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3分の1の荷主失うも3800万の利益計上  泉州サービス

5年かけ2024年問題対策


 精密機器、重量物などの輸送を行う㈱泉州サービス(原俊明社長、本社・大阪市、社員数120人)では、年960時間の残業規制、新改善基準告示をクリアし、事業を運営している。
 5年かけ、労働時間の短縮とともに運賃交渉に取り組んできたが、その間、荷主と従業員が入れ替わった。運賃交渉では、残業代の支払いを認めない荷主については仕事を辞めていった。
 標準的な運賃の時間制運賃表を参考に運賃交渉を行ったが、10時間労働の場合、基礎となる8時間から2時間分がオーバーするが、2時間分の残業分について荷主に説明。運賃を据え置いた場合、下請法に抵触する可能性があることに触れ、実際の労働時間について運賃を請求していった。
 その結果、取引を辞める荷主が続出し、3分の1のお客さんがなくなった。また、働き方改革に合わせ長距離から地場への変更など仕事内容の変更で120人中30人、4分の1の社員が辞めていった。
 その一方で新規顧客の開拓に力を入れた。メーカーに直接営業し、「2024年4月からの働き方改革に対応した会社です」ということをアピール。その営業は大手企業を中心に好意を持って受け入れられ、多くの新規顧客の契約獲得につながった。
 昨年4月からのコロナ第5類移行に伴い仕事の依頼が相次いでいる。 
 2024年問題解消のための営業方針は如実に数字に現れた。2019年~2022年はコロナ禍もあって、4000万円の赤字を計上。しかし、2024年に向けた営業活動が一段落した2023年は6億円の売上に対し、3800万円の税引前当期純利益を計上。今期についても売上7億8000万円、8000万円の税引前当期純利益を見込んでいる。
 原社長は、「5年の中期計画・10年の長期計画を社内会議で作成し、会社のあるべき姿を描いていった。3分の1のお客さんの取引中止は想定内。2024年問題に危機感をもっているお客さんが興味を示してくれている」と話している。

【写真】泉州サービスのホームページより

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