小説:500,000希望の日記 5/5
【2月23日 木曜日 決行2日前】
明後日の決行を前に、
俺、ヤス、ジロウで、ものの数分間ほどだが最終確認をした。
①当日25日土曜日の朝7時になる少し前から、俺は作業をするフリをしてフォークリフトのエンジンをかけておく。ならし運転と、フォークの2本のツメに木のパレットを刺しておく。
そうする事で突き飛ばせる面積が広くなるからだ。
②am7時前後に穴の前に立小便をしに来るであろう島村班長を待つ。
③立小便を始めたタイミングでフォークリフトで特攻する。島村班長を穴に突き落とす。確実に死ぬだろう。むしろフォークのインパクトだけでも死ぬんじゃ無いか?
④島村班長の落下を確認後、三人で貯めた「希望」を俺のスマートフォンに集めておく。
⑤土曜日の仕事後に購買が開くのでそこで『人身事故無罪(笑)・・・500,000希望』を購入する。
⑥何かしらのタイミングで確実に本社に気付かれて佐藤が飛んでくる。
⑦佐藤に人身事故無罪(笑)を行使する事を伝える。
まあ、上手くいくかとか、佐藤が容認するかとか、もうそんな事はどうでもいい。
俺はもうその先の事しか考えない。
最後にヤスとジロウに、3月の予定が2月に早まってしまったが、「希望」は目標まで貯める事ができたのか、最終確認を要求した。
二人は何の文句も言わずに直ぐにスマートフォンを取り出した。
255,200…125,500 …152000…
OK。大丈夫だ。本当に最高だよ。
俺は確信した。明日は絶対に上手くいくと。
いや、成功させるしかないんだ。
【2月24日 金曜日 決行前日】
俺は細谷の姿が見えない事を島村班長にたずねた。
そしたら
「壊れてしまった細谷は労働者として数えないから、後日本社の方が細谷を回収にくる。今は発狂して暴れないように教育室に閉じ込めてある。
でも壊れてしまった奴が連れていかれる先はもっと地獄で、頭のいかれた金持ちに売られるって聞いたことある。
お前も一緒に行ったらどうだ?またこの間の教育室の時みたいにケツの穴をご主人様に掘ってもらえるぞ?お?(笑)」
との事。もう何を言われても明日亡くなる事が確定しているジジイに怒りの感情は一切湧かない。
そうか。細谷。
そんな地獄には俺が連れていかせない。
俺はフォークリフトの燃料残、エンジンのかかり、穴の角度、脳内シミュレーション、スマートフォンの充電、その他諸々を確認した。
ビールは惜しいがやめておく。
そういえば、関係ないが
お酒・・・ 500希望ってのは、ダイゴロウを紙コップ一杯。
ワインてのはやっすいメーカーの赤ワイン紙コップ一杯の事だぞ。
さて、今日は眠れそうに無いな。
明日の俺に「希望の光が差しますように」
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島村班長「だ、そうだ...(笑)」
(シゲの日記を穴の中へ投げ捨てる)
島村班長「いや本当に傑作だ。事実は小説よりも奇なりとはこういう事。」
島村班長「なあ! ヤス!!」
ヤス「ええ。」
島村班長「カカカカ!!本当に何というか、お前は面白い奴だ!!奴が死にたてホヤホヤな内にこのドラマの種明かしを聞かせてくれないか?
ビールでもワインでもほら、吐くほど飲めばいい!俺の奢りだ!!」
ヤス「ありがとうございます。ええでは早速頂きます。 ...で、何処から話せば...」
島村班長「そうだなぁ、まずは結論からって事でこの最終日のおさらいから話してくれたまえ(笑)
私は前半、自分の部屋に引っ込んでいただけだからな!!(爆笑)」
ヤス「はい。
この日記の通り、シゲさん...いや、シゲは7時前にフォークリフトに乗ってスタンバってたっすね。
そこで島村班長が毎朝7時ちょうどに立小便をしに来たわけです。まあ今日は島村班長ではなかったのですが。」
島村班長「カカカカ!!そうだ!!
お前がある日突然、俺に直談判して来たのがキッカケだったよな!!!土下座で何を言い出すと思いきやお前は「島村班長!!死にたくなければ朝7時ちょうどに立小便をする様にして下さい!!」だった!!(笑)
俺は速攻で1発蹴りを入れたが、お前が「5万希望で話を聞いてくれ」と言って来たから面白くなって聞いてやったんだよな!?」
ヤス「ええ。俺の中では結構賭けだったんすよ?(笑)で、俺はその時もうシゲの日記を見つけちゃって、計画を知ってたんすよねー。
だからすり寄って洗脳して。今日の結果が生まれたわけですわ。なんかパズルのピースがバッチリハマった!みたいな?」
島村班長「カカカカ!!それでだ、話を戻すぞ?お前は直ぐに話が脱線するからな!!
それでだ、今日立小便へ向かったのは誰だったっけ???(笑)」
ヤス「細谷っす。」
島村班長「ひゃーーーー!!!カカカカカカカ!!!で、シゲの野郎は俺と勘違いして細谷を引き殺した!!!
俺はその音を聞いた後で部屋を飛び出して、シゲにありとあらゆる罵倒を浴びせかけ続けて、アイツが罪の意識(笑)からもう何も考えられなくなった感じを見計らって
「お前も今死ね!!細谷を追ってな!!直ぐに死ね!!善人面の人殺し!!お前に生きる価値なんか無え!!」
ってたたみかけて部屋に戻って、
なんか音がしたなーって思ってココに戻ってきたらさぁ、この通り!
シゲの靴が揃えて穴の前に置いてあんのwwww
チョベリグー!チョベリグー!
あいつwww飛んでやんのwww誰の役にもたたないでwww細谷を轢き殺してwww」
ヤス「ええ。ここまで上手くいくとは我ながら震えますね。
細谷のポスターの件、島村班長に嫌な思いさせてすみませんでした。
シゲの野郎が、予定より早く決行するとか言い出したからさぁ、焦って俺の計画をスタートさせちゃったんすよね。」
島村班長「細谷を精神的にの壊したのは本当にお前って奴は悪魔だと思ったよ(笑)
で、その後も細谷はお前のコマになって踊らされて、ウキウキな最中同僚に轢き殺されたんだ(笑)」
ヤス「いや〜チョロかったっす。
塞ぎ込んだ細谷を島村班長を使って
「お前は頑張りが認められて釈放になった。本社のルールに従って、
①2月25日のam7時ちょうどに大人の前に集合。
その際は本社の人間に気に入られるためにも、両手を前で繋いでしおらしくしてろ。
②情報漏洩だけは本社は避けないといけないから、お前は穴のほうに体を向けて、目をつぶっていろ。大きい音がしても目を開けたり振り向いたりするな。
③格好は島村班長がいつも着ている「上下白の作業着」に、「ヘルメット」がその時の正装だ。
を守るだけで迎えが来てくれる。それでお前は晴れて自由だ!!」
って刷り込んだだけっすからね。
正直ホストん時の上客の方がしんどかったっすよ(笑)」
島村班長「カーーーーカカカ!!!!マジでアイツら馬鹿よなあ!!!命を張ったコント、しかと見届けてやったぜ!!!で、おまえ、そんなに「希望」貯まってねえだろ?2日前のシゲの確認をどうやって切り抜けたんだ?」
ヤス「あぁ...あれはコウっすよ。」
スマートフォンに映し出された「希望」の一の桁の右を上手く親指全体で隠している。
島村班長「あー!!みえる!!!15,200希望が、152,000希望にみえるぞー!!!(笑)」
ヤス「これ、付き合ってた女によく使ってたから場数踏んでるんすよね〜ww」
島村班長「カーー!!!クソホスト野郎だなお前は(笑)!!!
ちなみにあれ、一番俺が好きな件の「シゲの大切なトシ君の話(笑)!!」シゲの日記で読んだけどお前似てるんだってな!!(笑)」
ヤス「あーあんなんホストじゃ上等テクっしょ。無難などっちとも取れる答えと、すぐに相手を肯定すると、相手が喋った後に「わかるー」みたいな?(笑)
正直マジキモかったっすよー対男の接待みたいでwww」
島村班長「カカカカカ!!!!!よかったなお前!!シゲにオカマ掘られないで!!!(笑)
いやアイツは掘られて喜んでいたか!!(笑)
佐藤さんにだいぶイカされてたもんなあ!!(笑)」
ヤス「酒が不味くなるからさぁ、その話やめない?」
島村班長「..ん?ああ。そうだな。俺だってゲイじゃねえ。」
ヤス「あーそっすね。でね、俺が一番気に入ってるとこがあるんすよ。それが島村班長が立小便する時間についてで...」
島村班長「ああ、俺が最近朝7時丁度に立小便をしているって角田に言わせた件な。」
ヤス「そそそ!!そうなんすよーー!!!これテクニックの一つで、俺みたいな当事者が言うより、関係ない奴から巡り回った話ってのは妙に信憑性みたいなのがつくんすよねー!!!
この人間心理をついたやり方、
角田に俺がある日「あれれー?おかしいなー?島村班長って最近毎朝同じ時間に立小便しているぞー?気のせいかなー?」って吹き込んだ結果、
筋肉バカの角田は毎日それを確認するようになって、ある時それをシゲに言ったんだ!!
チョーウケるwww俺天才!!」
島村班長「まあ、そうだな。」
ジロウ「あ...あ...あの...その話は...??」
ヤス「おっとっと、聞かれちゃった?まあ仕方ないよねーチョー面白れーんだもん今www」
ジロウ「あの....」
ヤス「あ?」
ジロウ「追加のお酒持ってきました...!!」
ヤス「....へー。結構頭いいじゃん。元営業。」
島村班長「カカカ!!最後の仲間にも手を切られたか!!これは愉快愉快!!!明日本社に連絡しないとな!!!二人死にましたーって!!(笑)」
ヤス「あーじゃあじゃあ島村さん、そん時新しい奴二人お願いしといて下さいね?二人分余分に頑張るのありえないし。」
終わり
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