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世界のペンシルパズル状況(チェコ編)

この記事はペンシルパズルアドベントカレンダー22日目の記事です。

こんにちは。竹谷と申します。

2000年頃からペンシルパズルを本格的に始めて、ニコリに投稿したり、世界パズル選手権に参加したりしてきました。ここ数年は同人誌「トケタ?」の制作をメインに活動しています。一般誌で扱わないパズルをこれでもかと満載した本ですので、その手の方はぜひ。

さて今年の11月、チェコのプラハで第27回世界パズル選手権&第13回世界ナンプレ選手権(以下WPC、WSC)が開催されました。

自分も選手として参加してきたのですが、空き時間を利用して現地のペンシルパズル情勢を調査してきたので、ここでまとめたいと思います。

目次
チェコってどんな国?
一般向けはクロスワード>>>>Sudoku
バラエティパズル誌 IQ TYKVE
年間6回開催のパズル大会
意外に有名なチェコのパズルサイト
世界4位にふさわしい濃厚な環境

チェコってどんな国?

チェコは中央ヨーロッパにある国で、首都はプラハ。日本との時差は-8時間です。古い街並みを残していて、観光地としても人気の高い国です。近年ではチェコアニメや東欧雑貨も有名ですね。

かつてはチェコスロバキアとして東側諸国に属していましたが、1993年にスロバキアと分離して今の形になりました。

競技パズル界では、1992年の第1回WPC以来、一貫して世界屈指の強国として知られています。WPC、WSCのメダル獲得数ではアメリカ、ドイツ、日本に次ぐ世界4位。WPCチャンピオンとWSCチャンピオン各1人を輩出し、2016年にはWSCで団体優勝もしています。

チェコの周辺も強国揃いで、世界の三強ドイツをはじめに、スロバキアとハンガリーも世界大会上位の国々です。中でもスロバキアとのつながりは今でも強いようです。

一般向けはクロスワード>>>>Sudoku

今回宿泊したホテルはプラハ旧市街の近く。大会期間中に何度か外出して、2軒の大型書店といくつかの小型書店を見て回ることができました。

写真はプラハ市内の大型書店。コーナー名は「クロスワード、数独」でしたが、大部分はクロスワードで、ナンプレ(数独)は上から三段目の一列だけです。出版点数が少ないのか、同じ本が複数並んでいます。

価格は600円~1000円程度。チェコの物価からは少々高めに感じますが、本としては安い方に属します。発売から年月のたった本には、大幅に値引きして売られているものもあります。

クロスワード、ナンプレ以外では、ドイツからの翻訳書と思われるバラエティパズルの本とカックロの本(4巻まで)がありました。

雑誌売り場のパズルコーナー(写真は10年前に行った時のもので、現在はもう少しナンプレが多いです)。チェコでは雑誌と本は流通が分かれていて、雑誌類は本屋ではなく専門の販売店で売られています。雑誌は本より圧倒的に安く、100円以下のものがほとんどです。

現地のナンプレ誌Katka Sudokuに、ナンバーラビリンスの改良版を発見しました。スタート(1)からゴールまでタテヨコに移動するパズルです。この時、指定された数字をちょうど1回ずつ通過するようにします。

第2回WPC(チェコ開催)でも出題されたチェコ発祥のパズルですが、0と壁が追加されていて、解きやすいパズルになっています。

地元新聞紙Deníkの週末版。よく見ると表紙でパズルの掲載をアピールしていて、人気のほどがうかがえます。

出題はスタンダードナンプレ4問と対角線ナンプレ・幾何学ナンプレが1問ずつ。(4)はnaked pair(二国同盟)、(5)と(6)も追加ルールをしっかり使う必要があって、なかなか骨のある問題です。しっかりしたパズル作家(または良質な自動生成ツール)の手による出題でしょう。

ちなみにクロスワードは1ページサイズが2問。黒マスにヒントが書かれた、アロークロスに似た形式です。黒マスの右または下に単語を続けて書きます。

まとめると、一般向けにはクロスワードが強いけど、ナンプレも頑張っているよ、といったところでしょうか。

バラエティパズル誌 IQ TYKVE

さて、現地調査ではクロスワードとナンプレが大部分で、WPCやWSCで出題されるようなバラエティパズルはほとんど見つけることができませんでした。これはある意味予想通りで、どこの国でも主力はクロスワードとナンプレ。バラエティパズルはほとんど知られていないという状況が一般的です。

IQ TYKVEは、2015年に創刊されたばかりのバラエティパズル誌です。年6冊発行。現地では発見できなかったのですが、帰国後にネットで発見しました。

出題パズルの多くが公式ページのパズルリスト(Návody)から確認できます。ひとりにしてくれ、スリザーリンク、バトルシップといった定番以外にも、マカロやクロット、ボックス(Kakurasu)などの珍しいパズルが紹介されています(どう考えても関係者はニコリを購読していますね)。

電子データでの販売もありますが、決済方法が特殊なため、日本から買うのは難しいです。今回、先方の厚意で本誌を少しだけ見せてもらったところ、52ページ約120問のほぼ全てがバラエティパズルでした。

1ジャンルあたりの問題数は10問程度。毎号出題タイプが変わる一方、ほとんどがやさしい問題で、幅広い読者層にバラエティパズルを届けようという思いを感じます。

前述のとおり日本から買うのは少々難しいのですが、2017年全巻セットはわずか50コルナ(約250円)ですので、誰かヨーロッパの事情に詳しい人がいたらチャレンジしてみてください。

年間6回開催のパズル大会

競技パズルの中心はパズル大会です。

パズル大会には大きく分けてオンサイトコンテスト(オフラインコンテスト)とオンラインコンテストの二種類があります。前者はどこかの会場に集まってパズルを解く大会、後者はネット上で各自パズルにアクセスして解く大会です。当然前者の方が開催が大変なため、数も限られます。

チェコとスロバキアで2018年に開催されたパズル大会の一覧です。

このうち、11/4-11(リストでは日付表示が日.月.の順になっています)のWPC&WSCを除く、6つの大会がチェコ国内向けの大会です。全て実際の会場で解くオンサイトパズルコンテストです。

4/7 Podebrady、5/19-20 Praha、7/21 Pardubice、9/15-16 Brno、11/17 Brno、12/8 Praha。5/19-20はWPC、WSCのチェコ代表を決定する国内大会です。

これらの大会を統括するのが、チェコのパズル・ナンプレ競技者協会(Hráčské asociace logických her a sudoku)、略称HALAS。日本で言うと日本パズル連盟に相当する団体です。Sudokucupに参加していた方なら、ある時期からチェコのオンラインコンテストに入り始めたあのロゴを覚えているかもしれません。

HALASリーグという、年間通算成績を基準にしたランキング制度(2018年途中経過)もあります。パズル部門とナンプレ部門の2つに分かれていて、上記6大会とWPF GrandPrixシリーズ(オンラインコンテスト)の一部のラウンドを加えた計9イベント(×2部門)の成績が対象になっています。

イベント一回当たりの参加者は30名程度。小規模ながら、これだけのペースでイベントを開催するのは、非常に大変なはずです。

意外に有名なチェコのパズルサイト

チェコには、国際的に有名なパズルサイトがいくつもあります。

まだオンラインコンテストが少なかった2008年にナンプレ専門の定期オンラインコンテストを開催、今では毎日出題されるナンプレサイトとして有名なSudokucup

一つのナンプレ盤面を2人で共有して解き、書き込んだマスの数を競う、対戦型ナンプレサイトSudokuliga

同じく毎日出題のナンプレサイトとして有名なFED-Sudokuはスロバキアですが、チェコ作家の名前も見えます。

チェコ国内向けでは、HALASの毎週出題されるパズルページLong-term competition(過去問)や、5種類×3サイズのパズル(自動生成)が出題されるMozkovištěもなかなかです。

世界4位にふさわしい濃厚な環境

本から雑誌、新聞、パズル専門誌、パズル大会、パズルサイトとチェコ国内のペンシルパズル(数理系)の状況を見てきました。一般向けには少々寂しい面もありますが、競技パズル界の活動状況は世界有数と言えるのではないでしょうか。

これだけの活動を運営していくには、並々ならぬ労力が費やされていることでしょう。チェコパズル界の発展を祈らずにはいられません。


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