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螺旋

いがらっし、夢の一片を叶えてきました。東京吉祥寺ギャラリーシェル102にて。
私のテーマは生き死に、循環、螺旋、だったのですが、自宅の玄関前にて、私が取り組んだ以上のテーマの具現化が行われていました。

この季節には、セミが成虫になる儀式が毎朝ひとしれず繰り広げられているのですが、成虫の形状を手に入れる前に、個の生をまっとうする個体もいるわけで。

27日の朝、玄関の扉を開けると、成虫の体の1/3ほどをたわめ、幼虫から出かかったまま固まった個体が落ちていました。アリが周りで忙しくしています。生が終わったためアリがたかったのか、アリがたかったため生が途絶えたのか、はたまた、まだ生と死のマーブルの海をただよっているのか、私にはわからない。
アリは天餌を巣穴にもっていこうとはしたのでしょうが、丸まる太ったクマゼミは運びようもなかったのか、クマゼミの直下に新しい出入口を作った様子で、クマゼミの周りにははからずも土饅頭ができている。

クマゼミのhalo

これほどの墓標があるでしょうか。私はこれほどのお弔いを受けることができるのでしょうか。

夕方帰宅すると、盛り土がさらに大きくなっていて、クマゼミの体は半分ほど埋もれていた。
翌日、それを横目にギャラリーにむけて出発。
30日に帰宅したところ、クマゼミは消え失せていて、やや平らかになった墓標がのこり、今度は干からびたミミズの破片が落ちている。
私が干からびていくバラの下で踊っている間に、分解やら、エネルギー循環やら、風化やらが自宅でひっそり待っていたのだなあと。

玄関前を掃き掃除してしまうことができない、じわりと暑い昼下がり。


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