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ネスレ トラック年間4000台削減 トラックはいらなくなるのか?

食品新聞に以下のようなニュースがありました。

年間4000台削減というのはすごい台数ですね。はたしてモーダルシフトは他企業にも進むのでしょうか?今回はモーダルシフトについて考えてみたいと思います。

【結論】
・物量、定期出荷のある会社はモーダルシフトをしやすい
・500km以上の輸送は経済的メリットがでやすい
・鉄道はトラックより台風や大雪などの天候に弱い

モーダルシフトというのはトラックから鉄道、船など環境負荷の低い輸送手段に切り替えることをいいます。今回、ネスレは貨物鉄道に切り替えるわけですが、狙いは環境負荷低減と安定的な輸送手段の確保だと思います。

環境、安定供給、運賃の三点でトラックと鉄道を比較したいと思います。

まず環境負荷の面で考えると、1トンの貨物を1km運ぶ(=1トンキロ)ときに排出されるCO2の量は、トラック(営業用貨物車)が216gであるのに対し、鉄道は20g(約1/11)です。CO2を90%以上削減することができます。(国土交通省調べ)

また、安定的な輸送手段の確保の面で考えると、これから2024年の労働時間規制が始まるとドライバー不足になり、安定的にトラックを確保するのが難しくなってきます。鉄道の場合その可能性は今のところありません。

運賃は通常、中距離(300~400km)ではトラックのほうが優位です。先日、弊社野々市運輸機工でも金沢から大阪まで(300kmくらい)の見積もりをとりましたが、トラックの1.5倍くらいの見積もりになりました。しかしネスレの場合は出荷ボリュームが凄く大きいですし、定期出荷するという条件で、かなり鉄道輸送の価格を抑えることに成功しているのだと思います。

よって、ネスレは環境負荷低減、安定的な輸送、トラックと同等の料金を実現できるという観点からモーダルシフトを決断したのでしょう。しかしながら、関係各所との調整は相当大変な作業だったと思います。

ただし、一般企業ではなかなか難しいのが現実です。
鉄道輸送の難点
・近距離、中距離は運賃が割高になる
・運べるモノが限定される
・天候に左右されやすい
などがあげられます。

コンテナのサイズがある程度決まっているので、運べるモノがある程度限定されます。また、トラックより振動が大きく精密機械などは難しいと思います。
また、大雪などが降ると電車は止まってしまいます。最近は高速道路もよく止まりますが電車のほうが止まりやすいです。

上記のことから、一部の企業(特に大手)ではモーダルシフトは進みますが、中小ではなかなか難しいでしょう。

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