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今さら聞けない特定商取引法におけるクーリング・オフ制度とは?

クーリング・オフ制度とは、一定の要件を満たすことで消費者側が契約後でも契約の撤回や解除をすることができる制度です。
事業者にとって、クーリング・オフ制度は遵守しなければならない重要な規則となっています。
しかし、クーリング・オフ制度をよく知らない従業員がいる場合、企業の適正な業務運営が確保できず、企業の評判と信用を損ねる恐れもあります。
そこで本記事では、クーリング・オフ制度を遵守するために事業者が注意すべきポイントについて説明します。


クーリング・オフ制度はどのような時に適用されるのか?


クーリング・オフとは、消費者が一度契約した後に、契約をやはり取りやめたいと考えた場合に消費者を保護する制度です。
特定商取引法におけるクーリング・オフが適用可能な期間と取引は以下の通りとなります。
【8日間】
・訪問販売
・電話勧誘販売
・特定継続的役務提供
・訪問購入
【20日間】
・連鎖販売取引
・業務提供誘引販売取引
これらの期間が設けられている理由は、消費者が冷静になり、契約が本当に必要かどうかを考える時間を取ることや、家族と相談する機会を持つことができるようにするためです。


クーリング・オフの書面交付義務に関する事項


消費者が行うクーリング・オフの手続きは、
「契約の申込日」または「クーリング・オフについて記載された書面を受け取った日」のいずれか遅い日から起算して8日以内に、書面による申し込みの撤回または解除を行います。(※2022年6月1日より、書面によるほか、電子メール、FAX、事業者がウェブサイトに設けるクーリング・オフ専用フォーム等も可能になりました)

<事業者が押さえておくべきポイント>

事業者は消費者に対して「クーリング・オフについて記載された書面」を交付しなければなりません。

・この書面を提供しない場合、消費者はいつまでもクーリング・オフの対象となる可能性があります。

・書類の記載内容に不備がある場合は、所定の期間を過ぎてもクーリング・オフが可能となる場合もあるので、書類の交付と内容の正確性には注意が必要です。

クーリング・オフ制度の適用外となる場合はどのようなものがあるのか?


クーリング・オフの適用外となる取引について、「保険契約」の場合と「不動産売買契約」の場合の2つについて焦点を当てて取り上げていきます。

【クーリング・オフ対象外の保険契約】


・法人名での保険契約申し込みや事業目的での契約
・保険期間が1年以下の短期契約
・店舗での申し込みや医師の検査を受けた場合等
消費者が自ら店舗を訪れたり医師の検査を受けたりすることは、契約に積極的に意思を示す行為であるため、クーリング・オフの対象外とされます。


【クーリング・オフ対象外の不動産売買契約】

不動産売買におけるクーリング・オフの対象外となる場合には、「①場所」と「②場面」が関係してきます。

1、クーリング・オフ対象外の契約場所
下記に記載する場所で契約をすると、クーリング・オフができない契約となります。
・宅建業者の事務所
・宅地建物の分譲案内所(モデルルームなど)
・消費者が指定した自宅または勤務先
一方、ホテルのロビーや喫茶店、レストランなどの事務所以外の場所での申し込みは、クーリング・オフの対象となります。

2、クーリング・オフ対象外の契約場面
上記に該当する契約場所でない場合でも、消費者が宅地や建物の引き渡しを受け、かつ、代金の全額を支払った場合には、クーリング・オフはできません。
これは、8日間のクーリング・オフができる期間内であっても、消費者が購入する意思を明確に示しているとみなされるためです。
業種によってクーリング・オフの適用範囲は異なる場合があります。
クーリング・オフは、書面交付が必要とされますが、消費者に不利な特約はすべて無効とされるため注意が必要です。

詳細については、消費者庁のウェブサイトを参照ください。
参照:消費者庁 より「あなたの契約、大丈夫?」