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感想:元麻布イタリアン TOSAGE

こんにちは。今回もレストランの感想を書いていきます。最近はレビューばかりで、できれば過去のかぼちゃスープやタンパク質やフィナンシェのような記事も書きたいのですが… 

さて、今月のお店は元麻布にあるイタリアンレストラン、TOSAGEさんです。六本木駅から徒歩10分ほど、住宅街の中にあります。お店のHPはこちらから。お店の扉、そして店内の壁にも金色のTOSAGEの文字が輝いています。お店の中はカウンター8席、4人の個室が1つであまり広くありません。隠れ家的な印象がある。オープンキッチンで、席から距離があるし、テーブルの前にある最後の仕上げのスペース?作業台?も見やすいので、お料理が調理され自分の所まで運ばれてくるライブ感がよく味わえるのが嬉しいポイント。

お店の入り口

また後でも触れますが、このお店の特徴はなんと言ってもメインのお肉料理の後に10種類のパスタから好きなものを選んで食べられることですね。量は20g固定のようですが、単純に20g×10種類で200gですから、1人前をゆうに超えています。私もこれに惹かれて今回の訪問を決めました。

以下コース内容の紹介とそれぞれのお料理の感想に移ります。

コース構成

Menu TOSAGE
・Amuse
・Antipasto
・Antipasto
・Risotto
・Carne
・Pasta
・Gelato/Frutta
・Dolce
+パン

パスタは10種類から任意の数選択可。お値段は消費税・サービス料込みで¥18150。

1品目:Amuse 山口県産 甘鯛のフリット

甘鯛の鱗を生かしたお料理。新潟の黒舞茸のフリットも。下には蕪のピューレ、キャビアのソース(混じっているのはエシャロットのシズレ?)。

甘鯛の松笠焼き(やそれに似た物)はそこまで珍しいお料理でもないけれど、鱗のサクサクとした食感はやはり良い。舞茸がとても美味しかった。調理法のおかげで水分が適度に残っているので、ジュワッとくる、香りも良い。蕪も自然な甘さ。

2品目:Antipasto 鮪のカルパッチョ 赤いサラダ仕立て

厚切りにした鮪(赤身やトロなど)、フランボワーズのヴィネグレットソースでマリネした紫の白菜とカステルフランコ(チコリーの仲間で、冬の薔薇というお洒落な愛称も持っているみたい)。見えにくいですが、中央には黄色いトマトとオータムポエムというお野菜(アスパラ菜とも呼ばれるらしい)。わさびのソースと唐墨・唐辛子パウダー。

鮪は普通。まあ鮪。お野菜は酸味・仄かな苦味があって、鮪の味がもう少し強ければちょうど良いバランスになったかもしれない。わさびのソースは辛すぎずに鮪と合ってると思う。1つ1つのパーツは良いお味なのですが…。

3品目:Antipasto 毛蟹と蘭王 冷製パスタ

大分県のブランド卵「蘭王」の黄身を絡めたパスタ、毛蟹とシシリアンルージュというトマト。お皿はエルメスのもので、日本を表現しているらしいです(菊模様ということでしょうか)。フォークも綺麗。

このお料理は好きだった。卵黄のコク、トマトの甘味と程よい酸味、なんと言っても毛蟹が美味しい。当たり前かもしれないけど、パスタの弾力もしっかりあった。

4品目:Risotto 登坂米リゾット 鮑と銀杏

2時間ほど蒸し煮した鮑と銀杏を、シェフの実家で育てられているという新潟県産コシヒカリと一緒にリゾットに。

このお料理も○。磯風の独特の良い香り。お米はかなりしっかりした食感で噛みごたえがある。所謂アルデンテよりは少し硬いかもしれないけど、自分は全然好きでしたね。肝のソースの旨みがすごい、鮑の身は弾力残っていながらも十分柔らかい。銀杏もホクホクして美味しかった。リゾットというものは初めて食べたと思うけど、良いですね。色々なバージョンを食べてみたくなりました。

精米済みのお米。普段はお店の精米機で精米するらしい。

5品目:Carne 山形牛フィレ 炭火焼き

山形県産牛のフィレ肉。付け合わせはオレンジブーケというカリフラワー、ソースはスーゴディカルネ(≒フォンドヴォー)を煮詰めたもの。左にあるお塩は新潟県産「白いダイヤ」。

お肉とソースはよく合っていたと思う。自家製フォンドヴォーのこだわりをスーシェフの方からお聞きしましたが、味にそれが現れている気がしました。お肉自体も無難に美味しいし炭火焼きの香りも良い。油もしつこくなく、重くない。

6品目:Pasta ① 黒トリュフのタヤリン

卵黄の水分のみで練り上げる麺。乾燥させて冷凍することで歯切れの良さを表現しているのだそう。発酵バターのソース(発酵バターを溶かしたもの)と黒トリュフ。

トリュフとバターの香りがとても良かった。

茹でる前の麺を見せていただききました。

② 甘海老と唐墨のペペロンチーノ

中には角切りにした大根、上から唐墨パウダー、緑はイタパセ、セロリなど。

甘海老のとろりとした食感、大根のシャキッとした食感。

③ 山形牛ボロネーゼ

使っているお肉は2種類:お店でカットする粗挽き肉と頬肉。それと蓮根。麺はタリアテッレ。

お肉を2種類使って味・食感に変化をつけているのが良いと思う。赤ワイン主体で濃い。

④ 墨烏賊のラグー

烏賊のラグーというと作り方があまりピントきません。香りもしっかりするし、烏賊の食感も残っていた。

⑤ シンプルトマトソース

材料は玉ねぎ、バジル、トマトのみ。

酸味があってサッパリ。その名の通りシンプルだが、ちゃんと作ればそのシンプルなものこそ素材が美味しく伝わってくるというのを示すメニュー(であるべき)。

⑥ 仔羊のナポリ風ジェノベーゼ

ジェノベーゼというと多くの方がまずバジルのペーストを使った緑色のパスタを思い浮かべると思いますが、これはおそらくリグーリア地方発祥の調味料が元になっていて、もう1つ真の?ジェノベーゼがあります。それはナポリ風のジェノベーゼで、牛肉を玉ねぎの水分だけで煮込むお料理です。今回のパスタでは牛肉の代わりに仔羊肉が使われています。

羊に特有の匂い、自分は結構好きですね。お肉は十分柔らかかったし、辛味とのバランスもちょうど良かった。トマトの水分と酸味が良い仕事してるなーと思いました。

⑦ 真牡蠣の軽いクリーム

岩手三陸の真牡蠣と春菊。

ハーブ類の爽やかさが、クリームそのものと牡蠣のクリーミーさの良い感じの支えになってる。名前通り軽〜く食べられる。この牡蠣はそれほど得意じゃない自分でも食べれた。

⑧ カルボナーラ

生クリーム不使用。せっかくなので、白トリュフをいただきました。確かに合うかも。お味自体は普通という印象。

⑨ 山形牛トリッパアラビアータ

パスタはリングイネ。トリッパ(ハチノスとも)が入っています。初めて聞いた。

にんにくが3かけくらい丸のまま使われていて斬新。超柔らかくて簡単に潰せるし、繊維にそって解ける。どうやったらああなるんだ…?そして忠告通り結構辛い。白ワインソースver.にしなくて正解でした、辛いの好きなので。コッパは若干臭みを感じる物があったが、本来の風味なのでしょうか。経験がないので分からない。

⑩ アマトリチャーナ

燻製チーズが使われているということ以外はごく一般的なアマトリチャーナ。
チーズの香りは面白かった。グアンチャーレの油の旨みも。定番だが良い。

7品目:Gelato/Frutta ヨーグルト/栃木県産とちあいか

ヨーグルトのジェラートとシチリア産オリーブ油。キャラメルソースとローストしたヘーゼルナッツ。

見た目のコントラストが美しい。オリーブ油はとても辛くて、酸味を含むサッパリ感に合っていた。あとフルーツがそのまま出てくるのが良いと思いました。

器(切子ガラス)が素敵。

8品目:Dolce TOSAGEティラミス

パスタ等にも使われていた蘭王、マルサラ酒を使用。下にはチョコレートのクランブル。凄くシンプルながら、コースの最後のデザートしても最適だと思います。盛り付けにこだわったデザートも素敵ですが、こういう形も安心できます。

パンは全粒粉を使い、卵を少々混ぜ込んだ物。サクサクして美味しかった。

まとめの感想

本筋とは関係ないですが、まず今回はブレてしまっている写真が多かったですね、すみません。急いで撮ろうとするとどうしてもピントが合っているかどうかの確認が疎かになります。

このお店には調理担当が2人しかいないので、テンポが若干悪い気はします。私が訪問した日は個室に2人、カウンターは私含めて4人でしたが、8席全て埋まったら回るのか心配になります。特にパスタのときですね。1度に茹でれる数やコンロにも限りがあるでしょうから仕方ない部分もあるとは思いますが、間がそこそこ空いてしまいます。

お値段に関して。白トリュフ分のお値段や飲み物代を抜くと¥18150。メインの後のパスタはまず3種類選んで、それからお腹に余裕があれば追加で注文していく形だったのですが、このパスタがある程度食べられないと割りに合わないかもしれないです。10種類全て食べられるならば、まあギリギリ妥当かなとは思います。

1つとても残念だったのは、サービスマンの方が料理についてしっかり理解していない印象を受けたこと。サーブのとき基本の説明はしてくれますが、気になったことを質問すると答えられないか自信がなさそうで、度々調理担当の方のヘルプが入りました。お料理を客に届ける立場でもあるのならば、使われている食材やその調理法等、基本的な部分は共有しておいて欲しかった。それはとても大切だと思います

総括としては、お料理はまあまあだが、お店としてはまだ完成形には至っていないという感じです。偉そうに書いてすみません。個人的には前菜とパスタに印象に残るお料理が欲しかった。ただ他のお客さんもいた中で、シェフ・スーシェフ共にお食事の後沢山お話しさせていただきました。とても真摯に、丁寧に対応していただき、ありがとうございました。スーシェフの「チャラい感じ」も含め、お店の雰囲気も良く作られていると思います。将来的に素敵なレストランになっていくかもしれません。

今回は以上です。ここまで読んでくださった方がいらっしゃれば、感謝します。

#TOSAGE #元麻布 #イタリアン


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