから走り出す彼女たちの歌」にまで拡張されるの、何度考えてもヤバすぎる。 

 そしてED直前に侑が書いたトキラン歌詞のページが出てくるんですが、その隣!!
 夢ここの歌詞!! 1行ごとに違う色と筆跡!!
 1期13話にてメンバー間で回されていたノートの中身がこれではっきりとしました。 
 こういうサラッとした情報の出し方もわざとらしくなくて良すぎです。今までもそうでしたけどこのアニメ、無限に好きになっちゃうな。

ランジュ!!!!!

 最後さぁ〜〜〜〜!!!! もう!!!!!
 
初見時、トキランの余韻とかも色々あったのに最後の感想が「そんな顔でバイバイとか言うなよ!!!!」になってしまいました。
 どうしてくれるんだ。早くEDのニコニコスマイルを見せてくれないとオタクの心が摺りおろしきられてしまいますが? ファンにニコニコを与えてくれよ……幸せいっぱいに笑ってくれよ……。

 強さと孤高、そしてずっと通底している寂しさでどうしようもない気持ちになります。苦しいけど愛おしい

 序盤、開幕ステージを任されたランジュのステージ。流しそうめん同好会監修のスライダーに何らかのトラブルが起き、開幕演出が起きなくなってしまったときのセリフ。

お膳立てなんて、最初から期待してないわ
「前に言ったでしょ? 私は与えるだけでいいって」
「私は私を知らしめるために、ステージに上がるんだから」
私には、このやり方しかないの

 ステージ後にジェニファーやかさねちゃんが言ったように「まさに孤高」「”ソロアイドル”」然とした、強く凛々しい姿です。
 ただ、最初から期待していないだとかこのやり方しかないだとか、どこかにずーっと寂しい諦めを感じてしまいました。
 彼女、似たようなことをどれだけ繰り返してきたのでしょう。来日のバイタリティといい、何の根拠もなく諦めるような人間ではなさそうです。そんな彼女が当たり前のように周囲に期待しなくなるまで、どれだけの試行を重ねてきたのでしょうか。
 1話の抱きつきからして相当な人懐っこさのあるランジュが自分から誰かへ手を伸ばそうとしなくなる過程の寂寥、察するにあまりあります。

 あとホントにランジュは誰とか何に対して自分を知らしめて証明しようとしているの……!? 明確な対象がいようがいまいが辛いの寂しすぎ……!

 スライダーのトラブルによって、ステージ開始直前という一番勇気の要りそうなタイミングで天が彼女に味方しないの、辛すぎて胸がギュッとなってしまいました。
 でもランジュは切り開けるし、切り開けてしまう
 アカペラで歌い始めてから見計らったように船がゴールへ辿り着いて、かえって普通に始まるよりも盛り上がったみたいになるの、すごいんだけど心に寂しさの塊が落ちてくるような気持ちになります。

 他にも

・(恐らく最も心を預けていたはずの幼なじみである)栞子がランジュにスクールアイドルをやりたいという気持ちを伝えていなかったことに対して「別に良いわよ。こういうの慣れているから

・ミアと侑が喋っているところのカットで、窓から光が差しているのに顔を伏せているランジュはそれとは逆の方向を見つめている

・エマさんが「ある人が素敵なライブを見せてくれたから、私たちは、もっと成長することができました!」と言ったとき、明らかにランジュを指しているのにそのことに恐らく気づいていない(反応していない)

 孤独と孤高は違うし、ソロはひとりじゃないし、信条以外正しくないなんてことではないし、慣れてるのって良くなくない!?

 辛すぎです。助けて焼肉同好会……ビュッフェ同好会でもいい……。
 特に2個め。もしかしてスクールアイドルに対して自分が何かを与えることは1話で言っていた信条と矛盾するから思考からも外している……?
 めちゃめちゃにブレなくて一貫するところは彼女の美徳ですが、諸刃すぎです。「正しさ」とかを二者択一的な用法で使うと自分の首絞めちゃうから……!! 信念じゃない感情に身を委ねても……良いと思うよ……!

 そして問題のCパート。

「(侑へ)あなたの覚悟、伝わったわ」
「(みんなへ)あなたたちも、見事に『正しさ』を証明して見せた」
「私は100%やりきったけど、同好会はそれ以上だった」
「ここに来た価値は十分あった。後悔はないわ」
「……拜拜」

 全然良くないof良くないが?????
 もし万一ランジュにマジで一切後悔がなかったとしても、この状況の彼女をそのまま帰国させたら後悔する人間が絶対にいるが? どうやら今話でランジュを傷つけていたっぽいことに気がついた幼なじみのあの子とか……。

 前話の栞子お誘いチャレンジ失敗時もそうでしたが、たぶん根が素直なせいで背を向けて顔が見えなくなった途端に笑顔が作れなくなっちゃってるの、その精神状況での拜拜(さよなら)はなにも良くないが???

 同好会や侑の”正しさ”や覚悟を認める言葉、実際の完璧なパフォーマンスを伴った上での「100%やりきった」がどこまでも潔く爽やかなのも、極めて良い印象であるのと同時に苦しくなります。
 ランジュが自分の根底にある何かを自覚していないのか自覚した上で封じているのか、どちらにせよまだ絶対に開示されていない感情があるというのは確信できる作りになっているので、グゥ〜このアニメ……そういうところだ……心を掴んで離さない……いつまで彼女を中心に魂を踊らせていれば良い……?


ミアちゃん先輩

 1年ズとのやりとりがかわいいのはもちろんなんですが、超親切だし超優しい。人の良さがめちゃめちゃ出ていました。
 3話のNEO SKY, NEO MAP! 以来、侑にそれだけ労を費やす価値を見出しているのかもしれません。
 ギリギリすぎる状況での演出や構成の変更に「Are you serious !?」と驚いてはいましたが、その後に本来別になんの義理もないはずの作曲に最後まで協力してくれました。良い人すぎ。
 (現在アニメで開示されている範囲において)自分と違うスタンスで音楽と向き合う侑のやり方に関心があったというのもあるかもしれません。

 Bパート中盤、階段の下で会話するシーン。

ミア「ランジュは最高のプレイヤーだから。ランジュだけじゃない、ほかのスクールアイドルだって、きっとそうだ。自分の存在全てをステージにかける、そういうものなんだ」
  「でも、ボクたちはそんなことをする必要はない。求められる曲を作って、評価してもらえるんなら、それでいいじゃないか」
  「同好会のアイドルのために作るっていう、ベイビーちゃんの判断は、絶対に間違ってない」
  「みんな、喜んでくれるさ」

 この「絶対に間違ってない」のところ、これは当然侑へのフォローもあると思いますし、これを否定したらミアちゃんが今まさにしているプロとしてのお仕事も否定することになってしまいます。
 感情だけではなくプロ意識がちゃんとあるからこその発言というのが一貫していてとても好き。

 また、ランジュだけではなく他のスクールアイドルも「全力を懸けるプレイヤー」だと認めているところ。
 前話ではSIFを「アマチュアのお遊びだろ?」と言っていましたが、実際にみんなと(ハンバーガーを食べながら)ステージを目にしていった中で、感じとるものがあったのかもしれません。
 少しずつ訪れている変化の萌芽にもワクワクさせられます。

 今のところ、アニメにおいてはミアが積極的に演者になるモチベーションは示されていません。
 ただ、今話で表現者になる覚悟を決めた侑に光が差してきたシーンで、ミアも少しだけ照らされていました。
 直後、侑に手を引かれ、階段を登って明るい場所へと一緒に飛び出し、部室での曲制作へとつながっていきます。

 最後にも触れますが彼女は恐らく次話のメイン。どうなっていくのかが読みきれず、非常に楽しみです。


ほか、ここすきポイントなど雑記

・「かすみんさん」
 遥ちゃんからかすみんへの呼称ってそうなの!?

 最初聞いたときびっくりしすぎて幻聴を疑いましたが、本当に言っていてさらにびっくりしました。
 近江遥ちゃんというスクールアイドルは、劇中でも相当な人気と実力があるというふうに描かれています。
 在校している東雲学院は現在人気急上昇中、観客が大勢動員される音楽フェスにも直接出演の話が来る(1期9話)ほどの有名校です。その学校のスクールアイドルグループで、1年生でありながらダブルセンターの一翼を担っている。
 いわばめちゃつよスクールアイドルである彼女に「かすみさん」ではなくよりアイドルへと寄った「かすみんさん」という呼び方をされる中須かすみ概念、噛み締めるように最高すぎです。筆者は中須かすみという人間をスクールアイドルという生き様の体現者として見ている節があるので……。


・美里さんと愛ちゃん

 校門で美里さんをお出迎えしたときの愛ちゃん、めちゃめちゃに可愛かった。普段する元気いっぱいのスキンシップというよりも甘えん坊さが出ていて最高です。
 友達に対してのテンションで行くなら思いっきり抱きついたり肩を組んだりしそうですが、ちょっと体重をかけつつ腕を組むというのが甘える妹感マックスですごくかわいい。
 美里さんも元気そうでよかった。愛トモTシャツを自作して集中線を負いながら勢いよく登場する日も遠くはないかもしれません。


・エマさんからランジュへの呼びかけ

 2話でランジュと話し「本当のことを言っていない気がする」と思って以来、ずーっと彼女を気にかけています。
 ステージ上からランジュへアイコンタクトを送り、前話では「最終日、楽しみだね!」と声をかけたのも彼女で、トキラン前にランジュのことを話したのも彼女。
 海の向こうから来たという大きな共通点に、1期5話で果林さんの頑なな心と向き合った経験。
 根拠と経験に基づいて、今期で一貫してランジュを真っ先に気にかけ続けるところ、エマさんの暖かさと剛毅さを同時に強く感じます。

 ただそれはそれとして、序盤のコスプレ喫茶でわんこそばみたいにケーキを食べようとしてたのはかわいすぎでした。ケーキってそういうものだっけ……? ともあれいっぱい食べて幸せそうなエマ・ヴェルデさんの笑顔とちょっとモゴモゴしちゃってるボイスは健康に良い。


・こけし同好会と流しそうめん同好会

 揃いも揃ってやることのスケールがデカすぎる。
 流しそうめん同好会が今回トラブル込みでフォーカスされていましたが、本当に規模がめちゃくちゃすぎて笑ってしまいました。コスプレ喫茶の中にまでスライダー通すの…!?
 ただ部室でそうめん食べたりちょっと長い流しをするだけじゃなかったんですね……一応「監修」と言われていたので設営はいろんな人が手伝ったり、たぶん配管同好会とかもあるんでしょうが……すごすぎる。
 こけし同好会も想像の50倍くらいデカいこけしを展示しててびっくりしてしまいました。
 6話であった「申請書に記入漏れがある」と言われていて、「こけし同好会で多少の記入漏れがあっても大した問題にはならなさそう」と思っていたのですが、問題大有りでした。アレはまずい。ちゃんと記入しないと絶対になんらかの問題は起こるスケールだった。
 
虹ヶ咲、細分化されている同好会の部員が軒並み気合入りまくっていて迫力があります。みんな熱心で良い子達だ……。


 以上、8話を観たオタクの感想です。
 漠然と前話から「SIF最終日で何かあるのかな〜、侑とランジュの決着が着くのかな〜」とか思っていたらすごい形ですごいことが起こった上に最後はヤバく終わってしまいました。
 
1週間ぶり8回目のハチャメチャ感情です。
 でありながらも、表現することとその意味づけだとか、いろんなことを考えるきっかけにもなりました。

 次回はタイトルの読み上げを聞くに恐らくミアちゃん回。「The sky I can't reach」は「手の届かない空」みたいな感じでしょうか。
 空にかかるところの虹であるこの物語でそういう言葉使われると……ねぇ!! という気持ちになってしまいます。
 OPのランニングシーンでめちゃめちゃバテてた彼女が真っ直ぐに走っていいるところや、予告カットでランジュ・ミア・栞子のそれぞれのアップが出ているところからして、2期参戦組で感情をめちゃくちゃにされる予感がしています。されるのでしょう。
 ミアちゃんのことにフォーカスされると思いはするのですが、薄ら頭の片隅で「飛ぶなよ……日本発香港着の飛行機……」と戦々恐々としています。

 全てをはちゃめちゃにされつつ、次話を待ちたいと思います。

1期の感想はこちらから

お借りしたヘッダー画像:https://pixabay.com/images/id-3081175/

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