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心のひだに触れる~音楽やアートの持つ力

こんばんは。

今日明日と、日本全国は大雨に見舞われています。

つい先日のニュースで、新型コロナウイルの感染拡大を防ぎつつ、避難所で過ごすことへの摸索が各地で始まっているという報道がありました。

今年は梅雨というほど雨が降っていないような気もしていましたが、これから台風シーズンを迎えるにあたり、とても必要な対策。

早速それが活用されている地域もあるのではないでしょうか。

どこかの首長が、「まずは避難。感染も恐ろしいけれども、雨や地震もまた一瞬で命を落とす危険性がある。とにかく住民の皆さん、避難してもらって、それからだ」と苦渋の顔で話されていました。

判断が難しいところでもあると思いますが、台風や大雨でいつも被害が出る地域に住む私としても、高齢者や小さなお子さん、障がいのある方などを守りつつ、まずは安全に避難することが必要だと思っています。

さてさて、前置きが長くなってしまいましたが…。

この未曽有の危機の中で、以前にも増してその存在意義が問われている「音楽」や「アート」などの芸術分野。

食べることや眠ることと違い、まずは命をつなぐ、と考えたときには、確かに必要なものではないかもしれない。

しかし一方で、音楽やアートの持つ何らかの力が身体に作用し、良い方向に導ていくのはまた確かですし、私も実際にその場面を目にしてきました。

今回は、そんな音楽やアートの持つ力について、体験も交えながらちょっとお話ししてみたいと思います。※トップの画像は、「RRice」さんによる写真ACからの写真です

1、音楽やアートは心のひだに触れ、人を動かすことができる!
2、心の奥深くに響き、眠った力を呼び覚ました瞬間
3、そんな音楽を、より多くの人に届けたい

1、音楽やアートは心のひだに触れ、人を動かすことができる!

私自身は、音楽の中でも歌、ボーカリストをしています。自分でも時折ステージに立ったり、施設に慰問にお邪魔したりしていますが、多くは師匠や音楽仲間たちの身の回りやステージを整えるスタッフとして、音楽の現場に携わっています。

その経験の中では、病気や加齢により表に感情を出せなくなった方が、思い出の音楽や好きな音楽を聴くことで、一瞬でも心の動きを取り戻すことができた場面を見てきました。

演劇や美術もまた然り。その人の好きな傾向のもの、また思い出に関わるものをアートの力で解きほぐし、導くことで心の動きをよみがえらせることができるのだと思うのです。


2、心の奥深くに響き、眠った力を呼び覚ました瞬間

たとえば、こんなことがありました。

ある時、高齢者施設に慰問に訪れた時のことです。

私の師匠はジャズボーカリストでありジャズユーフォニアム奏者なので、普段はジャズしか演奏しません。が、こういった慰問の時には日本の詩歌や歌謡曲なども取り入れて演奏しています。

この日も、懐メロを数曲織り交ぜて演奏していました。

すると、一番前に座っておられた女性の高齢者が、つっと涙を流されたのです。そしてふわっと笑顔を見せられたのです。

驚いたのは、私たちよりも施設のスタッフの皆さんでした。この方は重い認知症で、普段はお顔に表情が出ることもないのだとか。もちろん、施設に来られてから一度も涙も笑顔も見たことなどなかったそう。スタッフさんも「〇〇さん、お歌気に入ったのね。良かったね~!」と言いながら、一緒に涙を流されていました。

眠ってしまったかと思われた感情が、好きな音楽を聴くことで再び動いた。まさにそんな瞬間だったと思います。

演奏が終わり数分が経つと、その方の涙も収まり、感情の見えないお顔に戻りました。でも、スタッフさんは、自分たちにとってもその方が気持ちよく施設で過ごされる方法を伺い知る一端になったとお話しされていましたし、私たちも、音楽をいろいろな場所で届ける意義を深く感じることができました。

ほかにも、重い脳性まひで自分では手足を動かすことができず、感情も表に伝えることができない方が、リズム療法を受けることで自身の名前の回数タンバリンを振動させることができた場面や、遷延性意識障害など昏睡状態にある患者さんが、思い出の曲を聴いて、突然涙を流される場面を見てきました。

こんな風に、音楽は心に作用し、眠っているであろう感情を揺り動かす手だてに成りうるものだと思います。(学術的なことは今勉強中なので、何らか今後は理論的なこともご紹介できればと考えています)


3、そんな音楽を、より多くの人に届けたい

私たちは、ジャズを中心とした音楽を教育現場や医療現場、介護などの現場にもっと届けたいと、団体を立ち上げて活動しています。

今は新型コロナウイルスの影響で施設にお訪ねすることはできませんが、こういった音楽の可能性を、もっともっと多くの人に、気軽に届ける場をこれからも作っていきたい。

先日、まずは「密」を避けた場所で、と野外で「街角ジャズコンサート」も始めました。これから、各地でミュージシャンやほかの分野のアーティストも活動を開始することと思います。

多くの方にお越しを呼びかけるのは、まだ皆、なかなか憚られるところだとは思いますが…。もし街で見掛けたら、周りのお客様と距離を取りつつ、私たちの音楽やアートを、心ゆくまで楽しんでもらえたら嬉しいです。

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