見出し画像

【F1_2023】RaceFans.net ドライバーレーティング翻訳【第4戦アゼルバイジャンGP】

RaceFans.netよりドライバーレーティングが公表されていましたので翻訳し紹介します。
翻訳は筆者の意訳も含まれており、原文の意図を逸脱した文章である可能性もあり、十分にご留意のうえあくまでもご参照程度にご覧ください。また、図や写真については転載しておりませんことをご了承ください。

参照元

2023 Azerbaijan Grand PrixPosted on
2nd May 2023, 7:15 | Written by Will Wood

2023年シーズン最初のスプリント戦のある週末となったアゼルバイジャンGPは、通常の週末よりも2セッション多いため、20人のドライバーにかかるプレッシャーはかつてないほど厳しいものとなった。
そのプレッシャーに押し負けて力を発揮できないドライバーもいれば、それを撥ね退けて素晴らしいパフォーマンスを披露するドライバーもいた。レッドブルが再び勝利を収め、上位4チームが上位8位までを独占したため、残り僅かなポイント圏内を巡って中団チーム同士の熾烈な争いが繰り広げられた。
これより、RaceFansによるアゼルバイジャンGPのドライバー評価をお送りする。

マックス・フェルスタッペン 7/10

スプリント予選:3位(チームメイトから1位下)
スプリント結果:3位(チームメイトから2位下)
予選:2位(チームメイトより1位上、-0.104秒)
スターティング・グリッド:2番手(チームメイトより1位上)
スタート:ポジションキープ
タイヤ戦略:1ストップ(ミディアム⇒ハード)
最終順位:2位(チームメイトから1位下)

・予選前のフリー走行では最速で、金曜日の予選では2番グリッドを獲得
・スプリントの予選でチームメイトに敗れ、スプリントレースではラッセルと接触してサイドポッドにダメージを受けた
・スプリントレースは3位フィニッシュし、その後のグランプリでは2番グリッドに並んだ
・スタートで2番手をキープし、3周目にルクレールをパスしてトップに立った
・セーフティーカーの直前にピットインし、3番手に下がったが、再スタート時にルクレールを追い抜いた
・トップに立つためにチームメイトを追ったが、フィニッシュは2位に終わった

フェルスタッペンがチームメイトのレースペースに足りていないように見えた稀なケースとなった。セーフティカーでリードを失ったとはいえ、ピットインする直前ですでに後ろのペレスからプレッシャーをかけられていた。再スタート後はルクレールを軽くあしらい、時間をかけてチームメイトにプレッシャーをかけようとしたが、優勝を狙えるほどには近づくことができなかった。それでもこの週末は素晴らしいものだったと言え、あまりがっかりする必要はないだろう。

セルジオ・ペレス 7/10

スプリント予選:2位(チームメイトより1位上)
スプリント結果:優勝(チームメイトより2位上)
予選:3位(チームメイトから1位下、+0.104秒)
スターティング・グリッド:3番手(チームメイトから1位下)
スタート:ポジションキープ
タイヤ戦略:1ストップ(ミディアム⇒ハード)
最終順位:優勝(チームメイトより1位上)

・Q3の最終ラップは「理想的なものではなかった」と認めた上で予選3位
・スプリント予選ではチームメイトを上回り2位で通過したが、ルクレールのポールを奪うことはできなかった
・スプリントレースでDRSが作動したあと、ルクレールを抜いてトップに立ち、そのまま4秒差で優勝した
・決勝はスタートで3位をキープし、5周目にルクレールをパス。さらに前を行くチームメイトを追い詰める
・フェルスタッペンのピットインでトップに立ち、次の周にセーフティカーが出たためにピットインした
・再スタートでトップを維持し、中盤戦以降もチームメイトとの差を広げ、2秒以上の差をつけて優勝を果たした

ペレスにとってこの週末は、非常に素晴らしいものとなった。金曜日はフェルスタッペンのペースに及ばなかったものの、あと一歩というところだった。土曜日にはチーム内の争いに勝ち、ルクレールを簡単に料理してスプリントレースを制している。日曜日の決勝ではセーフティカーのタイミングがラッキーだったかもしれないが、デ・フリースが事故を起こす前からすでにフェルスタッペンを目前まで捉えていた。ペレスがしたように、同じマシンで2度のワールド・チャンピオンを長く後ろに従えるということは、ものすごく神経を使うことである。

シャルル・ルクレール 8/10

スプリント予選:ポールポジション(チームメイトより4位上)
スプリント結果:2位(チームメイトより3位上)
予選:ポールポジション(チームメイトより3位上、-0.813秒)
スターティング・グリッド:ポールポジション(チームメイトより3位上)
スタート:ポジションキープ
タイヤ戦略:1ストップ(ミディアム⇒ハード)
最終順位:3位(チームメイトより2位上)

・金曜日にはフリー走行での2番手のあと、予選において予想外のポールポジション獲得
・スプリント予選では、最終ラップで壁にこすりながらもポールポジションを獲得し、金曜日の調子を維持した
・DRSが有効になってから、ペレスにスプリントレースのリードを奪われたが、フェルスタッペンの前で2位をキープした
・レースのオープニングラップをリードしたが、2台のレッドブルに立て続けに抜かれた
・セーフティーカーで2位を取り戻したが、再スタートですぐに失った
・レッドブル勢から引き離されたものの、アロンソの前の3位を、1秒以内に近づけさせずにキープした

待ちわびていたルクレールの今シーズンがようやく開幕した、と言わしめる素晴らしい週末となった。金曜日のポールポジション獲得もさることながら、土曜日の午前中にも同じ結果をもたらしたことは、それが決して偶然の産物ではないことを物語っている。ポールポジションからスタートした2度の決勝レースでは、双方ともにオープニングラップでトップをキープしたものの、後からレッドブル勢に抜かれるのを防ぐことができなかった。3位は現実的に望める最高の結果だったが、それを手にするためにはアロンソに攻め込まれ、神経をすり減らさなければならなかった。とにかく、この週末は傑出したパフォーマンスだった。

カルロス・サインツ 5/10

スプリント予選:5位(チームメイトから4位下)
スプリント結果:5位(チームメイトから3位下)
予選:4位(チームメイトから3位下、+0.813秒)
スターティング・グリッド:4位(チームメイトから3位下)
スタート:ポジションキープ
タイヤ戦略:1ストップ(ミディアム⇒ハード)
最終順位:5位(チームメイトから2位下)

・すべてのセッションにおいてチームメイトを下回った
・金曜日の予選ではチームメイトよりコンマ8秒遅い4番手だった
・スプリント予選ではチームメイトのクラッシュにより最終のアタックラップを阻害され、5位に終わった
・スプリントレースでは5番手をキープし、2台のメルセデスの間でフィニッシュした
・グランプリ序盤は4番手を走行し、セーフティカー後にピットインできたが、再スタートでアロンソに抜かれた
・レース後半はハミルトンを抑え、コンマ6秒差でゴールしたが、チームメイトとは20秒以上の差があった

「非常に難しい週末だった」とサインツ自身が認めた。結果としては決して悪いものではないのだが、チームメイトと比較すると週末を通して同じレベルに達していなかったと言える。ひどいミスや大きな事故はなかったものの、フェラーリの調子自体がよかっただけに、週末のレッドブルとの戦いでルクレールを援護できなかったことがサインツを平凡に見せてしまっていた。

ジョージ・ラッセル 5/10

スプリント予選:4位(チームメイトより2位上)
スプリント結果:4位(チームメイトより3位上)
予選:11位(チームメイトから6位下、+0.004秒)
スターティング・グリッド:11位(チームメイトから6位下)
スタート:2ポジションアップ
タイヤ戦略:2ストップ(ミディアム⇒ハード⇒ソフト)
最終順位:8位(チームメイトから2位下)

・金曜日の予選ではQ3進出を逃したが、Q2最終ラップでのミスを認めている
・スプリントでは予選で4位。レースではターン2でフェルスタッペンと衝突し、最終的にレッドブルに抜かれて4位でフィニッシュした
・スタートで2つ順位を上げ、セーフティカーによるピットインを活かして3つ順位を上げ、6位で再スタートを切った
・再スタート時にストロールとハミルトンに2つポジションを奪われ、8位に後退した
・レース終盤は8番手で走行していたが、やがてピットインしてソフトタイヤに履き替え、最終周にファステストラップを記録した

トップ4チームの中で「最下位」となったラッセルは、この週末にもっと良い結果を望んでいたことだろう。金曜日はチームメイトのパフォーマンスに及ばず、惜しくもQ3進出を逃し、6つ下の順位で予選を終えた。しかし土曜日には汚名を返上し、スプリントレースでフェルスタッペンの怒りを買ったあとにサインツの前の4位でフィニッシュした。グランプリでは、セーフティカーを活かすことができたものの、その後の再スタートで順位を落とし、ストロールの前でフィニッシュはできたが、ハミルトンにはついてくことができなかった。

ルイス・ハミルトン 7/10

スプリント予選:6位(チームメイトから2位下)
スプリント結果:7位(チームメイトから3位下)
予選:5位(チームメイトより6位上、-0.004秒)
スターティング・グリッド:5位(チームメイトより6位上)
スタート:ポジションキープ
タイヤ戦略:1ストップ(ミディアム⇒ハード)
最終順位:6位(チームメイトより2位上)

・チームメイトとは異なり、金曜日にはQ3に進出し、5番グリッドを獲得した
・スプリント予選でチームメイトに敗れ、スプリントレースでは再スタート時にアロンソに順位を奪われ、7位でフィニッシュした
・グランプリ序盤は5番手を走行したが、セーフティカー導入の2周前にピットインし、順位を落としてしまった
・10位で再スタートし、ヒュルケンベルグとオコンをパスしたあと、グリーンフラッグ2周目でチームメイトをオーバーテイクして7位に入った
・ターン16でストロールがミスをしたため、パスして5位となった
・レース後半はサインツの後を追ったが、5位で終わった

メルセデスのペースがフェラーリに及ばない中、ハミルトンにとってはまずまずの週末となった。金曜日の予選では好調だったものの、土曜日にはチームメイトに上に行かれ、スプリントレースで後れを取った。しかし日曜日には再び調子を上げ、タイミングの悪いセーフティカーで失った順位を取り戻す形で、一気に6番手まで挽回した。サインツにプレッシャーをかけて5位を譲らせることはできなかったが、それでも6位はメルセデスにとって悪い結果ではなかった。

エステバン・オコン 6/10

スプリント予選:13位(チームメイトより6位上)
スプリント結果:18位(チームメイトから5位下)
予選:12位(チームメイトより7位上、-2.231秒)
スターティング・グリッド:19位(チームメイトから2位下)
スタート:ポジションキープ
タイヤ戦略:1ストップ(ハード⇒ソフト)
最終順位:15位(チームメイトから1位下)

・チームメイトの火災が原因のチェックでマシンを裸にされたことで、唯一のフリー走行でコースに出る時間を削られてしまった
・準備不足の中、予選で12番グリッドを獲得した
・スプリントレースの予選でSQ2に進出し、13位を獲得したが、マシンのレギュレーションへの適合問題がありセットアップを変更せざるを得ず、ピットレーンスタートとなった
・スプリントレースで2回ピットインして最下位に終わった
・グランプリではピットレーンからスタートし、ほぼ全周回をハードタイヤで走り、9位を維持したままできる限りピットインを遅らせた
・最終ラップにソフトタイヤを装着する前に、ピットレーンでカメラマンと接触するのを避け、15位でフィニッシュした

この週末、オコンは早々から不利な状況に置かれてしまったようだ。フリー走行で彼の方のアルピーヌ・マシンからは火が出なかったものの、残りのセッションではステイアウトせざるを得なかった。ふたつの予選ではそれなりの結果を残したが、レースではピットレーンからのスタートとなり、大きく出遅れることとなってしまった。1ストップ作戦を成功させるためにはセーフティカーか赤旗が必要で、彼はそのためにベストを尽くしたが、結局最後まで来なかった。そのため残念な結果になってしまったが、これは彼の責任ではないだろう。

ピエール・ガスリー 3/10

スプリント予選:19位(チームメイトから6位下)
スプリント結果:13位(チームメイトより5位上)
予選:19位(チームメイトから7位下、+2.231秒)
スターティング・グリッド:19位(チームメイトから2位下)
スタート:2ポジションアップ
タイヤ戦略:2ストップ(ミディアム⇒ハード⇒ハード)
最終順位:14位(チームメイトより1位上)

・わずか7周で油圧漏れからの火災が発生し、フリー走行を終了した
・予選ではコースに出ることができたが、Q1のターン3でクラッシュし、19番グリッドとなった
・SQ1ではサージェントのクラッシュによる赤旗中断に巻き込まれ、再び19位で敗退したが、スプリントレースで4つ順位を上げた
・グランプリでは最初にピットインして16位で再スタート、周冠宇を抜いて15位となった
・アルボンの後ろを走った後にピットインし、2セット目のハードウエアを装着して後方に下がった
・レース終盤の第3スティントでボッタスとサージェントを追い抜き、最終的に14位でフィニッシュした

ガスリーにとっては、またひとつ忘れられない週末となった。フリー走行中の火災は彼の責任ではないが、予選でのクラッシュに言い訳の余地はない。SQ1落ちは残念だったが、スプリントレースはまずまずの出来だった。アグレッシブな戦略をとったが、結果的にうまくいかず、ポイント争いから脱落してしまった。彼は、自分がもっと上に行けるドライバーであることを分かっているはずだ。

ランド・ノリス 7/10

スプリント予選:10位(チームメイトより1位上)
スプリント結果:17位(チームメイトから7位下)
予選:7位(チームメイトより3位上、-0.33秒)
スターティング・グリッド:7位(チームメイトより3位上)
スタート:1ポジションダウン
タイヤ戦略:1ストップ(ミディアム⇒ハード)
最終順位:9位(チームメイトより2位上)

・すべてのセッションでチームメイトを上回った
・7番グリッドで「中団勢トップ」のポジションを獲得
・スプリント予選でSQ3に進出するも、タイヤ不足で未出走となった
・スプリントレースではソフトタイヤ選択のギャンブルを外し、ピットストップで順位を下げた
・グランプリでは8位だったが、セーフティーカー直前にピットインし順位を落とした
・11番手でリスタートし、レースの大半で角田を抑え込んだあと、ヒュルケンベルグをパスし、オコンの最後のピットインで9位に浮上した

マクラーレンに期待通りの結果をもたらしたノリスにとって、まさに「2022年」の週末となった。金曜日の予選でアストンマーティンを破り、土曜日にはスプリント予選でSQ3まで進んだが、ソフトタイヤの配分におけるチームのリスク選択として最後は走行できず、結果を受け入れるしかなかった。レースにおいて彼は、上位4チームが順位を囲ってしまっていた中で、9位という考えられる最高の結果を持ち帰ったものの、その大半をDRSトレインに抑え込まれていたうえ、オーバーテイクと言えばタイヤがタレ始めたハースのヒュルケンベルグを一度抜いたきりだった。

オスカー・ピアストリ 6/10

スプリント予選:11位(チームメイトから1位下)
スプリント結果:10位(チームメイトより7位上)
予選:10位(チームメイトから3位下、+0.33秒)
スターティング・グリッド:7位(チームメイトより3位上)
スタート:1ポジションダウン
タイヤ戦略:1ストップ(ミディアム⇒ハード)
最終順位:11位(チームメイトから2位下)

・すべてのセッションでチームメイトを下回った
・週末を通して食中毒による体調不良に悩まされた
・チームメイトに続いてQ3に進出したが、最終ラップでコンマ3秒遅れ、10番グリッドを獲得
・スプリントの予選でSQ3を逃したが、トップ10入りを果たした
・スタート直後の第2コーナーでアルボンに抜かれ、11位まで順位を落とす
・13位で再スタートし、レース中の大半はチームメイト先導のトレインに引っ掛かって、最終的には11位でポイントを逃した

食中毒の影響もあり、体調が万全でなかったルーキーにとっては、体力的に厳しい週末となった。3日間を通してチームメイトのペースには及ばなかったが、それでも他のルーキーたちよりははるかに良い結果を残した。中盤の接近戦に巻き込まれ、角田にプレッシャーをかけることができず、勝ち点を逃してしまった。しかし、体調不良にもかかわらず、ミスのない週末を過ごしたことは称賛に値する。

バルテリ・ボッタス 4/10

スプリント予選:17位(チームメイトから1位下)
スプリント結果:16位(チームメイトから4位下)
予選:14位(チームメイトより2位上、-0.06秒)
スターティング・グリッド:13位(チームメイトより2位上)
スタート:5ポジションダウン
タイヤ戦略:3ストップ(ミディアム⇒ハード⇒ハード⇒ミディアム)
最終順位:18位

・チームメイトとは異なりQ2に進出したが、予選は14位通過にとどまった
・スプリント予選ではSQ1でチームメイトの後塵を拝し、スプリントレースではソフトタイヤで苦戦した
・日曜日はターン2でマグヌッセンに追突され18番手まで後退。速すぎるピットインを強いられハードタイヤに交換した
・セーフティカーによる2回目のピットインでハードタイヤを装着、後方からリスタートした
・ガスリーのピットインで順位を上げたが、すぐに追い抜かれ、3度目のピットインにより最後尾のチェッカーを受けた

ボッタスにとって長く退屈な日曜日となり、バクーでの週末はかなりフラストレーションの溜まるものとなった。金曜日にQ2に進出したのがこの週末のハイライトで、そこからはすべてがうまくいかなくなった。スプリント予選で周冠宇に上に行かれ、スプリントレースではソフトタイヤのチョイスに賭けたがタイヤが "溶けた"ことで台無しとなった。ターン2で接触され、マシンにダメージを負ったことに落ち度はなかったが、再スタート後のレースでは単純にペースがなく、最後尾を孤独に走ることとなった。

周冠宇 5/10

スプリント予選:16位(チームメイトより1位上)
スプリント結果:12位(チームメイトより4位上)
予選:16位(チームメイトから2位下、+0.06秒)
スターティング・グリッド:15位(チームメイトから2位下)
スタート:1ポジションアップ
タイヤ戦略:1ストップ(ミディアム⇒ハード)
最終順位:リタイヤ(冷却問題:37周)

・チームメイトについていくことができず、Q2進出を逃した
・スプリント予選ではチームメイトに勝ったものの、結局SQ1で敗退したが、スプリントレースでは4つポジションを上げた
・スタートでガスリーによりひとつ順位を落とし、再スタートで2つ順位下の16位まで後退した
・マグヌッセンに抜かれ、16番手を走行中、オーバーヒートとエンジンへの不安からリタイアを命じられた

周冠宇にとって「忘れられない週末」となったが、それは彼自身のパフォーマンスというよりも、アルファロメオのスピード不足に原因があった。金曜日にチームメイトに敗れたあと、スプリントレースではよりベターな作戦を立て、4つポジションを上げるというよい仕事をした。しかしグランプリでは攻めあぐね、速いクルマに抜かれ、結局リタイアとなった。

ランス・ストロール 5/10

スプリント予選:9位(チームメイトから1位下)
スプリント結果:8位(チームメイトから2位下)
予選:9位(チームメイトから3位下、+0.358秒)
スターティング・グリッド:9位(チームメイトから3位下)
スタート:2ポジションダウン
タイヤ戦略:1ストップ(ミディアム⇒ハード)
最終順位:7位(チームメイトから3位下)

・金曜日にDRSの故障に見舞われ、ノリスと角田に予選で敗れる
・スプリント予選でチームメイトとほぼ同じ順位になったが、スプリントレースでは順位をひとつ上げたのみだった
・スタートでノリスと角田に抜かれたあと、セーフティカーのタイミングでピットインすると、ピットレーンでラッセルに抜かれた
・7位で再スタートし、ラッセルをパスしたが、ターン16でのミスでハミルトンに抜かれた
・レースの大半をラッセルに追われたが、彼の前の7位でフィニッシュした

上位4チームが8位までを占める中、ストロールの7位は納得のいく結果ではあったが、地味なものだった。序盤はチームメイトの後ろで戦略ゲームに興じる余裕があったが、ピットレーンでラッセルにすんなりと先を越され、順位を落としてしまった。再スタートで順位を戻したが、ハミルトンのプレッシャーに負けてミスを犯してしまった。彼はこの週末、堅実にポイントを稼いだが、それはアストンマーティンのドライバーとして2番手の成績でしかなかった。

フェルナンド・アロンソ 7/10

スプリント予選:8位(チームメイトより1位上)
スプリント結果:6位(チームメイトより2位上)
予選:6位(チームメイトより3位上、-0.358秒)
スターティング・グリッド:6位(チームメイトより3位上)
スタート:ポジションキープ
タイヤ戦略:1ストップ(ミディアム⇒ハード)
最終順位:4位(チームメイトより3位上)

・金曜日の予選でDRSの不具合に見舞われるも6番グリッドを獲得
・スプリント予選でチームメイトにギリギリで勝利し8番グリッドを獲得、その後スプリントレースでは2つ順位を上げた
・スタート直後はハミルトンの後方を走行し、セーフティカー導入後は5番手を走行した
・ターン4の大胆な突っ込みでサインツを抜き去り、その後レース中盤では4番手を走った
・レース終盤、ルクレールを捕らえるために激しくプッシュし、1秒以内の差でフィニッシュした

アストンマーティンが開幕3戦ほど好調でなかったこの週末、アロンソは再び力強い仕事をした。金曜日の予選での堅実な結果に追随する形で別のスプリントレースでもハミルトンを交わして6位をキープしたが、グランプリではセーフティカーが導入されたことでメルセデスの前に出ることができた。見事なタイミングでサインツをパスし、レースの大半をルクレールの追走に費やしたが、ライン上で彼を打ち負かすことはできなかった。とはいえ、またしても満足のいく週末となった。

ケビン・マグヌッセン 5/10

スプリント予選:14位(チームメイトから2位下)
スプリント結果:11位(チームメイトより4位上)
予選:18位(チームメイトから1位下、+0.662秒)
スターティング・グリッド:16位(チームメイトより4位上)
スタート:3ポジションアップ
タイヤ戦略:1ストップ(ミディアム⇒ハード)
最終順位:13位(チームメイトより4位上)

・フリー走行では技術的な問題に悩まされ、金曜日の予選では電気系統の問題を訴えてQ1敗退となった
・スプリントレースでは、SQ2でチームメイトの後ろの13番手となり、、11位でフィニッシュした
・スタートで3つポジションを上げたが、ターン2でクラッシュしてフロントウイングにダメージを負った
・ターン3でコースアウトし、フロントウイング交換のためにピットインして5つポジションを落とした
・セーフティカーによる再スタート後に周冠宇をパスして15位を走り、さらに遅いピットインのクルマが出たことで2つ順位を上げて13位でフィニッシュした

フリー走行でわずか8周しか走れなかったマグヌッセンは、リズムをつかむことができず、難しい週末となった。予選で技術的な問題が発生したことでさらに不利になったが、土曜日は堅実な仕事をこなし順位を上げて11位でフィニッシュした。グランプリでは、スタートでウィングにダメージを負ったのは彼の責任ではないが、その後ターン3の餌食となる。再スタート後、周冠宇をパスしたが、その前のマシンよりもペースがあったにもかかわらず、それ以上のことはできなかった。

ニコ・ヒュルケンベルグ 5/10

スプリント予選:12位(チームメイトより2位上)
スプリント結果:15位(チームメイトから4位下)
予選:17位(チームメイトより1位上、-0.662秒)
スターティング・グリッド:20位(チームメイトから4位下)
スタート:ポジションキープ
タイヤ戦略:1ストップ(ハード⇒ソフト)
最終順位:17位(チームメイトから4位下)

・Q1では17位で敗退、完全にクリーンなラップが取れなかったと認めた
・スプリント予選でチームメイトに勝ったが、スプリントレースではグレーニングに苦しみ、15位に後退した
・パルクフェルメ後にセットアップを変更したためピットレーンからのスタートを余儀なくされた
・ハードタイヤでスタートし、ほぼ全行程を走破したあと、ピットインしてソフトタイヤへ交換した
・17位で復帰し、そのままフィニッシュした

中盤が近いということは、限界までパフォーマンスを引き出そうとする際のたった一度のミスや手違いが致命傷となる。ヒュルケンベルグの週末は、その顕著な例であった。スプリントレースで苦戦したヒュルケンベルグは、グランプリではハースとともにセットアップでギャンブルを仕掛けた。彼は積極果敢に攻めたドライブをしたが理想とするセーフティカーや赤旗が出なかったことでリスクの高い戦略は失敗に終わり、タイヤを使い切ったあとはどうすることもできなかった。

角田裕毅 6/10

スプリント予選:18位(チームメイトより2位上)
スプリント結果:リタイヤ(ダメージ:2周目)
予選:8位(チームメイトより12位上、-3.048秒)
スターティング・グリッド:8位(チームメイトより10位上)
スタート:2ポジションアップ
タイヤ戦略:1ストップ(ミディアム⇒ハード)
最終順位:10位

・2023年で初めてQ3に進出し、殊勲の8番グリッドを獲得した
・SQ1では、ラストラップでの改善が見込めていただけに、赤旗で敗退してしまったことで非常に悔しい思いをした
・スプリントレースのスタートでチームメイトと接触し、フロントウイングを破損してレース終了となるクラッシュを喫したことで、さらに怒りが増した
・グランプリのスタートで2つ順位を落とし、セーフティーカー前にピットインしてさらに2つ順位を落とした
・レースの大半をノリスの後ろで走り、最終的にはヒュルケンベルグを抜き、オコンのピットインで最後のポイントを獲得した

角田にとってはもっと大きな収穫があったはずの悔しい週末となった。金曜日の予選では8番手と健闘したが、スプリント予選では不運にもQ1落ちとなり、スプリントレースではデ・フリースに接触されてすべてが台無しとなった。グランプリの大半をDRSトレインのノリスの後ろで過ごし、追い抜くことはできなかったが、アルファタウリのドライバーとして優れた能力を発揮しポイントを獲得したことで笑顔がみられた。

ニック・デ・フリース 2/10

スプリント予選:20位(チームメイトから2位下)
スプリント結果:14位
予選:20位(チームメイトから12位下、+3.048秒)
スターティング・グリッド:18位(チームメイトから10位下)
スタート:1ポジションアップ
最終順位:リタイヤ(クラッシュ:10周目)

・フリー走行では6番手だった
・Q1ではBBW(ブレーキ・バイ・ワイヤ)の不調を訴え、トラブルでガレージに戻されたが、そのあとターン3でクラッシュした
・スプリント予選では赤旗に引っかかり最下位で敗退
・スプリントレースのオープニングラップでチームメイトに接触、角田はフロントウイングが破損したことを非難した
・ターン5でバリアに衝突し、早々にグランプリから退場した

デ・フリースにとってあまりに悲惨な週末――特に土曜日のスプリント・イベントでは、フリー走行での成果を発揮してトップ10入りを狙っていたはずだ。Q1の最初のプッシュラップでターン3をクリアできなかったことの代償は大きく、本来ならスプリントレースのスタートにおける同じコーナーの出口で角田にもう少しスペースを与えられなければならなかったが、できなかった。グランプリにおけるターン5のバリアをこすったのは彼一人ではなかったが、サスペンションを損傷するほど激しくぶつかったのは彼だけだった。デ・フリースにとって忘れることのできない3日間となった。

アレクサンダー・アルボン 7/10

スプリント予選:7位(チームメイトより8位上)
スプリント結果:9位
予選:13位(チームメイトより2位上、-0.577秒)
スターティング・グリッド:12位(チームメイトより2位上)
スタート:ポジションキープ
タイヤ戦略:1ストップ(ミディアム⇒ハード)
最終順位:12位(チームメイトより4位上)

・すべてのセッションでチームメイトを上回る
・Q2進出は容易だったが、最終ラップでサインツに引っ掛かった影響でタイムをロスしたため、13位で敗退した
・スプリント予選では素晴らしい走りにより7番グリッドを獲得し、スプリントレースではちょうど9位でポイントを逃した
・グランプリのオープニングラップでピアストリに接触し、フロントウイングにダメージを負った
・セーフティカーが導入されたあと、早めのピットインでハードタイヤを選択し、順位を落とした
・再スタートで周冠宇を抜いて14番手を走り、終盤はヒュルケンベルグの追撃をかわして12位でフィニッシュした

ある意味、新しいスプリントレース・フォーマットの最大の"被害者"と言えるのかもしれない。アルボンは土曜日に最高の走りを見せたが、トップ10入りを果たしたものの、ポイントを獲得することはできなかった。グランプリでは、ターン2でピアストリと接触してしまったが、奇跡的に状況が悪化してしまうようなことにはならなかった。そして不利なタイミングでのセーフティカーが重なり、その負債を背負うこととなってしまった。とはいえ、堅実なレースペースを見せられていたので、この週末の頑張りを喜ぶことはできただろう。

ローガン・サージェント 4/10

スプリント予選:15位(チームメイトから8位下)
スプリント結果:出走できず
予選:15位(チームメイトから2位下、+0.577秒)
スターティング・グリッド:14位(チームメイトから2位下)
スタート:ポジションキープ
タイヤ戦略:1ストップ(ミディアム⇒ハード)
最終順位:16位(チームメイトから4位下)

・すべてのセッションでチームメイトを下回った。
・キャリア初のQ2進出を果たすも、最下位の15位で予選敗退
・スプリント予選のターン15でマシンを大破させ、スプリントレースに出場することができなくなった
・セーフティカー導入の2周前にピットインし、18位まで順位を下げた
・レースではチームメイトから徐々に離されていき、最終的には完走16台の最下位でフィニッシュした

土曜日を除けば、サージェントにとってはごく普通の週末だった。4回目の挑戦でようやくQ2進出を果たしたが、長いストレートを走るウィリアムズのスピードが期待されたものでなかったことを考えると、それ以上は望めなかっただろう。土曜日はスプリント予選で壁にぶつかってしまったが、金曜日にクラッシュするよりはましだった。グランプリでは、チームメイトのアルボンのペースに及ばなかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?