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アンジー。とぅる。

呼び出されたホテルの部屋にはアンジーがいた。僕と同じ名前の俳優に呼ばれたはずなのに。
彼女は僕の方にてのひらを向けた。床に座ってテレビを見てたらしい。サスペンス系のアメリカのドラマだ。骨から死因を特定して事件を解決していくシリーズで結構むごたらしい状態の遺体なんかもでてきたりする。
彼女はテレビを消し僕を見た。
一度目をつむってから、セジュ。
名前教えてよかったなあ、しみじみうれしくなるような笑顔だ。
言葉が通じないのを忘れて、
なんかスゴイの見てるね。怖くないの?と自然に口にでた。
怖いのが好き。

彼女はしまった!の顔になってる。
話せない、ことにして、自分のこと話しちゃダメ、て言われてる、叱られる。
叱られる?
私のこと、秘密。知られない方が、いい、て。
じゃあ、ほんとは話せるの?
話せること、誰にも、言わないで。
彼女はちいさく何度もうなづきながら手を合わせ泣きそうな目をしてる。
話してることはわかるけど自分のことは話せない、そういうこと?
私、セジュと、話してみたい、思って、お願い、した。
普通に話せない?
普通?
こう、なめらかに?セジュと話してみたいと思ってお願いした、みたいに続けて話せないのかな、て。
話せない、練習、癖になる、ごめんなさい。普通、頑張る。
ふ。ま、いいや。彼女すごくきれいだし。









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