【おもひでのあじ】 #あなたの神戸をおしえて
ハーイ、わたしアマンダ!皆さん今日のご機嫌はいかが!?
うふ、わたし?もちろん最高よ!最高にご機嫌なわたしアマンダが最高にご機嫌な商品を紹介する、SHOP!Amanda!Amanda!今日も始まり!
今日皆さんにご紹介するのは、ダックス羽毛布団!フカフカの手触り、フカフカの肌触り、フカフカの舌触り、高品質のダックの羽毛のみで作られた、ダックス羽毛布……
「毎度ありがとうございます。Shop!Amanda!Amanda!の岡星と申します。」
「もしもし、あの、今テレビでアマンダさんが紹介してる布団を一枚欲しいんですけど。」
「布団ですか?」
「はい、布団です。今テレビで紹介しているやつです。」
「えーっと、今テレビで紹介している布団ですね。失礼ですがどちらからおかけでしょうか。」
「神戸からです。」
「神戸ですか。今お調べします。はい、神戸ですとダックの布団ですね!」
「そうです。そのダックの布団です。質問なんですが、地域によって布団の種類が違うんですか?」
「ええ、そうなんです。地域によって気候なんかが変わってきますから。当然売れ筋商品も違いますから。神戸を含む関西のあたりはダックの布団を用意させていただいてます。」
「東京だったらどうなんですか?」
「そうですね、東京や関東のあたりと愛知ぐらいまではダックです。」
「ダック?東京もダックなんですか?」
「ええ、ダックでございます。福島より北と日本海側の比較的寒い地域、この辺りですとダックですね。ダック。」
「ちょっと、ダックって、全部ダックじゃないですか。どう違うんですか?」
「鴨、アヒル、合鴨ですね」
「うん、じゃあ神戸で買った場合、どの羽毛なんですか?」
「そうですね、神戸ですとダックですね。」
「え…と、その…聞きづらいんですが、どのダックでしょうか?」
「そうですね、神戸ですと合鴨のダックです。」
「鴨のダックの羽毛の布団が欲しい場合はどうすればいいんでしょう?」
「そうですね、東京あたりから電話していただけるといいかと思います。」
「もし勘違いならあれですけど、最初にどこからかけてるか聞かれたので、ひょっとしたら今東京からかけてますって言えば鴨のダックの羽毛布団が買えますか?」
「それはできませんね。報告された地域と実際の電話番号を照らし合わせて虚偽が見つかった場合…」
「岡星、待ちなさい!あなたなにを話してるの!ちょっとかわって!あ、大変失礼致しました、Shop!Amanda!Amanda!のアマンダです。大変失礼致しました!」
「あ、アマンダさん、よかった、さっき宣伝してた羽毛の布団が欲しいんです。」
「かしこまりました!ダックス羽毛布団ですね?この商品すごく好評なんです。特に少し寒い地域のお客様から本当に好評で。お客様、どちらからおかけですか?」
「神戸です。」
「神戸、神戸…兵庫県の神戸で間違いありませんか?」
「ええ、兵庫の神戸です。他にも神戸ってあるんですか?」
「神戸って漢字の地名はたくさんあって、その地域によってダックが変わってくるんで確認させてもらいました!神戸ですと、えっと、ダックですね!何枚ご用意しましょうか?」
「1枚でかまいません。あの、確認なんですが、この神戸から買えるダックはいったい?」
「合鴨です。上質の合鴨です。」
「例えば、これから先にやってくる冬のことを考えて、そのさっき出てきた少し寒い地域でも暖かいダックのものを買うことはできますか?」
「お客様は神戸からおかけですよね?その場合はいかなる理由があっても合鴨の発送となります。」
「そうですか、もっと暖かいダックが欲しかったんですが。」
「お客様、神戸からですと、いくつかのオプションがございます。」
「オプション?というと?」
「お酒はお飲みになりますか?」
「ええ、趣味でトライアスロンをやってますので嗜むくらいですが……」
「ok、そう、それですと……でてきた、これですね!これなんかを剣菱と合わせて買っていただけると心温まるかと思います!」
「カネテツの野菜フライじゃないですか。アマンダさんこんなものまで売ってるんですか?」
「お客様、神戸といえばカネテツは必要不可欠ですよ。冬の信州における野沢菜、茨城の朝食に納豆、イギリスの金曜日のフィッシュアンドチップス、神戸といえばカネテツの野菜フライが必ず食卓のどこかにないと。そんな思いで販売させていただいてます。」
「そういえば最近食べてないなあ。一緒にもらおうかな。」
「ありがとうございます。1パック2枚入りです。何パック用意しましょうか?」
「じゃあ、ちょうど来週に友人と冷たい瓶ビールを飲む約束があるから、20パックスお願いします。」
「かしこまりました。20パックスご用意させていただきますね!えっと、カネテツの野菜フライ、20pcs……と。20pcs…pcs…欧米かっ!!」
「あっ、びっくりした!pcs表記が欧米っぽいってことですね!」
「す、すいません、ちょっと驚いてしまって。ちゃんと複数形にsつける人なんて村上◯樹さん以外に存じ上げなかったものですから。」
「あ、よく間違われるんです。」
「そうなんですね。有名な方と間違えられるのってすごいことだと思います。」
「ありがとうございます。あ、この野菜フライ、魚を揚げたものって書いてある。」
「そうなんですよ。お魚って栄養たっぷりだけど、焼いたりすると匂いがって人も多いですから、揚げ物にすると抵抗なく食べやすいんですよね。先程でてきたフィッシュ&チップスもそうですけど……って欧米かっ!!」
「え?」
「揚げなきゃ魚食べれないって、欧米かっ!」
「ええっ……フィッシュ&チップスのことですか?」
「だから欧米かっ!」
「確かに神戸の街って異文化と交流してきた歴史があるから、西洋風のおしゃれな街並みがありますよね。」
「ハイカラかっ!」
「ハイカラ?」
「神戸ハイカラかっ!洋菓子かっ!」
「あ、灘の?」
「灘……カネテツも灘…剣菱も…」
「あの…アマンダさん、大丈夫ですか?」
「そういえば、村上さんが育ったのも……兵庫県……うう…」
「あの、アマンダさん?」
「オーダーありがとうございました。サンキュー。」
ガチャッ
電話が切れた。それだけのことだ。なのになぜだろう?僕は世界から取り残されたような気がした。やれやれ、そう呟いてみた。その言葉は部屋の壁に、そこがあたかも元ある世界への入り口かのように吸い込まれ消えていった。僕はいったいどこにいるのだ?冷たいビールの栓を開けて一口分を飲み、また冷蔵庫にしまった。ソファーにもたれて目を閉じると、遠くから五反田君のマセラティの音が聞こえてきた。約束は来週なのに?やれやれ。
【おしまい】
こちらの企画に参加しています
ヒトミさん、申し訳ないのですが、もしいいなと思っていただいたとしても、お気持ちだけで商品は結構です。ごめんなちゃい。
応募資格においしいものを受け取れる方があったと思いますが、どうしても参加したかったので参加させていただきました。
神戸、大好きな街です。いろんな神戸の景色、会えるといいな。
以前書いた思い出noteも貼らせていただきます☆
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本日も【スナック・クリオネ】にお越しいただいき、ありがとうございます。 席料、乾き物、氷、水道水、全て有料でございます(うふふッ) またのご来店、お待ちしております。