真夜中、ひとりとひとりが、書いている。
さっき、ふいに目にした小説の
数行の描写にはっとした。
田舎から越して来た女の子が、
じぶんのことをあまり好きになれ
なくて。
足元にあったかばんを立たせる
シーンがある。
自立しないカバンというやつだ。
わたしは今でも自立しないカバン
という言葉を聞いただけで、ちょっと
どきっとすることがある。
自立という、生活そのものの言葉を
ファッションの一部である鞄の立ち姿に
たとえるところが、なぜだか痛い。
自分でも心ともども自立している感じが
どこかしないのかもしれな