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省エネ計算の取得日射熱補正係数の新計算法は損

4月から省エネ基準の計算方法の一部が変更になりました。

窓の取得日射熱補正係数の計算方法も変更になっています。
取得日射熱補正係数は窓の日射熱取得率を計算するときに使用します。

従来取得日射熱補正係数は詳細計算法簡略計算法の二つの計算方法がありました。
これが4月からは詳細計算法が削除され、簡略計算法のみとなりました。
また、新たにWebアプリとして日除け効果係数ツールが公開され、窓や日除けの条件を入力して日除け効果係数を計算して、取得日射熱補正係数を計算する方法が追加されました。

簡略計算法は簡易な計算なので詳細計算法よりも安全側で計算されます。
ではどのくらい計算結果が変わってくるのか、実際に計算して比較してみましょう。

■窓と日除けなどの条件
窓:幅1.2m、高さ1.2m
日除け:張出し寸法が0.6m、窓と日除けの距離が0.2m
ガラス:二層複層ガラス
方位:南
季節:冷房期
地域:東京都(6地域)

■簡略計算法の場合
取得日射熱補正係数:0.510
日射熱取得率: 0.291
日射熱取得量: 0.182

■詳細計算法の場合
取得日射熱補正係数:0.502
日射熱取得率: 0.286
日射熱取得量: 0.179

冷房期の日射熱取得量は値が小さいほど省エネです。
上記のように同じ条件なのに簡略計算法の方が日射熱取得量が大きくなり、基準をクリアしづらくなります。
窓は数が多く合計面積も大きくなるので、この差は無視できません。

■Webアプリの場合
ちなみにWebアプリで計算すると日除け効果係数は0.633となり、これを元に計算すると以下のようになります
取得日射熱補正係数:0.500
日射熱取得率: 0.285
日射熱取得量: 0.178

今回の条件ではWebアプリと詳細計算法はおおよそ同じ結果と一緒になりました。
(日除けの条件により計算結果は異なります)

このように簡略計算法は不利になるのですが、なぜ4月から詳細計算法が削除されてしまいました。
たしかにWebアプリを使用すれば詳細な計算は可能になりますが、窓は数が多いので一つ一つをWebアプリで計算するのは非常に手間と時間がかかり現実的ではありません。
ぜひ詳細計算法を復活して欲しいところです。

なお、経過措置として詳細計算法は来年の3月までは使用することができます。


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