5Gの今、これから

5G対応のスマホが続々発売されています。その中でも「ミリ波とSub 6に両対応するスマホ」と「Sub 6だけに対応するスマホ」に分かれています。


Sub6とミリ波の特徴と違い

「Sub6」とは、6GHz未満の比較的低い周波数帯のこと。実質4G周波数の延長として利用でき、エリアを広くカバーするのに適してる。国内では「4.5GHz帯」と「3.7GHz帯」が割り当てられており、ドコモとKDDIがそれぞれ200MHz幅、ソフトバンクと楽天はそれぞれ100MHz幅を利用しています。

「ミリ波」は、30GHz〜300GHz帯を指します。ただ、厳密な区分けではなく、日本で5Gに使われる28GHz帯もミリ波と呼びます。特徴は、前述の「Sub 6」に比べて周波数が高いこと。電波は周波数が高いほど直進しやすく、障害物の影に回り込む性質が弱くなります。また、大気中の水蒸気や降雨で減衰しやすく、広いエリアをカバーする用途には向きません。

その一方、広大な帯域幅を確保できるメリットがあり、日本では4キャリア(NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天)にそれぞれ400MHz幅ずつ割り当てられています。帯域幅は広いほど通信容量を確保できるため、都心部など、混雑エリアをスポット的にカバーする用途に向きます。



国内メーカーのスマホは「Sub6だけ」が主流

周波数としては大まかに2種類に分けられる5G。シャープやソニーモバイルが相次いで発表した5Gスマートフォン「AQUOS R5G」「Xperia 1 II」はいずれも「Sub6」のみ対応。「ミリ波」には非対応。これは、周波数の高いミリ波に対応するには、端末のアンテナ形状を工夫する必要があるなどの要因があるため。

前述の通り「ミリ波」は混雑エリアをスポット的にカバーすることしかできず、当初は「Sub6」を中心に5Gエリアを構築していくでしょう。

サムスンの「Galaxy S20+」「Galaxy S20 Ultra」は、「Sub6」と「ミリ波」に両対応。ソニーモバイルが開発のみ発表した「Xperia PRO」も両対応です。iPhoneの次期モデルも両対応と噂されており、今後は両対応が主流となる見通しです。


5Gの全国エリア化はいつから?

5Gの全国エリア化には「4G周波数」の転用が不可欠。5Gの全国エリア化という観点では、ミリ波の「28GHz帯」やSub6の「4.5GHz」「3.7GHz」だけでは力不足。周波数帯のより低い、既存の4G周波数を5Gに転用する必要がある。

このため、総務省は、既存4G周波数の5G転用を前倒しで議論しています。なお、5Gには、1つの周波数帯で4Gと5Gを同時に展開できる「ダイナミック・スペクトラム・シェアリング」という技術革新があり、4G周波数の5G転換は劇的に進みそうです。

「真の5G」実現はまだ先の先


真の5Gに向けて

既存の4Gネットワーク上で、高速な5G回線を部分的に利用する「ノンスタンドアロン5G」(5G NSA)と呼ばれる方式コアネットワークは4G回線を利用しており、5Gの特徴である、回線の用途ごとに帯域幅を細かく制御し、『遠隔医療向けには一定の帯域と低遅延を保証する』といったことを実現する「ネットワークスライシング」などの恩恵には預かれません。

なお、国内キャリアではKDDIが2021年中に、コアネットワークを5G化した「スタンドアロン5G」(5G SA)を展開予定。

真の5G時代はそれ以降

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