「小市民シリーズ」2024年夏アニメ感想9
「〈小市民〉シリーズ」は、米澤穂信さんの推理小説のシリーズ。
創元推理文庫(東京創元社)より2004年12月から刊行されています。
既刊6巻。
シリーズは漫画化もされており、『春期限定いちごタルト事件』は饅頭屋餡子によって『月刊Gファンタジー』2009年まで不定期連載されました。
春期限定いちごタルト事件、夏期限定トロピカルパフェ事件
秋期限定栗きんとん事件など
事件のタイトルがスイーツになっているのが特徴的です。
なかなか、むずかしいアニメ!
エンタメアニメではないので、実写邦画好きには刺さるかもしれない。
■気になるポイント
青春小説、純文学によくある少しくどいセリフ回し
アニメという表現に実写表現をぴったりかみあわせるのは難しいことだと思う。
今作は少し間が冗長で、人によってはこのテンポが退屈に感じるかもしれない。
アニメなので実写よりは時間の流れを切り取る必要はあるのだが、長まわしカットが多く、
途中で、ポーチを盗んだ犯人を小鳩君に置き換えてしまう特殊な演出をしたり、(普通なら本人で良いし、自分で現場に行って自ら再現したりする)
小鳩くんと小佐内さんが向かい合って会話するたびに背景がコロコロ変わったり
演出は凝ってるのだけど、正直テレビシリーズにこの凝った表現を詰め込まれると視聴が散漫になる。
合う人には合うと思うので視聴者の感性が試される作品だと思います。
「かつて“知恵働き”と称する推理活動により苦い経験をした小鳩くん」と
あらすじに書いてあったが、1話の時点では知恵が働く描写は特になかった。
追記:ポーチ探しは確かに推理はしてたけど、あの特殊な演出のせいで小鳩の推理力のすごさを伝える演出が少し弱まってしまった気がする。
最後の自転車盗まれるのを予測できないのもあいまって
シンプルに小鳩すごい!と感じられなかった。
この作品は推理がすごいことで主人公に好感を持つ作品では無いのかなと感じます。
もし小鳩が過去に推理がすごいから調子に乗ってた?時代だあったとかで
今回、推理で小鳩が能力をひけらかすような演出ができなかったから、ああなったとしたら、なかなか演出しづらい難しい作品なんだなと思います。
正直小鳩くんがどういう人物なのか1話の時点ではわからなかった。
冷めて静観しているのかと思いきや、人当たりが良く
友人の女友達が盗まれたポーチを探してほしいという頼みを快諾するあたり、善良な人間だ。
きっと過去に何かあったんだろうというあらすじだったので、気になって最後まで見てましたが…
1話ではそういう描写は1カットもなく。
それを少し説明してくれたら1話でもう少し惹きこまれたのかなとは思います。
■好きなポイント
作画が美麗。
京都アニメーションのように美しい作画。
やわらかい髪。風を感じる髪のなびきの美しさ。
宝石のように綺麗な瞳。
さわやかな空気を感じる背景、撮影処理。
川の水面のきらめき。
見ていて「綺麗だな…」とつい呟いてしまうくらい、
<全体の感想>
雰囲気は氷菓のように思えますが
アニメならではの表現は抑えられていて、演出がかなり映画実写寄り。
氷菓ほどコミカルなシーンも少ないので、アニメ好きにはとっつきにくさを感じるかも。
1話だけの感想になりますが、
登場人物たちがあまり仲良くなさそうなのがリアル。
「女友達のポーチがなくなったから探せ」って、特に仲良くない友達にも協力させた堂島は高圧的なセリフが多く、人望が無いジャイアンである…。
ラブレターを渡したくても渡せなくて、好きな子のポーチ盗んで中に手紙入れた男子もなかなかに自分勝手。
青春!な世界ではあるのだが、少しジメっとリアルな雰囲気。
キラキラとはしてません。
こんな青春を送りたいとは思えない…ですね
1話のラストに自転車を盗まれて、タルトもぐしゃぐしゃになったシーンは、個人的には上手い引きには感じなかった。
まあそうなるだろうな、と淡々と受け止めてしまった。
私の感想としては、友人の頼みと女の子の頼みを両方とった結果、
あの時間に自転車使ったせいで、不良に自転車盗まれた。
ポーチをみつけても本人に知らせず、恋の成就を応援するわけでもなくほったらかし。
1個で十分なのに2個もほしいと欲張った小山内さんが小鳩君の自転車に乗ったせいで、結果タルトが台無しに。(なんでケーキを自転車の籠に入れたままコンビニに行ったんや…あと鍵かけてなかったのはなんで)
望みを叶えるために、何かズルをしたり、裏道を使ったせいでみんなちょっとだけ不幸になっている。
まあそういうこともあるよね、ケーキがつぶれるくらいで済んだんだから平和だよねという感想に落ち着いてしまいました。
小市民って一体なんなんだろう。
万人におすすめはできないですが、
アニメって見る人の受け取り方次第だと思います。
見るときは集中してみることをおすすめします!
他の作品と比較するのは良くないですが
同作者の「氷菓」のほうが1話の時点で主人公の奉太郎に共感できる部分がありました。
省エネで毎日を過ごしたいと思う奉太郎は、灰色の学園生活を送っており、
そういう学生がいてもいいじゃないか、と1話で語っていて、氷菓のお話の導入はとてもわかりやすい作りになっています。
小市民シリーズは「小市民を目指す」とだけしか言っていないので、1話だけだと理解できないことが多いですね。
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