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webサービスの利用規約の作り方の注意点

最近、自社サービスの利用規約の確認や作成の案件が大量発生し、効率的に対応するためにチェックポイントや注意事項をまとめていたので、Noteでも共有することにしました。同じように利用規約対応をしている方の一助になると嬉しいです。

■サービスの設計について

【法規制】
・サービスには様々な法規制があるのでそれにひっかからないようにしなければならない。どのような規制がないかを確認する必要がある。
・重要なのは検討から漏れにくいが、サービス内でクローズチャットがある場合に電気通信事業者の届出が必要になる点は割と漏れやすいので注意が必要。
・グレーゾーンの場合は、法の趣旨に反しない方向性かとそれが適法であるという合理的な理屈が立つかを確認してきちんと固めておく。
・規制に引っかかる場合でも具体的な対応が容易に可能なのであれば対応してしまうのも選択肢となる。

【サービス名】
・商標権侵害がないように注意をする必要がある。

【権利処理】
ウェブサービス上でコンテンツを扱うにあたり知的財産権で問題になるのは大きく以下。
・事業者自身がコンテンツを提供する場合
…この場合は、ユーザーその他第三者からの権利侵害されないようにする必要がある。
・ユーザーがコンテンツを掲載する場合
…ユーザー又はユーザーにライセンスした権利者の権利を事業者が侵害しないようにする必要がある。

【契約関係の整理】
・誰が誰に対してどのような義務を負うのかはサービスの核であるので、サービスにおける契約関係を整理しておかなければならない。契約関係図を作成しておくのが原則。
…特に、誰が何に対してお金を払うのかという点を明確にしておかないとトラブルを大量 発生させる種になるので、最も気を付けなければならない。
・ウェブサービスにおける契約関係の主たるパターンは大きく以下の2つ
①当事者型
②仲介型

【同意の取り方】
・「利用規約に同意する」と明示的に記載されているボタンやチェックボックスにクリックしてもらう。
・同意取得ボタンの近くに利用規約全文もしくは利用規約へのリンクを張る等して、ユーザーが同意時に容易に利用規約を確認できるようにしておく
・ユーザー同意の利用規約のアーカイブやログを残す

■サービス運営と利用規約の注意点

【サービス内容との関係】
・サービス内容と規約の記載に齟齬がないようにしなければならない。

【権利侵害コンテンツ対応】
・権利侵害行為の禁止を定め、違反のおそれありと会社が判断したら削除できるようにしておく。
・削除申請や発信者開示情報請求がきた場合の対応についてもプロ責法(開示請求)をベースにして事前にフローを定めておく。

【禁止事項とペナルティ】
・禁止事項とペナルティはサービス内容と並び最重要項目の一つ。規約に記載がある、ここに該当するというだけでもユーザーの納得感が大きく異なる。
・禁止事項は広く設定しつつ、最後に包括規定も残すようにする。
・ペナルティとして重要なものは速やかにサービス利用を停止させられる/利用契約を解約 できること。そのためには、連絡・通知方法について会社でコントロールできる方法(会 社からの発信について到達主義にしない)で定めておくことも重要となる。

【免責事項と消費者保護】
(全般)
・継続的なサービスの提供をする場合、一時的な不具合の発生や情報更新へのタイムラグ等が生じるので、完全性や正確性は保証することは原則として行わず、善管注意義務を果たす範囲にとどめる。
(to Cビジネスの場合)
・事業者の故意、重過失による損害の免責は無効(消費者契約法8条)
・損害賠償額の上限を不当に低く設定しても無効(同法9条)
・公序良俗に反して反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効

【プラットフォーム利用・運営のリスク】
ウェブサービスの開始にあたりFacebook等メジャーなプラットフォームの利用や連携を伴うことが多いが、この場合には以下の点に注意する必要がある。
・規約や仕様が頻繁にまたは大幅に変更されるおそれがある。
・PFの利用規約違反でサービス自体が提供できなくなりかねない。
・PF側で恣意的な運用をされても抵抗しがたい。
他方、サービスの内容次第では自分たちがプラットフォーマー側になる。この場合、独占禁止にならないように注意を払う必要がある。

■付随的な利用

【行動履歴の利用】…Cookie情報に注意
【広告・マーケティングのための利用】…個人情報保護法、特電法に注意
【クローズド・チャット等通信ツールの有無】…電気通信事業法に注意
【ポイント制度の有無】…180日以内決済?等、資金決済法に注意

上記を踏まえ、レビュー時のチェックリストをまとめた記事が下記になります。

■参考文献

参考文献は下記になります。中心的に参考にしましたのは一番上の『良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方」になります。


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