#063 影響を受けた本(漫画は読書に入ります)【Gt.フーキ】
今回は漫画から「バシズム(日本橋 ヨヲコ)」を選ぶ事にしました。
ぱっと思いつくところでは「テレビばかり見てると馬鹿になる(山本 直樹)」だったり「ぼくんち(西原 理恵子)」だとか「ZERO(冬目 景)」などなど思い浮かぶ漫画は多いのですが、なんせ枕元に置いてあるので一番読み返している作品かと。
学園青春モノに軸足を置いていて、表現手法としてハイパーリンクを好む作家、日本橋ヨヲコ。多分そんなに有名ではないので、知らない人のほうが多い漫画家だと思います。
今刊行されている作品はすべて目を通していて、この漫画以外にも語れる作品ばかりなのですが、もともと小説でも漫画でも上手な短編が好きだといった側面もあり、現状での唯一の短編集であるバシズムを度々読み返してしまう。
肝心の内容は短編集なので色々入ってます、正に日本橋ヨヲコ詰め合わせって感じで。眠れない夜や意識を切り替えたいとき、そこに合いそうな作品をチョイスしてサクッと読んで寝る、そんな扱い。
って、これだけだと何に影響を受けたのか、全然分からないですね。もう少し詳しく。
体目当てってのは以外に純愛だと、そんな言葉が印象的な作品がありまして。クラスメイトの男子と女子しか出てこない、20ページ程度の短編です。
告白される側の女子は「嫌いすぎて好きなのかもしれない」としながら相手のようになれなかった自分が嫌いなことを認め、一方ムードメーカーの男子は「自分をさらけ出すことが美しくない」と誤魔化す。
言葉が多く悩み過ぎで、思春期ってこういう事でしょう?ってな作品です。それに対するアンサーで最後に〆られるのですが、意味付けや理由付けよりも衝動のほうが大事だと、読むたびに思い出させてくれます。
最近の傾向として親しい友人と度々議題に上がるのが、人間としての善性や美徳とは何ぞや、と。
これが何処にあるのか、自身の指標は何か。そんな事を論じて遊んでいるのですが、そのたびにIQだとかそんな所ではなく、感情的であることだと自分の中で結論が出てしまう。
言語や思考は現代社会人としてとてもとても大切なものですが、理屈で言い表せない感情であったり衝動であったり、そうしたものを今も私が大事にしていて、その切っ掛けの一つとしてこの作品があります。
初めて読んだのは高校を卒業した位の大人になりかかったタイミングでしたが、腑に落ちる回答を得た気がしました。そこそこの大人になった今でも、何かに例えたり当てはめる必要もなく、未だにストンと腹落ちする数少ない作品です。
今回のお題である影響を受けた本(漫画は読書に入ります)は、齢を重ねても違和感なく共感出来る程、自身の考え方として取り込んだであろう作品「バシズム」でした。
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