賃貸契約で「消費者」と「事業者」が対等に契約するためのポイント(消費者編)
アパートやマンションを借りる際に、不動産会社との契約手続きが必要となります。賃貸契約を結ぶ際「ハイ、ハイ」と流れるまま契約を進めてしまうと、知らず知らずのうちに必要のないオプション契約を結んでしまう恐れがあるのです。そこで今回は、契約の際に気にしておくといいポイントをお伝えしていきます。
賃貸契約における不動産会社と消費者の間の情報格差
大前提として、不動産会社と消費者の間で賃貸物件を借りる際には圧倒的な知識や情報量の格差があることが現実です。
この格差により、消費者は自己決定をすることが難しい場合もあり、不動産会社の説明に従って契約を進めることも多いと思います。
賃貸契約をする際には、まず重要事項説明書(以下、重説)の説明を受け、その後に契約書を結ぶ流れとなっています。
重説は消費者に対して、契約に関する重要な事項や条件を明示するための書類です。まずは、重説にはどのようなことが記載されているのか簡単でよいので把握しておくことが大切です。
わからなければ積極的に聞く!重要事項説明書の内容
重説には、以下の内容が記載されています。
【賃貸物件の重説内容】
備え付けの設備に関する状態
入居前に、賃貸住宅の備え付け設備を確認しましょう。
エアコンやガスコンロ等を含め不備がある場合にはすぐに不動産会社に連絡をしてください。
また、故障時の負担についても事前に確認することが重要です。契約に関する内容、更新や解約について
更新や解約に関する連絡方法と費用についても確認しましょう。
更新料の有無や解約通知の提出期限等も確認しておくといいですね。敷金や家賃などの費用に関する事項
契約後に必要な初期費用や、敷金や礼金などの詳細が明記されています。それらの費用の理由についても説明されていますが、不明な点があれば確認しましょう。インフラの設備状況について
電気、ガス、水道などのインフラが整っているか、都市ガスかプロパンガスかなども細かく確認することをおすすめします。
また、インターネット環境が充実しているかどうかも重要な確認項目です。物件内でのルールや禁止事項
物件ごとに異なる禁止事項があります。
楽器の使用やペットの飼育など、具体的な禁止事項を確認しましょう。
アパートなどの集合住宅では、禁止事項によるトラブルが発生する可能性もあるので注意が必要です。特約事項
重要事項説明書の特約事項を確認する際は、以下に注意しましょう。
・口頭での約束が書かれていないこと
・不利な条件や納得の行かない内容が特約事項に含まれていること
・書面に書かれているが、口頭で説明がなかったこと
トラブルを避けるためにも、注意深く確認しましょう。
重説は、説明の際に交付されることが多いですが、あらかじめ消費者が取り寄せることも可能です。
不動産会社から説明を受ける前に、事前に手元に取り寄せてしっかりと重説に目を通し、わからない点があった場合は説明を受けている際に質問をする姿勢が重要です。
オプション契約に気を付けて!失敗しない契約時の注意点
重説が終わり、次に契約書をかわす流れとなります。
アパートやマンションを借りる際にかわす契約書が『賃貸住宅契約書』です。
賃貸住宅契約書には以下のことが記載されています。
【賃貸住宅契約書の内容】
・貸主及び管理業者
・借主及び同居人
・連帯保証人及び極度額
また、契約の解除や明け渡し時の原状回復、特約事項等についても詳細に記載がされています。
消費者が気を付けたいポイントは、これらの項目の後です。
不動産会社によっては、賃貸住宅契約とは別に「オプション契約」と呼ばれるものが存在することがあります。
このオプション契約では、以下のような提案がされることがあります。
【オプション契約の具体例】
1、部屋の抗菌処理の提案
2、消火器代わりのアイテムの販売
3、浄水器やウオーターサーバーの契約等
不動産会社は、賃貸住宅契約と同時にこれらのオプション契約を進めてきます。
これにより消費者は契約しなければならないものだと思ってしまうのです。
しかし、これらは賃貸契約とは別の契約となり、これらは必ずしも契約する必要のない商品となっています。
さらに、入居後の家賃が一定期間無料になる物件(フリーレント物件)に入居する消費者に対して、特定の電気会社やガス会社、そして指定の保険契約を勧めることもあります。
これらは周辺商品と呼ばれ、賃貸契約とは別ものですので、断ることができるのです。
まとめ
アパートやマンションの賃貸契約では重要事項説明書と賃貸借契約書が取り交わされます。
契約する前の説明時に内容をしっかりと確認しなければ、そのまま契約完了となります。
不動産会社から提案される周辺商品は賃貸契約とは別のものであり、断ることができるため、きちんと「いりません」意思表示をすることが重要です。
疑問に思ったことは質問し、賃貸契約時には周辺商品は必要ないと明確に意思表示をしましょう。