今ならまだ買える、ペンシルパズルの名著・良書
本記事はペンシルパズルアドベントA-21日目の記事です。
こんばんは、竹谷です。
ニコリとパズラーでペンシルパズルを知り、最近はパズル同人誌トケタ?や有志パズル大会JZCなどでパズルを作っています。ペンシルパズルは全ジャンル(本当はワードも)好きです。
今年はパズル会議という定期イベントを始めました。昨日のアドベントで第1回のレポートが出ていますので、ペンシルパズルの話がしたい人はぜひ参加してくださいね(関東以外の方はごめんなさい!)。
さて、今回の記事ではペンシルパズルの本を紹介します。毎年多くの本や雑誌が発売されるペンシルパズル界ですが、ニコリ以外はナンプレかクロスワードか脳トレばかりだよね……そう思っていませんか?
そこで今回は数あるペンシルパズル本の中から、そういう人にぜひ見てもらいたい本を紹介します。古い本の中には版元品切れで入手困難なものも珍しくありませんが、今回紹介するのはすべてまだ在庫があって、今すぐ買える本ばかりです。
これらの本も遠からず入手困難になることは間違いありません。後になって後悔しないためにも、買えるうちに買っておきましょう!
パズラボ帖 No.3 ペンシルとメカニカル
名品100選シリーズ
サムクロス7/ロジカルパズル
格子を解け!/方陣を埋めよ!
謎解きパズルドリル
ロジカルパズルRPG 魔法の迷宮と隠された扉
パズラボ帖 No.3 ペンシルとメカニカル
パズラボの紹介ページより
神奈川県厚木にあるパズルカフェ、パズラボが発行していたパズルのミニコミ誌です。今回紹介する中で唯一、パズルについての読み物やインタビューがメインになった冊子です。
基本的にはメカニカルパズル系の雑誌なのですが、No.3はペンシルとメカニカルと題し、両ジャンルの作家やメーカー関係者へのインタビューを通して両者のかかわりを探る特集になっています。
ニコリ編集長(当時)や世界文化社の編集者、パズル作家の武井大輔氏など、マニアから見てもツボを押さえた人選です。24ページフルカラーでわずか314円なので、少しでも気になるようなら即買って損はありません。
toritoの通販ページはこちらです。
名品100選シリーズ
名品100選シリーズは、ニコリの出版物に掲載されたパズルの中から傑作を100問ずつ選んだシリーズです。2006年から2007年にかけて、数独、カックロ、スリザーリンクの3種類が出版されました。
ニコリの傑作選というだけで推薦の価値ありですが、この本のポイントは、全問題に作者のコメントがついていること。
今見ると、当時のパズル作家名鑑としても楽しめます。作者によってセレクト基準がまったく違ったり、各自のこだわりポイントが見えてくるのも面白いです。特殊な見た目や特徴的な仕掛けがある問題よりも、オーソドックスで解き味のよい問題が中心に選ばれているところも非常に二コリらしいです。
サムクロス7/ロジカルパズル1
ニコリと並んで日本のペンシルパズル史の大きな部分を担ってきたのが、世界文化社のパズルです。西尾徹也(菫工房N)氏や今井洋輔氏を始めとするパズル作家や、ビルディングやウォールロジックといった定番パズルの数々は、海外でも知られています。
世界文化社のパズル本はナンプレ系以外はほとんどが品切れになっています。昨年頃から書店の自由価格本コーナーに出ていたのですが、それ以降消えてしまったようです。
ですが、一部の本はオンデマンド本として、今でも入手することができます。価格が1210円(元値の2倍)になっていて少々すすめにくいのですが、パズルの品質は最上級品です。特におすすめはこの2冊。
サムクロスは、ニコリで言うカックロですね。どちらもアメリカ生まれのCross Sumsが源流で、ルールこそ同じですが、解き味は全く違います。
数独のようにタテヨコの数字の組み合わせで解き進めるのがニコリ流。それに対して、世界文化社では計算も多用しますし、上級手筋が大量に登場します。難しいからこそ面白いを存分に味わえるパズルです。
パズルBOOKSのサムクロスシリーズは全7巻。多数の作家が問題を寄せる形式の初期巻も良いですが、ここではサムクロスの名人金平牛蒡氏が全問制作した7巻を推します。
こちらはパズル作家の青木真一氏によるバラエティパズルの本。本書にはバトルシップ、ABCプレース、ビルディング、パーキング、ダブルポジション……などなど、定番からオリジナルルールまで約20種類のパズルが収録されています。バラエティパズルの本は、パズルBOOKSの中でも貴重です。
全95問で、初~上級レベルまでまんべんなく出題されています。最終問題はトケタ?換算で4.0程度でしょうか。
自分はこの本、3冊買って解きました。最近はそれほどでもないですが、10年前はバラエティパズルの供給が限られていたので、競技パズルの練習には非常に役に立つ本でした。
格子を解け!/方陣を埋めよ!
算数・数学専門の出版社、東京出版から出されたパズルの本です。中学への算数のパズルコーナーに掲載されたパズルの中から各巻6種類を選んで収録しています。
掲載誌こそ小学生向けですが、屈強な算数マニアが集う専門誌だけあって、大人でも楽しめます。種類はすべて作者のオリジナルで、創作の参考にもなるかと思います。
四角枠配置系パズル四角いネックレス(格子を解け!収録)
著者の山本浩氏はメカニカルパズル界で有名なパズル作家。代表作のルナロックアウトやストーミー・シーズをおもちゃ売り場で見たことがある人もいるかもしれません。そういう背景があってか、本書のパズルもメカニカルパズル風に、軽い試行錯誤を交えて解く問題が多いです。
謎解きパズルドリル
2000年代なかばに誕生した謎解きは、今ではパズルの一大分野と言える(※)ほどに成長しましたが、謎解きとペンシルパズルのあいだで活動している作家が本書の著者Xevs氏です。
本書はタイトルこそ謎解きと入っていますが、最終問題以外はほとんど純粋なパズルです。出題ジャンルは全8種類で、アクアプレースやスターバトルなど、バラエティパズル色が非常に濃いラインナップになっています。難易度は高めで、こつこつ手筋を当てはめるだけでなく、思い切って答えを当てに行く局面もあるでしょう。
この本でぜひ解いてもらいたいのは第4章のクロスメイク。さまざまな条件を満たすようにクロスワード盤面を埋めるパズルで、ニコリの推理クロスと同様のパズルなのですが、特筆すべきはそのヒントの自由さ。
(諸般の事情により現物が手元にないため、代わりのツイート)
ワードパズルのひらめき要素が入ることで、一般的なペンシルパズルとは一線を画すパズルになっています。
(※) 個人的見解
ロジカルパズルRPG 魔法の迷宮と隠された扉
来てしまいました。本自体はこの企画にはぴったりの内容なのですが、どう書いたものか。
……というわけで、作者(の5分の1)によるダイマの時間です。
6年前に出したトケタ?vol.1がきっかけになり、スモール出版(上のパズルドリルと同じ出版社です)の社長さんから企画をもらって作った本です。そういうわけで、作者は初代トケタ?の5人です。
二つだけこれは見てほしい、というポイントを紹介します。刺さったら現物をぜひ。
ひとつめは図解で見るルールです。
これは、バトルシップをアレンジしたパズルです。左下に一般的なルール表現もありますが、もっと直感的にルールを説明する方法はないかと考えて、ゴマ卵さんの協力で開発したものです。
ふたつめは第7章。本書のために考えたパズルなんですが、すごくいいパズルだと思っています。
数字つなぎ(一筆書きで数字を順番につなぐパズル)の亜種なんですが、氷や扉やワープといったRPGっぽい仕掛けが入っています。
ゴマ卵さんが中心になって作ってくれた問題セットが非常に面白いです(制作中のバージョンは激難だったのですが、別解修正の結果、ちょうどいい難易度になったのでご安心ください)。まだまだ面白い問題はできそうなんですが、なかなかうまく作れないんですよね……。
企画会議で「頭が良くなるとか書きたくないんです」という意見に即OKしてくれた素敵な社長さんなんで、ぜひ皆さん(パズルドリルと合わせて)買ってください!
終わりに
以上、10冊くらいの本を紹介しました。ほかにも紹介したかった本があるんですが、確認したらSudoku Masterpiecesもバトルシップもなくなっていました。まさかパズルBOOKSがまとめて消えるとは……。
一度品切れになった本の入手は非常に難しいです。雑誌に至っては半年程度で版元品切れになってしまうことすらあります。気になる本は早めに確保しておきましょう。
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