#048 こんな人が居たら惚れてまうやろ……(アニメ、物語上の人物。同性異性問わず)【Gt.フーキ】
今回ヤギの出してきた題材が「こんな人が居たら惚れてまうやろ……」といった人物像との事で。昨今(21年5月末時点)SNSを賑わせているベルセルクのキャラクターから選ぼうかと迷ってしまいました。
もしくは北方謙三の作品群から選んでも良いかなとか、碇ゲンドウとか冬月とか、考え出したら結構キリがない。実在に限られたならば同性で5人まで絞れるけれど、面識がない人間を含めたら鴨居玲とかエリッククラプトンとか、無限に出てくる。もうね、終わりがない。
なので、今回お題に対して選んだのは最近読んでいた本から「ガストン」です。
ベルセルク(鷹の団の切り込み隊副隊長)ではなく、遠藤周作の作品に出てくる方のガストンです。海と毒薬の続編に位置付けられる悲しみの歌という作品で、フランス人の青年として描かれています。
片言で、ノロマで、グズで、ぶきっちょだけど優しい。ドラえもんがのび太に浴びせる罵詈雑言のような例えが相応しい人物。
私と長い付き合いの人は知っているかと思いますが、基本的には優しい無能が好みではない。自分に出来ることが何もないから優しく成り果てた、そんな人種。
無自覚に振るうそれが自他ともに目を曇らせたり、毒となって誰かを引き摺ったり、優しさを演出するために排他的であったり。優しいだけの人間とその行動、そして周囲の環境が有害だと認識することが多々あったからかもしれません。
ですが、読めばわかる、ガストンは違う。基本的に無能で失敗を繰り返し、優しさしか持たない人間の典型例で、自分でどうにも出来ないから誰かにお願いをする。個人的には好まない人種ですが、これが実に愛おしい。
話が少し逸れますが、人間として「善い」の定義をお客様と話していて、優しさでもなく、IQでもなければ何であるかと。その夜に互いに合意した価値は「感受性」でした。
人の悲しみに共感したり、誰かの辛さを理解しようと足掻く。何かを生み出さなくとも、その行いが美しい。きっと人間の美徳はそこに集約されるのだろうと。
このガストンはそうした美徳が服を着て歩いている感じです。何も出来ない自分を呪いながら、自身の不遇も他者への憎悪も抱かず、出来得る努力をして失敗して、結果人間に対する慈しみだけが残る。
優しいとか愛情だとか打算的なことではなく、生き物としての善としか言い表せないような、そんな登場人物。
今回の題材は「こんな人が居たら惚れてまうやろ……」でしたが、惚れるだとか以前に、こういった人種の手助けをしないのは、赤子に対する虐待のようなモノだと思えるキャラクターです。
機会があれば読んでみてください。
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