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音楽を聴く作業の障壁

大きな客先への値上げがようやく片付きました。(片付いたはず)いやー長かった疲れた(笑)


今日は結構真面目に、音楽を聴くと言う事について自論を書こうと思います。


音楽を聴くという作業の障壁

これは自分への戒めとしても書き留めておきたかった記事です。



「音楽を聴く」という行為には、色々なアプローチがあると思います。


好きだから、自身のテンションを上げるため、勉強のため、流行っているから、話題についていくため、ビジネスとして模索するため、カッコつけるため、耳コピ...etc

思いつく限りでも色々出てきますね。

今回はそのタイトルに書いた、自分が思う2つの障壁について書かせていただこうと思います。


音楽を聴く事について考えた事がない方は
「何を言っているのかわからない。私は音楽を聴けている。」
と思うと思います。

本当にそうでしょうか?

例えば、
普段何かをしながら聴いている場合というのは、大抵音楽を聴き流していると思うのです。

私が極度のシングルタスクなのもあるかもしれないが、何かをしながら音楽を聴いている最中に

歌詞を覚える、歌詞の意図を考える、曲のニュアンスなどを汲み取る

なんてのはできないと思います。
マルチタスクは作業の能率や精度を必ず犠牲にしているので質は落ちている筈です。


自分はマルチタスク得意だしできてるよーって人は、知らぬ間に集中力を落として作業する事に慣れてしまっていると思うので、一旦見直された方がいいかと思います。

以上は、聴く作業の「質」に関しての障壁です。


2つ目
これは、大人になればなるほど付き纏うものではないでしょうか。

私が思う結論先に書くと「見栄と先入観」だと思います。


ここで過去の体験を書きます。

それは私がとあるジャズ喫茶で働いていた時の話です。

その日はライブではなかったのですが、某有名テナーサックス吹きが来店する噂を聞きつけて、いつもよりお客さんが多かったのです。

私としてはその方に全くリスペクトが無かったのと、天邪鬼な性格のお陰で普段通りの振る舞いができていたと思います。


テナー吹きが来店しました。
みんなは拍手で迎え、カウンターに座ったテナー吹きに日本人らしく順番に話かけていました。
さながらアイドルの握手会場と言った感じでしょうか。一定以上の時間拘束は周りが許さないぞって感じでした。


そんな中、一人遅れて来店した方がいらっしゃいました。(以降その方をAさんとします。)


私はAさんと初対面だったので「いらっしゃいませ」と言いながら近寄っていきました。

するとAさんは
「いらっしゃいませ だって」と、私のことを鼻で笑いながらマスターと常連に目線を向けていました。

私はまだバイトを始めて半年も経っていなかったので(あぁ、常連さんだったのか)と解釈しましたが、
この人友達いるのかな?ってのがAさんに対する最初の印象でした。
まあ、すぐに周りに同意を求めている時点でロクなやつではない事は確定していましたが。


しかし、何故でしょうか。
Aさんが来店した時、マスターも常連さん達も、あのテナー吹きですらも表情が固かったのです。

(全ては言えないのですが、少しAさんについて言うとお客さんではありませんでした。しかしだれも楯突くことはできない人物です。)


Aさんは来店するや否やテナー吹きの隣に座って話しかけ始めました。
テナー吹きも大人なので普通に対応していました。


デカい声で話をするAさんの話を聞いていると、
Aさんは自分が最もくだらないと思う人種の人間である事がわかってきました。

そして書けませんが、なぜここにいる全員がAさんに楯突けない。マスターはAさんのお酒が無くなれば黙って出すのかを何分後かに理解しました。

だからここにいる全員がAさんがきた瞬間、表現が固かった理由も。


Aさんが喋りまくりながらお酒が回ってきて
「ねぇ、マイルスデイビスかけてよ」とマスターに言いました。

マスターは『Kind of Blue』という超有名なレコードを取り出しました。

一曲目の「So what」という曲が始まりました。


ビルエヴァンスの不思議な雰囲気のイントロからポールチェンバースのベースで始まった時、

Aさん「あーこの曲なんでポールなんだろ。ポールのベースだと弱いんだよねー」


私は若かったのですぐに「そんな事ないです」って言ってしまいました。

Aさんは一瞬固まり、こんな事言ってますが?みたいな感じで周りに目をやりました。

するとテナー吹きは流石場数を踏んでいるだけあって、
「まあ、周りが凄過ぎるからポールチェンバースですら霞んで見えちゃうよね」と流石のアドリブを効かせてAさんを宥めていました。

ただ、常連の一人は私に対して「いいぞ!もっと言え!」って言っていました(笑)

その状況にAさんは「ふ〜ん」と大人しくなったのです。

そして、一曲目が終わった時
Aさんが「ブラボー!やっぱりポールのベースは太いね!」と言ったのです。

私はこの件があってからお店に対する感情が死に、3ヶ月後くらいにフェードアウトするような感じで辞めていきました。


私は音楽を例にしか語れませんが、
なんとなく一般的に敷居が高いように思われているような音楽、
つまりは、正にジャズのリスナーには総じてこの様な方が多い気がします。

本線に戻ると、
Aさんの持っている(と私が勝手に推察する)音楽の障壁というのは、
誰からか聞いた「このマイルスディビスの作品におけるポールチェンバースが物足りない」という先入観と、
「私は分かっています!このレコードには誰が参加していて、どんな印象なのか。私語れます!」
という、見栄と先入観の障壁。

しかもその障壁は根深く、また新たに「この曲におけるポールチェンバースはすごい」という新たな「他人からの知識でしかない音楽の印象」が、Aさんの音楽に対する感想としていとも容易く書き換えられてしまったのです。

多分Aさんは今でもこのままでしょう。
どうでも良いですが。


長くなってしまいましたが、
これが私の思う「音楽を聴く作業の障壁」でした。

最後まで読んで頂きありがとうございます。


終わり


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