原郷の森、完読。

横尾さんの原郷の森を完読。
驚くことに全ページ面白く、興奮状態で読ませてもらえた。

こんな本は初めて。
このシーンのこのセリフが好き、この展開がすき、この始まりがすき。

そういったお気に入りの1フレーズを1個でも見つけられたら、その本は私にとって価値があるし、記憶に残る。
"全体的にはなんてことないストーリーだったな。けどこのセリフは最高。"のような感想を持つのがほとんどだ。

けど、原郷の森ときたら。。
辞書ぐらいの厚みのある本なのに全ページにわたって面白いし、為になる。
なんども声に出して笑ってしまうシーンもあれば、脳みそをぐるぐるかき回されて、うんうん!と頷けるシーン、それとか私もその会話に混じって私はこう思う。といつのまにか意見をしてたり。

最高だった。
私は制作に行き詰まったり、人生に行き詰まったときは決まって横尾忠則現代美術館に行っていた。あの頃は私にとっての神社仏閣的な存在だった。


横尾さんの絵を見ながら、後ろにある会話を勝手に想像していた。
そして横尾さんのする自身との対話。これを見て聞くことで、自分にも同じ自問自答をしたり、ダメなところを叱ってもらったり、励まされたりしていた。

あの頃、私の勝手な想像だと思っていた「会話」はどうやら私の想像だけじゃなかったらしく、本当に行われてたものだったと確信した。

原郷の森は存在する。わからないよ、場所は。
この地球ではない気がするけど、確かに存在する。
だからこの本が存在する。

死後の世界、原郷の世界には地位も名誉もない。格差もないって。ならば私もあの会話に混じりたい。
入りたい。
そこには仲間がいっぱいいるような気がした。

私には今「仲間」はいない。周りに芸術の話ができる人がいない。私も今の芸術を語れるだけ、知識もなければその波に乗ってない。制作もしてない。

1人でも淡々と芸術と向き合ってれば、死んだら彼らと話ができるかもしれない。
来世ではもう少し上手に写真や芸術制作ができるかもしれない。

と思った。
そっとカメラをまた手にすることにした。
だけど、、私は写真とかそういった類のものが下手くそだから嫌になるんだよ。だけど、芸術は裏切らないのも知ってる。

横尾さん、大好き。多分今世で生身の状態で会うことはできないけどあの世で会うし、来世で会うと信じて。


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