ミドリザル #234 辞書の生き物
ミドリザル
アフリカのサバンナに生息するサルの仲間の名前ですが、緑色をしているわけではなく、緑の樹木が生えている地域にいるサルということで命名されました(写真はニホンザルです)。
このサルの名前は研究者の間では別な理由で有名です。
薬の研究などでは細胞を培養する実験がよく行われますが、ミドリザルの腎臓由来の「Vero細胞:ベロ細胞」が扱いやすく「HeLa細胞:ヒーラ細胞」と並んで最もよく使われてきました。「HeLa細胞」については別の機会に改めて紹介します。
永遠に成長し続ける細胞を「細胞株」と呼びますが、「Vero細胞」は、ミドリザルの腎臓の細胞から作られた「細胞株」で、ウイルス感染実験などに活用されています。
この細胞株を作ったのは、当時千葉大学で研究していた安村美博先生です(その後、独協医大に移られています)。
彼はエスペラント語に堪能で、「ミドリの腎臓」というエスペラント語「Verda Reno」を略した文字に、エスペラント語で「真理」を意味する「Vero」を重ねて「Vero細胞」と名付けたとのことです。
今でも「Vero細胞」は研究者によって「真理」の探究のために活用されています。
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