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ヘビが脱走した

こないだプリズンブレイクという海外ドラマを見ました。シーズン1だけですけどね。やっぱりドラマみたいに1クールかけて愛着を持たせておいたキャラが死ぬと泣いちゃいますね。2時間の映画の中で人が死ぬのとは重みが違う。

プリズンブレイクは名前の通り脱獄する話なんですけど、ドラマの序盤や中盤に何度も脱獄できそうな場面があるんです。全22話のうちの5話目とか10話目とか15話目とか(これは適当な数字言っています)に、「あとちょっとで脱獄!」だったり「やばいよやばいよ看守に見つかるよ!」「殺されちゃう〜!」だったりのハラハラドキドキシーンが挟まれています。そういうのもあって全22話飽きさせずに見進めさせてくれるはずなのですが、ついつい「まだ10話やし脱獄できんだろう」「こいつ主人公やし死なんやろう」などと残りの話数とストーリーの進捗を照らし合わせてしまい、いまいちハラハラドキドキにノリきれない感じでした。大人になって知識をつけるとこうなっちゃうんだなあという虚しさがすごかったです。


前置きが長くなりましたが、ペットとして飼っているヘビが脱走しました。ええ、恥ずかしながら脱走させてしまいました。
話数が決まっているドラマと違って、実生活では思いがけないタイミングで脱走しちゃうんですね。わたしとヘビの生活、まだ1話くらいの気持ちだったのにさ。


2020年1月28日の朝、そう、毎朝わたしはヘビとヤモリにおはようの挨拶をするのですが、まさにその時にヘビ不在に気づいたのです。

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ヘビはよく北菓楼の紙袋の中でぬくぬく過ごしているので(写真参照)、外からは見えないことも多いのですが、おはようの挨拶は顔を見てやりたいのでかがんで紙袋の中を覗く・・・いない・・・

そしてプラケの窓が開いている・・・
どうして。この窓使わないからってはめ殺しにしていたのに・・・どうやって・・・


あーーーー終わった

終わったよ

うわー、まじか


ヘビ、1ヶ月の間だったけどありがとう

大好きでした

ダメな飼い主でごめんね

ちょっと奮発して買ったけどキミに出会えてよかったです


色々な思いが巡りました。
走馬灯のように。(そういえばわたしの地元ではお盆に走馬灯を飾りがちでした。実家にマイ走馬灯があったはずです)

兎にも角にも、ヘビを脱走させるなんてザコ飼い主の証みたいな感じだと思っていたのでひどく落胆しました。

そして、その後は「見つからんだろうな」という諦めが襲ってきました。


何故なら!うちは!

人間が住んでいるとは思えないほど部屋がきたねえから!!


これはもう大学時代からずっときたねえ。社会人になっても相変わらずきたねえ。
人間じゃないんですかね、わたし。


わたし自身はきたねえ部屋に慣れているのでモノを失くすことも滅多に無いのですが、ヘビがその中に潜むとなると話は別です。

マウンテンオブザケイオス(※1)と呼ばれる服の山、抜群のバランス感覚で積まれた本や楽譜、棚の中はテトリスのように縦横無尽に物が詰まっているし(しかも一列並んだところで消えない)、行き場を失ったモノたちが無秩序に詰められた段ボールが床に散乱。

見つかるわけがない。

ヘビとかいう、そこそこ小さくて細くて狭いところが好きでまあまあ移動する生物なんて、見つかるわけがない。

とりあえずその朝はギリギリに起きたし会社も休めない状況だったので、諦めて暖房をガンガンに焚き家を後にしました。


その夜はマルチの勧誘に行くというイベントが入っていたのですが、さすがにマルチの勧誘を受ける好奇心よりヘビを心配する気持ちのほうが勝り、とっとと定時退社後直帰してきました。

マルチの人に「ペットが脱走したので探すために今日はキャンセルさせてください」と伝えたら、「早く見つかりますように…(>_<)」と心底心配した感じのLINEをかえしてくれました。


ヘビを探す。マウンテンオブザケイオスを崩す。布団をめくる。棚から荷物を出す。段ボールを一つ一つ覗く。見つからない。

疲れたので、一旦「ヘビ見かけたら家に戻るように言っておいてね」とヤモリを拝み倒しました。

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「ここに逃げ込んでいたら特に嫌だな」という場所がうちに2か所あります。
ひとつがロフト。季節外れの服や布団や、引っ越してきたままの段ボールが無限に積まれており、人間が足を踏み入れることができません。あとハウスダストがやばい。ロフトから荷物を取り出すときは第一世代の抗ヒスタミン剤が必要なくらいやばい。

もうひとつがウォークインクローゼット。クローゼットに続く扉の前には無限に積まれた服、おパンツ、かばんの山。中に入りようがないので、実質開かずの間と化しています。「実質」と書いたのは、ここの扉が常にびみょ~に開いているからです。完全な開かずの間であればヘビも入りようがないのですが、わたしが引越しの時にクローゼット用棚の幅を1センチほど見誤ったせいで、クローゼット入り口の扉がきちんと閉まらないのです。

常に数センチ開いた扉、数センチ以上は開かないので中は未開の地。
このクローゼットに入るには、扉の前の荷物を全てどかす必要がある。無理では・・・

でもロフトに上がったところで人間の居場所は無いし、ロフトから荷物を投げ下ろしでもしない限りヘビの捜索はできない。厳しい。


ロフト or クローゼット


ロフトには絶対上がりたくなかったので、先にクローゼットに取り掛かることにしました。扉の前の障害物をどかして、何とか上半身だけクローゼットに突っ込めるほどの隙間を得ました。ハンガーにかかった服をわさわさかき分けていきますが、ヘビはいません。クローゼットに中をざっと見渡してもヘビはいません。

ああ、やはりロフトに行かなければならないのか

そう思ったところ、見覚えのない段ボールがクローゼットの中にあるのを見つけました。持ち前の注意力散漫で「なんだっけこれ?」と箱を持ち出します。

あ、そうだった。非常用の食料セットを注文してその箱のままここに入れておいたんだ。こんなことじゃ、いざというときもこいつの存在を忘れて飢え死にしそうだな。なんて思ったら、その箱の中に、ヘビ!ヘビ!!ヘビーーーーー!!!とぐろをまいたヘビーーーー!!!

キンッキンに冷えてやがる!!!

暖房をガンガンにつけていましたがせいぜい室温は20度前後ですし、さすがにクローゼットの中の段ボール箱の中じゃ暖気は届かないようで、変温動物ってこんなに冷たくなるのかと驚くほどの冷たさ。生きていてよかった・・・早く見つけてよかった・・・

というわけで、ヘビ、捕獲。

キンキンに冷えてボールと化していました。

プラケに戻すと、脱走に使った窓の周りをにょろにょろしていました。こいつ、学習している・・・
また同じように突破されてはシャレにならんので、窓をガムテでべたべたに固定しました。

これにてヘビのプリズンブレイクシーズン1はおしまいです。シーズン2とか絶対にやめてほしい。


以下、誰かへのアドバイスとかではなく自分への戒めです。


ヘビを飼う心構え

1.部屋を片付けておく

2.人間が入れずヘビだけが入れるような場所をなくす

3.クローゼットの扉は閉めておく


脱出前提みたいになっていますが、いざというときにリカバリーできる生活こそ注意力散漫マンの生きる道ですからね。リカバリー力を高めることが大事。

これからも末永くヘビと暮らしていきたいです。


用語解説
※1 マウンテンオブザケイオス
 焼豚家に存在する山。床に散乱した服や楽譜を部屋の一角に集めて山積みにして大きな布をかけて隠したもの。服・本・楽譜・楽器など様々なものが一つの山に詰め込まれているので「ケイオス」の名を冠している。焼豚家に人が泊まるときによく出現する。



おわり

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