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あいさつ運動なんかやめちまえ

職場最寄りの駅で、朝の混雑した時間帯に駅員さんがいつもあいさつ運動をしている。

正確には、駅の中を歩く人の交通整理をするために通路の真ん中に立って左側通行を促していて、そのついでにあいさつをしている。

「おはようございます」「今日も気をつけて行ってきてください」「いつもご苦労さまです」「お怪我のないよう一日お過ごしください」「おはようございます」「今日も気をつけて…」「いつも…」「お怪我のないよう…」

これをハキハキと笑顔で、感情たっぷりにループしている。

朝の某駅は地獄のように混んでいて本当に気が滅入るのだが、あいさつ運動によって少しでもその殺伐とした空気が解消される・・・なんてことは一切ない。

その駅の近くに住んでそこから出勤する人、その駅の近くに職場があってそこに向かう人、双方向の人間の波がアホみたいにぶつかるクソみたいな駅。みんな死んだ目をして無言で下を見て歩いている。

そんな中に駅員さんの妙に明るい声が響く。はっきり言って異様な光景だ。誰もあいさつを返さないし、誰も駅員さんの笑顔を見ていない。誰も駅員さんの労いを聞いていない。

朝、改札を抜けて、遠くから駅員さんのあいさつが聞こえてくると漏れなく心が死ぬ。駅員さんの顔に張り付いたニッコリが本当に不気味で、朝からキツイもん見せないでくれよと一層気を滅入らせながら出勤する羽目になる。全員から無視し続けられているのに、やけに感情のこもったあいさつが心底気持ち悪い。

交通整理をしたいなら、駅員さんも死んだ目して「左側通行でーーーす」って言い続ければいいのに。別ににこやかにあいさつされなくたって、ちゃんと左側通行するのに。

せめてこれがペッパー君ならどんなによかったか。みんなに無視されても、所詮機械だからキツイ気持ちにならない。

全員に無視されても健気にあいさつを続ける痛々しい姿を毎朝見なきゃいけないこっちの身にもなってほしい。

誰も喜ばないあいさつ運動なんてやめちまえばいいのに。労働力の無駄遣いだ。あのあいさつから元気をもらえる人がいるとしたら、そいつは悪趣味なクソ野郎だと思う。

いや、わたしのほうが悪趣味なのだろうか。

こうやってあいさつ運動に嫌気がさす自分にすら嫌気がさす。

労働はクソだ。


おわり


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