見出し画像

#097 昭和の縦社会【Gt.Fu-ki】

 残念なことに僕はもうオジサンです。焼酎のお湯割りを愛し、痛風になり、因習から逃れられない。どこに出しても恥ずかしいオジサンに成り果てたと言えましょう(果ててはいない)
 昭和のオジサンがオジサン足るには「俺の若い頃は」だとか「最近の若者は」であるとか、セピアに染まった写真を眺めるおじいさんに似て、より荒々しい勢いを持ち続けなければなりません。
 その気勢の代表例がTHE・縦社会。昭和初期から今を生きる30代までに通用する(しない事や世代も多々ある)悪しき習慣です。
  
 冗談のように聞こえるかもしれませんが、先輩のメンツが関わる場面ではハイかイエスで答えるのが常識です。何故、どうして?そんな疑問をぶつける時は殴られる覚悟で、反論なんて以ての外です。
 呑みに行く時も基本的に奢られます。自分で出しますなどと口答えしたら鉄拳制裁です。曰く「俺の酒が飲めないのか」もしくは「いつからそんなに偉くなったんだ」とまあ、この調子です。勿論呑みの誘いは断れません。
 コミュニケーションの基本手段がパワハラとモラハラです。時と場合によってはセクハラと純粋暴力が混じります。基本的に我儘と自己中が辛うじて服を着ているだけなので、世界の中心が先輩になります。
 ただし先輩よりも目上の方が出て来たら要注意。年齢によって世界の中心が変わります。
 
 まだまだあります。久し振りに会う先輩には所属と名前を明らかにして、誰の世話になっているのか、パワーバランスを明確にする必要があります。
 「川村先輩お久しぶりです!!BuzzWorksというバンドでギタリストを担当している菅原で御座います。OKB社長にはいつも可愛がっていただいてます!!」 ※PA川村君と社長OKBさんは架空の人物です(笑)
 まぁ、こんな具合です。もしもこの流れで川村先輩に奢られようものならば、出来るだけ同じものを頼み、相手のグラスよりも下から乾杯して、奢ってくれた方が口を付けるまでグラスを抱え、有り難くお話に耳を傾ける。
 
 これが縦社会です。所謂社会一般の上下関係とは違い、言葉選びに気を付けるよりも姿勢や態度がモノを言います。
 先輩として立てているアピールが肝要で、そこさえ外さなければちゃんと後輩として可愛がられます(可愛がりもあります)
 上にはこうして後輩を演じ、下には先輩風を吹かせて真似をする。同世代では誰の下についているか、どれだけ可愛がられているかで張り合う。
 この仕組みが上下関係を築き、若い世代が先輩の役割を果たし同じことを繰り返して、連綿と続く悪しき習慣となり、僕らオジサン世代が懐かしがる縦社会の完成です。
  
 縦社会の功罪に触れようと思ったのですが、悪くて面倒な部分で溢れ返ってしまいました(笑)
 ちょっと長くなるので年内に収まるよう3部作程度で纏めたいと思います。まずは今回、縦社会の罪でした♪

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?