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ドラマに登場する病気

2020年2月の定期検診で、お腹のあたりに腫瘍が発見された。3度目だから、つまりは再再発ということになる。まだ大きくないのでとりあえず様子をみることになったが、もう3度目なので今回はきちんと記録をつけていこうと思う。

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後腹膜脂肪肉腫という病気で、他のがんと比較すると症例が少ないらしく、希少がんにカテゴライズされるらしい。2016年に初めて病気が発覚した頃は、誰に説明しても「聞いたことないな」という顔をされていたので、当事者か専門医師しか知らない病気だと思っていた。

ところが、去年(再再発がわかるまえ)知人との会話で、ドラマ「ドクターX」で米倉涼子演じる大門先生が後腹膜肉腫で余命3ヶ月と宣告された設定であることを知って驚いた。まあ外見で分かりにくいし、症状がでないので発見されにくいし、他の患者の病名と重ならないから、ドラマの設定としては便利だったのかもしれないな。そもそも誰がどんな病気を患うかなんて未知だから、そりゃあ大門先生の後腹膜に肉腫だってできることもあるだろう。

自分にとって身近な(そしてレアだと認識していた)病名が、ポピュラーな場面で使われていることを知って少し愉快な気持ちになって、はしゃいだ気分で「ドクターXってゆうドラマに出てくるんだって!しかも主役がなる病気で余命3ヶ月の設定らしい」と夫に話したら、夫は悲しそうな顔をした。たしかに余命3ヶ月という設定は、はしゃいで伝えるべきじゃなかった。冷静になって考えたら、私もちょっと堪えた。私は今そういうステージではないけれど、場合によってはそうなり得るということか。

知人が大門未知子の病気の話をしてくれた時、私はまだそのドラマを観ていなかったし、二度目の手術が終わって寛解状態だった。夫の悲しい表情はみたくないけど、ドラマは観たいからどうしようと考えてるうちに、再再発が発覚してしまったのでなおさら観ることが難しくなった。(ストーリーの流れによっては、自分が精神的に落ち込むかもしれないし)

ドラマでどのように後腹膜肉腫がどのように描かれているのか知りたくてネット検索してみると、いくつかのブログ記事がヒットする。その大体が国立がん研究センターのページを引用したもので、そのページはまさに私も自分の病気が分かったときに何度も何度も読んだ記事だったから、どれも見慣れた文面で、なんとなく自分の方が先輩のような気持ちになった。

ちなみに後腹膜肉腫というのは、後腹膜にできる肉腫の総称で、診断名としてはたぶんありえない。(おおざっぱすぎる!)わたしのは後腹膜「脂肪」肉腫。後腹膜にできる肉腫としては脂肪肉腫のほかに、平滑筋肉腫、線維肉腫などの肉腫があるらしいけれど、大門未知子はどの肉腫なんだろう。ドラマ制作者側が、なんとなくでおおざっぱに決めたのか?エキスパートが医療監修に入るだろうから実際そうゆう診断のつけ方もあるのかなと思いつつ、だんだんこれは、あえてのおおざっぱさであり、一種の思いやりなのではないかとも思えるようになってきた。

細かい病名まで指定して「余命3ヶ月」じゃ、実際にその病をもつ人がつらくなるからという思いやり。そんなことないか。

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