TSUTAYAのDVDレンタル



DVDレンタルの需要は、
ここ数年で恐ろしく減ったらしい。
毎月定額料金を支払うだけで、
何万を超える映画、ドラマ、アニメが見られる様になったこと思うと、至極当たり前だと思う。

私の周りでも、引っ越してからの3年間のうち、
近所のGEOは潰れ、ダイソーに変わってしまった。

また、近所のTSUTAYAもレンタルコーナーが、
日を増すごとに小さくなっていっている。

この大サブスク時代に乗り遅れてしまった私は、
予定の無い週末を埋めるために、金曜の仕事終わり、
狭くなったツタヤのレンタルコーナーに訪れる。

何万点とは行かないにしても、
無数に並べられたパッケージを、一つ一つ捲り、
裏面に記載されているあらすじを読みながら、
どんな映画を見ようか考えている時間が最高に楽しい。

そうだ、自分はこの行為こそが好きなのだ。
何がサブスクだ。何がNetflixだ。何がイカゲームだ。
レンタル不況の中、わざわざTSUTAYAへ向かうのが、
味わいってものじゃあ無いんですかねぇ?
こっちは流行なんかに左右されず、
自分の信念に従って、DVDをレンタルしているのだ。

そんなことを考えながら選りすぐりの5作を選び、
胸に期待と誇りを抱え、TSUTAYAを後にする。

その時、気さくなお兄さんに声を掛けられた。

「お兄さん!今大チャンスですよ!」

話を聞くと、どうやら今、無料でWi-Fiルーターを
プレゼントしているらしい。
とにかく無料を押してくる奴を胡散臭いと思えと、
小学校で習わなかったのだろうか。
さらに話を聞くと、どうやら、このルーターを
受け取った人には、もれなく通信回線の開設がついてくるらしい。もちろん有料だ。

ほれ見たことか。さしずめ、今時TSUTAYAで
DVDを借りている様な人間は、自宅にWi-Fiの
繋がっていない時代遅れな奴だと思ったのだろう。

Wi-Fiが無いからレンタルしてるんじゃない。
趣があるからレンタルをしているのだ。
その趣は貴様には分かるまい。しかし、私には分かる。

心に謎の充実感を抱えながら、
私はTSUTAYAを後にし、自宅でDVDセットした。


冒頭5分。私はすぐに気づいた。見たことある奴だ。
そっか。ネトフリには視聴済みとか出るらしいな。

そっかそっか。うん。

私は徐にスマホでNetflixと検索を始めた。
なに、誇りを捨てたのではない。
温故知新。今と昔。
どちらが優れていて劣っていると言う話ではない。

そう。これは選択肢の問題なのだ。
ツタヤで見る映画も、サブスクの映画もそれぞれ
良さは違う。それに気付けたことが既に成長だ。

そう自分に言い訳しながら、
重いスマホの画面を眺めていた。
通信制限中のスマホほど、ストレスなものはない。
Netflixの契約より先に、
Wi-Fiを繋ぐ事から始めた方が良いのかも知れない。
めんどくせぇな。



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