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ヒーラ細胞 #235 辞書の生き物

ヒーラ細胞

 前回、ミドリザルの腎臓からできた細胞株「Vero細胞」を紹介しましたが、その中で、この細胞と同様によく使われる細胞株として「HeLa細胞」についても書きました。
 今回は、この「HeLa細胞」を紹介します。

「HeLa細胞」は、動物ではなくヒト由来の細胞株です。

1950年代のアメリカで、子宮頸がんで亡くなったヘンリエッタ・ラックスさん(Henrietta Leanne Lacks)の名前から「HeLa」と名付けられました。

当時、ヒトの細胞から作られて生き続ける細胞株はなかったため、HeLa細胞は世界中で研究に使われるようになりました。

 しかし、この細胞株は、亡くなった患者やその家族には無断で作られたもので、その後、遺族の同意なく血液が採取されたり、HeLa細胞の遺伝子配列(ゲノム情報)の一部が公開されてしまうなど、遺族への配慮に欠けた研究が続けられてきたことは残念です。

 遺族との関係を修復しようと、アメリカの国立衛生研究所(NIH)の所長が尽力して和解にこぎつけ、条件付きで遺伝子配列は研究での使用が可能になっています。


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