日本酒検定準1級の過去問解説(2024/9/7分) 問1~10


振り返りと解説


先日、Noteにも書きましたが日本酒検定の準1級を受験してきました!

本Noteでは、自己採点も兼ねて出題問題の解答解説をつくっていこうと思います。


問1

ジャバニカ種を栽培している世界の主な国(地域)として誤ったものを選択しより一つ選べ。

1:南米  2:東南アジア  3:イタリア  4:スペイン


1問目は稲の系統に関する問題でした。

稲は主に3種類あります。

①ジャポニカ種・・・主に日本、朝鮮半島、中国北部など東アジア地域で栽培されている。全世界の生産割合の20%を占め、丸みのある楕円形状を持ち、熱を加えると粘り気と艶が出る。

②インディカ種・・・主にインド、インドシナ半島、アメリカ大陸を中心に、世界各国で栽培されており、全世界の生産割合の80%を占める。細長い形状と、粘り気の少なさが特徴である(タイ米とも呼ばれ、泡盛の原料にもなる)。

③ジャバニカ種・・・主にジャワ島、インドネシアなどの東南アジア、イタリア・スペインなどの地中海沿岸で栽培される。種実は、ジャポニカ種とインディカ種の中間的な形状と性質を持つ。

(テキスト19ページ)

最初からマニアックなところを聞いてきていましたが、米栽培の中心地は東南・東アジアであり、イタリアとスペインの一方だけで栽培されることはないだろう、という消去法で正解できました。


A.1:南米


問2

もち米を構成するデンプンの主成分を選択しより一つ選べ。

1:ペプチターゼ  2:プロテアーゼ  3:アミロペクチン  4:グルコース


2問目は米のデンプン構造に関する問題でした。

ジャポニカ種はデンプンの違いによってうるち米ともち米に分けられます。

アミロースとアミロペクチンによって構成されています。

アミロース・・・硬さの成分

アミロペクチン・・・粘り気と柔らかさの成分

①うるち米・・・アミロース15~35%+アミロペクチン65~85%

②もち米・・・アミロペクチン100%

(テキスト20ページ)


A.3:アミロペクチン

1:ペプチターゼ・・・ペプチドをアミノ酸に分解する酵素
2:プロテアーゼ・・・たんぱく質をペプチドに分解する酵素
4:グルコース・・・デンプンを構成する基本単位


問3

長野県でたかね錦を放射線処理して開発された品種を選択肢より一つ選べ。

1:若水  2:美山錦  3:ひとごこち  4:金紋錦


3問目は酒造好適米の品種に関する問題でした。

酒造好適米の親品種の問題は頻出ですので、上位20品種についてはできるだけ覚えておきましょう。

1:若水・・・「五百万石」と「あ系酒101」を交配し愛知県で開発。
現在は茨城県・群馬県を中心に栽培されている。

2:美山錦・・・長野県で「たかね錦」を放射戦処理して開発された突然変異種。

3:ひとごこち・・・長野県で「白妙錦」と「信交444号」を交配し開発。

4:金紋錦・・・長野県で「山田錦」と「たかね錦」を交配し開発。

(テキスト28~32ページ)


A.2:みやま錦


問4

兵庫県で愛船117と山雄67を交配して開発された品種を選択肢より一つ選べ。

1:兵庫夢錦  2:伊勢錦  3:玉栄  4:愛山


4問目も酒造好適米の品種に関する問題でした。

1:兵庫夢錦・・・兵庫県で「菊栄」と「山田錦」と「兵系23号」を交配し開発。

2:伊勢錦・・・伊勢錦は旧勢和村(現在の三重県多気町)で発見され、お伊勢参りをきっかけに全国へと広まった。

3:玉栄・・・愛知県で「山栄」と「白菊」を交配し開発。

4:愛山・・・兵庫県で「愛船117」と「山雄67」を交配し開発。

(テキスト28~32ページ)


A.4:愛山


問5

世界保健機構(WHO)の分類基準による❝硬水❞の硬度規定を選択肢より一つ選べ。

1:4~8dH未満  2:8~12dH未満  3:12~20dH未満  4:20dH未満


5問目は水の硬度に関する問題でした。

WHOにより全世界共通の水質基準が定められています。

アメリカ硬度mg/ⅼ、ドイツ硬度dHの二種類で分類されます。

軟水:0~60mg/ⅼ未満、1~4dH未満
中程度の軟水(中硬水):60~120mg/ⅼ未満、4~8dH未満
硬水:120~180mg/ⅼ未満、8~12dH未満
非常な軟水:180mg/ⅼ以上、12dH以上

(テキスト36ページ)


A.2:8~12dH未満


問6

灘の宮水の説明として誤っているものを選択肢より一つ選べ。

1:鉄分が非常に少ない  2:採集場所が海に近いため適度なナトリウムを含んでいる  3:地層内の濾過効果で不純物が取り除かれる  4:リンやマグネシウムを多く含んでいる


6問目は灘の宮水に関する問題でした。

宮水=西宮の水の略で、複数の特徴があります。

六甲山が水源のいくつかの河川の伏流水である
→リン、マグネシウムが豊富に含まれている+鉄分が極めて少ない

※伏流水には酸素が多く含まれているため、鉄分が参加して沈殿するため鉄分が非常に少ない

一帯が花崗岩質で、貝殻類が多く含まれており、濾過効果が高く不純物が取り除かれている。

海に近くカリウムが適度に含まれている。

(テキスト40ページ)


A.2:採集場所が海に近いため適度なナトリウムを含んでいる


問7

アスペルギウス・カワチの説明として誤っているものを選択肢より一つ選べ。

1:アスペルギウス・アワモリとも呼ばれ、糖化力も強い  2:酒蔵内の壁が黒くならない  3:クエン酸を多く生成する  4:1924年に鑑定官の河内源一郎氏が発見した


7問目は麹菌に関する問題でした。

麹菌は主に3種類が代表として挙げられます。

黄麹菌・・・別名アスペルギルス・オリゼ、日本酒に使用、糖化力が強い
黒麹菌・・・別名アスペルギルス・リュウキュウ、泡盛に使用、糖化力が強いクエン酸を生成、酒造内の壁が黒くなる
白麹菌・・・別名アスペルギルス・カワチ、泡盛以外の焼酎に使用、糖化力が強い、クエン酸を生成、酒造内の壁は黒くならない

(テキスト42〜43ページ)


A.1:アスペルギウス・アワモリとも呼ばれ、糖化力も強い


問8

麹菌が種麹の状態で販売されるようになった時代を選択肢より一つ選べ。

1:奈良時代  2:平安時代  3:室町時代  4:江戸時代


8問目は種麹に関する問題でした。

種麹は「種もやし」とも呼ばれ、麹菌の胞子をつけた麹を乾燥させて製品化したものを指す。

こうした種麹を扱う種麹業者は室町時代から存在していた。

(テキスト42ページ)


A.3:室町時代

問9

酒米を玄米の状態から30%削り取るのに必要な時間を選択肢より一つ選べ。

1:約6時間  2:約8時間  3:約10時間  4:約12時間


9問目は精米時間に関する問題でした。

精米時間は精米歩合によって変わってきます。

30%程度削り取る(精米歩合70%)=約8時間
60%程度削り取る(精米歩合40%)=約48時間
90%程度削り取る(精米歩合10%)=約60時間


A.2:約8時間


問10

一般的な製麹において、種麹を無視舞に振りかける作業はどのタイミングで行うか選択肢より一つ選べ。

1:切り返し  2:仲仕事  3:床もみ  4:盛り


10問目は製麹に関する問題でした。

製麹には床作業と棚作業の二工程に分かれます。


床作業

引き込み→種付けと床もみ→切り返し→盛り

引き込み・・・蒸米を麹室へ運び、温度均一化のために「床」という題の上で布をかける。

種付けと床もみ・・・米を床一面に広げ、種麹を振りかけ(種付け)混ぜる(床もみ)。

切り返し・・・蒸米の塊をほぐす+再び積み上げる。

盛り・・・蒸米をほぐし、木箱に入れる。

(テキスト63ページ)


A.3:床もみ




今回は問1〜10を解説してきました!

問11~20について解説した記事はこちらになります。

是非こちらもご覧ください!






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