ひとめぼれした街に、お帰りなさいの声がする。
わたしの住む町には誕生してから
55年以上経つデパートがある。
屋上植物園のようになったその屋上には、
わたしがこの街に引っ越して来た頃には
半円型の舞台があって、その前にはベンチが
いくつか置かれていた。
それは3列並んでいて、背もたれのペコちゃん
マークは錆びていて、すごく末枯れた風情を
醸し出していた。
さびれているってかなり好きなので、この街
いいなって思った。
大人になってからはなぜかデパ地下が好きに
なった。
雑踏はきらいだというのに。
そのデパートに