見出し画像

【ネタバレ一切なし】エヴァと膀胱と私

終わった。

終わってしまった。

シン・エヴァンゲリオン。

客席は満員御礼。

大体の人が自分と同じような年齢層で、ライトが落ちる前の劇場内は、ワクワクと、寂しさと、なんだか卒業式みたいな空気だった。

きっと、みんなそうなんだ。

自分と一緒だ。

人生で初めて経験した大河ムービーだった。

14年。

序が07年に公開されてから流れた年月だ。

ちょうど20歳のあの日。

わたみん家で朝まで飲んで、そのままシネマサンシャイン池袋に。

入場者特典のポストカードが欲しくて、半分寝てる友達も巻き添えにした。

蛍光の初号機と、とにかく綺麗な映像。

TVシリーズとは全く違う、「新」劇場版に本当に心が躍った。

劇場から出ると、灰色の秋空で、ポツリポツリと雨粒が落ちていたなぁ。

大事なポストカードを濡らさないようにカバンにしまって、セカンドハウスと化した友達の家に戻ったっけ。

タバコ臭くて汚いけど居心地のいい、その部屋で、朝ご飯を食べてまどろみ、感想を言い合った。

ちなみに友達は眠くなると、本当に「ムニャムニャ」と言う。

そいつのムニャムニャを聞きながら、

「エヴァが終わる頃に、俺らはどうなってんだろうなぁ」

ってつぶやいた。

四部作は毎年公開、なんて言ってたけど、ハナから信じてなかった。

2年に1本公開されるとして、8年。

エヴァが終わる頃には、28歳か。

もうすぐ始まる就職活動の不安もあったんだ。

「うーん、どうなってんだろうなぁ。ムニャムニャ」

センチメンタルな問いかけは、雨音とアイツのムニャムニャに吸収された。

こんな大学生の毎日が愛しくて、未来は想像できない。

今がきっと一番楽しいっていう寂しさ。

キラキラじゃないけど、等身大の20歳の場面。

エヴァンゲリヲン「序」が脳のフィルムに焼き付けた。

あれから14年。

予定の8年から6年もオーバーしやがって。

就活失敗して、1年留年したぞ。

その後、無事、社会人になれたぞ。

体重100キロ超えたぞ。

ムニャムニャ野郎はもうとっくにパパだぞ。

俺も家族が増えたり、減ったり、人生のイベントは結構コンプリートしつつあるぞ。

シン・エヴァンゲリオン観て、泣くぞ。

終わっちゃったなって。

やっぱりあの頃が1番楽しかったけど、今は今で幸せな毎日を過ごせてるぞ。

そうだな。

きっとそうだ。

大人になったんだな。

客席にいた多くの人も、そうなんだろうな。

みんなが自分の人生を進めながら、待ってた。

ありがとう。エヴァンゲリオン。

でも、上映時間が長過ぎて、膀胱が限界だったよ。

エンドロール後の余韻に浸る間もなく、トイレにダッシュしたよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?