岩室山極楽寺観音院 「お参りすることの良さ」

 岩室山観音院は、大阪府堺市にある、真言宗のお寺です。一年に一日だけの、秘仏開帳に伺いました。

 今年に限り、「密」を避けるために、午前9時から午後9時に、時間を延長されたそうです。(本堂前にはアルコールも置かれていました。)
 
 境内は、きれいに掃き掃除がなされ、水が撒かれていました。午前中、御開帳の準備を終えられ、休憩がてら、よしずで日除けをしたテントの中で、楽しく話をされているとお見受けしたの方々の他には、お参りの方が二、三人来られているだけでした。

 手水は、手押しポンプ式の井戸でした。熱気が蝉の声と共に覆いかぶさってくる様な日だったので、井戸水の冷たさがとても心地良く感じられました。

 本堂に、上がらせて頂き、秘仏の十一面観音様を拝観しました。お腹の辺りの裳の垂れた部分が直線的で、よく拝見する、布の感じを出す為に、丸みを帯びている観音様とは違うなと、思いました。
 さほど大きな仏様ではないので、遠くからだと、目の悪い私には、仏様の細かな所までは分かりませんでした。すると、御本尊様に新しいお供えを持って来られた方が、「もっと、お近くでご覧下さい。」と言って下さったので、ありがたく近くで拝見しました。
 間近で拝観した観音様は、なぜだかさっきより小さく感じました。そして、平安時代前期の檀像の仏様のように、お体に比べて少しだけ大きめのお顔なのかなと、思いました。
 
 廊下でつながっている隣の阿弥陀堂には、半丈六の阿弥陀様がいらっしゃいました。苦しんでいる者をしっかりと受け止めてくださる、慈愛と安心感に満ちたお顔とお姿でした。
 右隣には小さな大日如来様、左隣には大変丁寧に作られた役行者様と、冠をかぶられた蔵王権現様(熊野権現様)が祀られていました。
 
 しばらくすると、法要が始まりました。
 ご住職のお話によると、このお寺は、元は極楽寺と言い、阿弥陀様が本尊だったが、その後、弘法大師様が滞在された際、観音様を彫られたので、お堂を作り、安置した。明治になり、お寺が廃寺になった後、戦争で空襲に遭いお堂も焼けたが、観音堂が先に復興したので、今は、観音様が本尊となっているとのことでした。そして、今日は千日祭の日なので、今日お参りすると、一千日分の功徳がありますよと、お話し下さいました。
 最後に、今日の参拝者にお寺が用意して下さったお守りを頂いて帰りました。

 拝観の後自宅に戻り、いつものように家事をしていると、何だか気持ちがとても落ち着いていることに気づきました。

 今日は、取り立てて強く印象に残ることは無かったですが、手入れの行き届いた気持ちの良いお寺に行き、お坊さんに会い、素晴らしい仏様を拝観して、お寺に行く前とは、気持ちが変わっていました。

 何だか、お寺に伺っても、今までは仏様ばかりに目が行っていました。最近、少しずつそれ以外の所にも目が行くようになって来たのを感じていましたが、今日、観音院に伺って、やっと、お参りをすることの良さが、実感として分かったような気がしました。かなり遅いですが・・・。