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子供に興味のなかった私が、子供を作ってみようと思ったきっかけ

今、妊娠六ヶ月を迎えたあたりだ。ちゃんと産まれるかは分からないけれど、ここまではとりあえず来た。

今日は、タイトル通り、子供を産むことに全く興味がなかった私が、子供を作ってみようと思い立つまでを振り返っていこうと思う。

私は、元々兄弟姉妹がいないせいか、小さい子が苦手だった。公共の場で泣き喚く子供への嫌悪感もあったし、子供が第一になるが故に周囲に気配りができなくなる母親にも、正直、嫌悪感があった。どちらかと言えば神経質なタイプだったし、そんな自分が子育てなどできるはずもなく、向いていないことをする気には全くなれなかった。

それに加えて、ここ数年、仕事が大好きだった。中堅や管理職一歩手前になってきて、自分の意見やアイデアも通りやすくなったりしたし、単純にできることが増えるのは楽しかった。夫の海外駐在でキャリアが一旦途絶えた私は、それを取り返したくて、出来ることが増えたら給料アップのために転職、を何度か繰り返した。

きっかけは、その何度目かの転職先での仕事が、全く面白くなかったことだったと思う。裁量も少なく、余計なことはやらないようにする。これが多くの社員のモットーであり、社長の望むところでもあった。会社の成長のために考えたことを社内の合意を取って実行する、という今までの仕事のやり方は、全く望まれていないことだった。社員は言われていることを、ミスなくすればそれでよかった。確かに担当の仕事範囲は求めていた方向に広がったものの、とてつもなく退屈だった。

この会社で数年、仕事範囲を広げながらキャリアアップをする。いきなり転職するわけにもいかないし、それはそれとして仕方がないとしても、私の人生をまるっと考えた場合には、本当にこれでいいのだろうか、と、考えることが増えた。30代半ばを過ぎて、子供が苦手と言いながらも、頭の端にあった、「本当に出産しなくて、子供を持たなくて、後悔しないのか」という思いが、頭をよぎることが多くなった。自分のキャリアの限界が見え始めたことと、無関係ではないと思う。自分勝手といえば自分勝手だ。でも、開き直るようだけれど、子供はみな、親の自分勝手で生まれるもので、必ず幸せにする、という決意や行動があれば、少なくとも人の親で、私の行動を批判できる立場にある人はいないのではないだろうか。

そして、もう一つきっかけがあるとすれば、数年前から一緒に暮らし始めた猫の存在だ。家を買ったことをきっかけに、夫がずっと夢だった、猫を飼い始めた。私は特に猫が好きということもなかったし、育てていけるか若干の不安もあったが、毎朝ご飯をねだる猫にはきちんとご飯をあげられるし、彼女のことを可愛いと思う自分も確認できた。言語で意思の確認ができなくても、信頼関係が築けることも理解でき、例えば人間の赤ちゃんみたいに、こういう存在がもうひとつあっても、なんとかやっていけるかもしれない、と思う様にもなっていた。


別に、子供がいなくても、それはそれなりにその中で楽しいことを見つけ、夫と2人で生きていくだろう。そんな自分の姿は普通に想像できるものの、もう一方の、子供のいる未来というのも、今ならば、存在する。でも、出産のリミットはあと数年。こうしている今も、未来に向かって、どんどん妊娠しずらくなっているのも、また事実であった。

こんな思いに捕らわれたとき、うじうじ悩むのは時間の無駄。思ったが吉日で、不妊治療用の病院の説明会の予約を取った。とりあえず、説明を聞くのは無料だ。夫は実は子供が欲しかったのだろうか、意外にも一緒に参加してくれた。で、その説明会の後には、とりあえず、夫婦2人とも、検査だけはしてみよう、という流れになっていた。不妊の検査をしてみて、その結果、夫婦のどちらかに問題があるようだったら、子供のいる未来はないわけだから、その時は転職するなどして、自分達の幸せだけのためにさっさと生きる、そんな選択もできるがための、不妊の検査だったと思う。

そこから、とりあえずの不妊治療が始まった。いくら不妊の検査とは言っても、特に女性の場合は検査と不妊治療を並行して行うということもあり、一度病院に通い始めると子供に対して前向きに思う気持ちも出てきて、とりあえず、3回くらい、不妊治療してみっか!という気持ちになった。2回目で無事妊娠し、今に至るわけである。そもそも不妊というか、子供を作る気が全くなかっただけの状態だったことは検査でおおよそ判明しており、不妊治療に関し、壮大な物語があるわけではない。

「子供が欲しい」という、そこまでの強い動機がなかったため、仕事のスケジュール調整等を考えると、2回目の人工授精ですでに心が折れかけていたが、そんな親心を察してか、2回目で無事おなかの中に来てくれた、親孝行な受精卵には感謝である。妊娠したことで、色々と環境に変化が出てきたこともあり、感じることも変わった。そのあたりは、できるだけ書き留めておきたいな、と思うなどしている今日この頃である。


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