見出し画像

【2024年 法改正】意匠法における新規性喪失の例外規定の要件緩和について

2023年6月に「不正競争防止法等の一部を改正する法律」が成立・公布され、2024年4月1日に施行されました。(意匠法の改正は2024年1月に施行)

2024年4月1日には、商標法の改正
主に、
・コンセント制度の導入
・他人の氏名を含む商標の登録要件の緩和
といった改正が行われ

2024年1月1日には、意匠法の改正では、主に、
・新規性喪失の例外規定の要件緩和
といった改正が行われました。

この記事では、意匠法改正のポイントを分かりやすく解説します。

意匠法とは?


意匠法とは、製品や商品のデザインを保護する法律です。
工業的または美術的デザインの外観を保護し、デザイナーや企業が製品や商品の独自性を守るための重要な法律です。

■意匠法で保護される意匠

製品や建物の形状、模様、色彩などの視覚に訴えるデザイン要素のことです。これらは製品が市場で識別され、消費者に選ばれるための重要な要素となります。
これらの要素が無断で模倣されないよう意匠法が設けられています。

■意匠権の取得

意匠登録を行い、意匠権を取得することで、意匠を侵害された際に法的に保護されるようになります。

意匠法改正のポイント


■意匠の新規性喪失の例外規定とは?

2024年1月1日以降の出願から、意匠の新規性喪失の例外規定の適用手続の要件緩和がされました。

意匠法では、意匠登録を受けるための要件に「新規性があること」が必要なため、意匠登録の出願よりも先にデザインを発表してしまうと新規性が損なわれ、意匠登録ができないケースがあります。しかし、例外も認められており「新規性喪失の例外規定」が定められています。

<新規性喪失の例外規定>
① 権利者の行為に起因して公開された発明の公開日から 1 年以内に特許出願すること
② 特許出願時に発明の新規性喪失の例外規定の適用を受けようとする旨を記載した書面を提出すること
③ 特許出願の日から 30 日以内に、発明の新規性喪失の例外規定の適用の要件を満たすことを証明する書面を提出すること

特許庁「平成30年改正法対応 発明の新規性喪失の例外規定の適用をうけるための出願人の手引き」より

今回の改正で上記の「新規性喪失の例外規定」の部分に変更がされています。

■改正の背景

今までは、意匠登録の際に複数の公開先(展示会・雑誌・テレビ・ウェブサイト・SNS、EC販売など、)があった場合、全ての公開行為を証明しなければなりませんでした。
しかし、現代では複数のSNSやウェブサイトを活用して製品のPRを行うことが主流となっています。そんな中、すべての公開事実を把握し、証明書を作成するのはかなりの負担がかかるため、現代に合わせた緩和措置が施行されました。

■改正内容について

初めて公開した日のいずれかの公開行為について証明することで、その日以後に公開した同一又は類似の意匠についても新規性喪失の例外規定の適用が受けられます。

具体的な規定やポイントについては、特許庁のWebサイトを通じて確認することをおすすめします。

特許庁ウェブサイト