PUBG Analyst 論考① アナリストの役割

 こんにちは。みどると申します。今回は連載企画で、アナリストについて述べていこうと思っています。全3回で、週1回更新の予定です。第1回では、アナリストがチームの中でどういう役割を担っているのか、担うべきかという話をしていきます。

 お前は一体誰なんだ、という方もいるかと思います。私は2019年8月末にENIGMA Rahxephon(当時PUBGRU Rahxephon)にアナリストとして加わり、PJSseason4 G2を戦う選手をサポートしてきました。現在はEGRを脱退して新たにRelaxedlyに所属し、season5 G1にむけて活動しております。

 経験の浅い若輩ではありますが、アナリストについて少しでも多くの方に知っていただき、アナリストを必要とするチームが増え、志望する人が増える一助となれればと考え、記事を書くことにしました。


アナリストのイメージ

 「敵や味方の動向を分析する」ざっくり言うと一般的なイメージはこれかなと私は感じています。元になっている英語 Analyze が 分析する という意味ですから、このイメージに間違いはないと思います。

 ただ、すこしふわっとしていて、じゃあ具体的に何するの、ということを考えたときに、イメージと現実のズレが生じています。


具体的な仕事

 アナリストの仕事としてみなさんが真っ先に思い浮かべるのが、ランドマークについてでしょう。有志の方でランドマークをまとめて公開されている観戦勢の方もいらっしゃいますが、選手たちが試合で戦うにあたっては、より詳細に把握する必要があり、第2ランドマークがあるなど、非公開スクリムでしか得られない情報というのもあります。

 ほかにすぐ思いうかぶものとしては、ルート取りの把握などでしょうか。PJSseason4 G1 Day2 Round10 ではRascal JesterがSunSinterを検問するシーンがありました。これについて、PJSアーカイブスのコーナーでSSTのCrazySam選手とRJのSeaKingJAWS選手が話をしています。動画はこちら

 その他、私が実際にやっている分析作業などについては第3回で述べる予定ですが、アナリストが行う仕事の中で非常に大きなウエイトを占めているのが上記の2つであると考えてよいです。そして、そこがアナリストに関連する諸問題の根源のひとつでもあります。


「データコレクター」

 これは私の造語ですが、意味は伝わるかと思います。data collecter 情報収集屋、です。前項で述べたランドマークやルート把握は、分析というより情報収集に近いと言えます。

 人文社会系(いわゆる文系)の分野では、研究の素材となる情報・データについて「一次資料」「二次資料」という区別があります(自然科学系でもあるかもしれません)。簡単に言ってしまうと、一次資料は事実の記されたデータ、二次資料は誰かの仮説や主張を含んだ論文(レポート)のことです。

 分析という作業は本来、一次資料を用いて二次資料を生み出す行為をさして用いるべきだと私は考えています。マップ配信を見てランドマークをまとめたり、移動ルートをまとめたりするのは、情報を整理したにすぎません

 それが必要で重要な作業であることは間違いありませんが、それをやる人をアナリスト、と呼ぶことに抵抗を感じてしまいます。そういった意味で、私は心の中で「データコレクター」と呼んでいます。


情報を使って何をするか

 アナリストとしての本分は、情報を用いて戦略提示、戦術提案を行うことだと思っています。私がアナリスト募集を探し始めたころ(2019年8月)にRascal Jesterがアナリスト募集の記事を公開しました。URLはこちら

 必須能力として「統計・Excelの扱いに慣れている等」という項目、そして求める人物像として「レポート」を挙げています。つまり、データをまとめることは前提の段階であり、どれだけ質の高いレポートを出せるかが評価ポイントであるわけです。

 「データコレクター」では、その情報を活用できるかが選手のみにゆだねられます。一方で優秀な「アナリスト」であれば情報の使い道を選手に提示できる、選手はプレイの研鑽に集中できる、ということです。


まとめ

・アナリストの一般的なイメージは「ランドマークまとめ」など
・情報をまとめることと分析作業は別物
・トップクラスのチームでは情報をまとめるのは前提
・レポートを作るのが本来あるべきアナリスト

 だいたいこんなお話をしてきたかと思います。選手からすれば、リプレイで見られない範囲の敵の動きをマップ動画からみられるという点で、アナリストがいるだけでうれしい、というのはあるかもしれません。しかし、アナリストが専門職として認められるには、相応の専門性が必要になります。

 スクリムのマップ録画をしてランドマークをまとめるというのは、言ってしまえば時間さえあればほとんどの人にできるでしょう。チームメンバーから「なんでアナリストやってくれてるのかわからない」というようなことを言われたこともあります。

 私個人としては「データを見てこんな分析ができそうだな、こんな結果が出そうだな」といろいろ考える瞬間が一番好きなので、情報収集自体もそれなりに楽しんでいます。


 ここまで読んでくださってありがとうございました。次回は「アナリストになるには」という話を記事にする予定です。興味を持っていただけたらTwitterのフォローもよろしくお願いいたします。

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