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生きていくことについて

自分の親や友人やペットに「死んで欲しくない」と思うのは「懐かしさ」をいつでも感じたいから。
「懐かしさ」を感じることは、区切りのない曖昧な時間の連続の中で、自分が確かに生きたということの確認作業。
自分が生きたという事実とその後も生き続けているという安心と実感を得るために懐かしい過去を振り返ろうとする。

死ぬのが怖いのは「死の瞬間」に対する恐れと「死後」に対する恐れの混濁。「死の瞬間」は単純な痛みに対する恐れだが、「死後」は失うことを不安に感じているから。
「寂しさ」や「孤独」は暗闇の中を一人で走っているような状態。自分が進んでいるのか戻っているのか、立っているのか浮いているのか分からない状態。つまり自分が生きているという実感の喪失。
「老い」が死の恐怖を和らげるのは失うことに対する耐性の獲得。「老い」のステージで人は若さ、運動/認知能力、可能性/選択肢、権力、人脈など様々なものを失う。喪失に対する慣れがそのまま死への恐怖の和らぎになる。


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