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大好きな人がマッチングアプリで出会った女と寝ていた

この半年間ずっと付き合っていると思っていた人から、「マッチングアプリで出会った女の子と先週末にどうでもいいことで大喧嘩をした。」と報告された。

何も知らなかった私は。彼がマッチングアプリを使っていることも、週末に女の子と会っていることも。私が彼の彼女じゃないことも。

本当にずっと付き合っていると思っていたんだ、少なくとも10月までは。週に3日から4日は会って、一緒に映画を観て、一緒に4泊5日で旅行もして、色んなことを一緒にしてきた。でも10月の頭に、”You are my good friend.”って言われて、おやと思い一応確認した。私はあなたの彼女じゃないのかと聞いたら”I don’t know. I’m having a hard time.”と言われた。彼は過去に複雑な恋愛をしていることを知っていたから、わからんでもなかった。たしかに彼の時間の多くを私は奪っていたし、きっと彼には時間が必要なんだろうと思った。それに、彼はそう言ってはいるけど、私は彼の1番大切な友人で1番彼女に近い人だと思っていた。朝起きたら最初に思い浮かべる人は私で、おはようと連絡するのは私で、1日の終わりに名前を呼んでおやすみと言う相手は私しかいないと思っていた。彼の準備さえ整えば正式に彼女に昇格して、私は青い目をした彼の子供を産むんだろうと思っていたんだ本当に。どうやらそれらは全て夢のまた夢だったようだ。

1番つらいのは、マッチングアプリじゃないマシな出会い方をして6か月も一緒にいた私は彼女になれず、アプリのようわからん東京の女は数週間やそこそこでいとも簡単に彼女に成り上がったことだった。そんな彼女は彼と大喧嘩までする。私は彼と喧嘩なんてしたことない。それなのに彼は彼女を選んだ。東京で女を見かけるたびに全員をうらめしく思う。彼が彼女のことを話すときに、さも当然かのように”She’s my girlfriend.”って言葉が出てきたことを忘れられない。私のことは頑なにgirlfriendって呼ばなかったのに。

彼と私はいろんな約束をしたはずだったんだよ。一緒に彼の部屋で肉うどんを作って食べようねとか、一緒にスパイダーマンを観に行こうとか、クリスマスを一緒に過ごそうとか、一緒に北海道の雪まつりに行こうとか、コロナが落ち着いたら一緒にイギリスに行こうとか、彼は全部私が彼女じゃないことを知った上で言っていたんなら、なんて不誠実なんだろう。

なんで私は彼の彼女になれなかったのかと聞いたら、「君のような友達を失いたくはなかった」みたいなことを言われた。「君と僕は共通の好きなものがたくさんあるけど、同時に僕らはすごく違っている。僕らは友達のままのほうがいいと思った」と言われた。
私の何が好きじゃなかったのかと聞いたら「僕は君の全てが好きだよ」と言われた。
あなたの彼女にあって私にないものは何なのかと聞いたら、「彼女が特別な何かを持っていて、君が持っていないという話ではない。どっちがBetterだったかそうじゃなかったかという話ではないんだ」と言われた。全てに納得がいかなくて大泣きした。

それでも私は彼の人生の大切な一部らしい。私とは毎日LINEしたいらしい。これで終わりにはしたくないし、私たちはこれからもずっと良い友達らしい。明日は私のクリスマスプレゼントを買いに行くらしい(彼女のプレゼントを買うついでだろうけどな)。冬休みに私が一人で部屋に引きこもるなんてことはあってはならないらしい。私が自分を責めるなんてことはしないでほしいらしい。彼は私のことをすごく心配しているらしい。全部きみのせいなのに?

クリスマスプレゼントをくれると予告されているからには、私も用意しなければならない。スターウォーズが好きだから、あれも買ってあげたい、これも買ってあげたい。名刺入れが欲しいって言っていたから、いいブランドのいい名刺入れを買ってあげたいし、名入れとかもしてあげたい。彼のことが好きでしょうがないんだろうな、私は。

今朝、起きたら世界が静寂に包まれていた。
地球の裏側のひそひそ話が聞こえそうなくらい静かだった。嬉しいこと、悲しいこと、わたしの世界の全てだった人が突然いなくなった。君がいない世界にはこんなにも何もないんだということを知った。何もない平原にひとりで立っている感覚で、もはやpeacefulでもあった。

毎朝、爆音で音楽を聞きながら出勤をしているのに、今日は音楽が聴けなかった。帰りも聴こうとしたけどできなかった。電車で隣に立っている人の息遣いをただひたすらに聞いていた。仕事は全く手につかない。泣かないのに必死で、仕事なんかしている場合じゃない。冬休みを生きて乗り越えられる気がしない。死にたくてしょうがない。
つらくて泣きそうなときに職場の人から声をかけられた。「年明け、早めに休暇切り上げて出勤されますよね。あなたが職場にいると思うと私は頑張れる気がします。」と言われた。そのあとゴミ捨てに行きながら死ぬほど泣いた。私が生きていることが誰かの力になっているなんて知らなかった。私は何も知らない。