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運賃の法制化 高速料金の全時間帯割引訴え  大阪の女性社長が署名活動

「このままでは業界が崩壊してしまう」


 4月からトラックドライバーの時間外労働年960時間の規制がスタートし、いわゆる「2024年問題」がスタートしたが、「働き方改革に対応できない」「運賃が上がってこない」とする事業者は少なくない。 そんな中、大阪の一人の女性経営者が立ち上がった。
 ㈲山中運送店(大阪市)の山中一代社長は長距離ドライバーの生活安定のため、国が定める標準的な運賃の義務化、附帯業務支払いの義務化、緑ナンバーの高速道路における全時間帯の割引適用などを求め、署名活動を始めた。 
「法律を変えるのであれば、運賃交渉を運送会社まかせにせず、国が荷主に支払うように義務化や呼びかけをしてもらいたい。荷主、元請けの運送会社が標準的な運賃を支払わない場合はタクシー、バスのように国が取り締まりを行ってもらいたい」と話す。
 山中運送店は昭和34年設立。平ボディー車24台で精密機械、工業用資材を中心に運送事業を行っており、山中一代社長で3代目となる。山中社長は短大を卒業し、保育士をしていたが、出産を機に退職。その後、家業である山中運送店の事務作業を手伝い、2年前に社長に就任した。
 運送業に携わるうちに業界の様々な問題点に直面。運賃や宿泊施設、高速の深夜割引の件についてトラック協会や国土交通省、国会議員、地方議員に疑問を投げかけたが、納得のいく回答がなかったことから4月から署名活動を始めたという。
 山中社長は、「中小の運送会社が日本の産業、ライフラインを支えてます。働き方改革で運送会社とドライバーは苦しい思いをしています。大阪から関東までの運行なら翌朝着、夕方に帰り荷をとって翌朝に大阪に着くという3日運行で成り立ってましたが、4月からはドライバーが8時間労働したら車両を停車させなければならないため、中1日、車とドライバーは動けません。労働時間が減りましたが、多くの運送会社は運賃が据え置きの状況です。このままでは運送業界が崩壊してしまいます」と訴えている。
 署名は4月30日現在で全国から1910人(199社)集まっている。(5月20日号)

 【写真】斉藤国土交通大臣に向けて作成した働き方改革についての請願書

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