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浦島太郎現代編シリーズ

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自作小説、浦島太郎現代編シリーズです。 一話一話の長さはそんなにないです。
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2022年8月の記事一覧

浦島太郎.6

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さて、僕からすれば彼女をより意識せざるを得なくなったイベントから2日後、僕は幸との約束通り、幸の家に駄弁りに来ていた。
当時、僕は、僕は幸にあんなことをされているくらいには幸と交流していたにも拘わらず、彼女自身が恋愛的なことに対して一切言葉では触れてこないため、彼

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浦島太郎.5

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花見のついでに駄弁りに行ったことをきっかけに、僕らは不定期だが二人で出かけるようになった。夏の終わりには夏祭り、秋になったら月見ついでの外出、冬にはクリスマスを理由に、特にこれと言って何をするわけでもなかったが、とにかく二人で居る時間が増えていった。それと同

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浦島太郎.4

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そんなこんなで、1年次が終わりに差し掛かっていた。
先にも振り返ったように基本的に僕らは、喫煙所か食堂での迎合でしか、腰を据えて話すことはなかったし、結局僕らが出会ったきっかけになった新歓イベを主催してくれたサークルに、幸も入会しなかったみたいだった。幸自身のプラ

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浦島太郎.3

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数日後、待ち合わせ通りに大学の喫煙所に向かった。
既に幸は煙管を吹かしており、日に照らされた幸の姿は、あの夜に見たものとはまた違って見えた。
「田村さん、ごめんねちょっと遅れた。」
「どうも。別に気にしなくていいよ。どうせこうやって煙草吸ってるだけですから。」
「ハハハ、それもそ

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